『蚊』というもの
こんにちは。友輝です。
友輝です、というのもおかしいのかもしれない。
なぜなら、今や俺は『蚊』になってしまったのだから。
いや前世で死ぬ前も、もともと身体は弱かったと思うよ?
でもね、でもだよ。
考えてくれよ。
気がついたら『蚊』になってたっておかしく無いか?
身体が弱いとか、そんな事は突き抜けてしまっているじゃないか。
んで、これはもう間違いなくあれですよ。
『転生物』ですよ。
でもね、なんだったらさ、生まれ変わりとか、転生とかさ、するならだよ?
どうせなら『ドラゴン』とかさ、『大魔導師』とかさ、それこそ『勇者』とかじゃないの?
そこんとこどうなってるんだ??
なんて事を考えながらも近くにいた豚のような生き物に静かに着地して、そっと口の先を突き刺して『吸収』する。
ずずず〜っとな。
うむ、美味い。のか?
わからん。味なんてしない。
不味いよりかよっぽどマシだとは思うけど、出来れば美味しいに越したことはないやん。
『蚊』になって思ったのは、まさにこれ、『蚊』とはサイレントキラー的な生き物だという事である。
標的は全く気がつかない。
今まさに『吸収』されているこの豚?さんも気づいていない。
そして、どの程度『吸収』するのかを俺がコントロールする事ができる。
そう、『吸収』なのだ。
『血を吸ってる。』わけではないのだ。
対象の生物のエネルギーなのかチカラなのか、よくわからないが、とにかく重要であろう何かを吸い取っている。
で、ここからが大切なんだけど、全力で『吸収』し続けると……対象の全エネルギーを吸い尽くせてしまう。
そう、対象物が死んでしまうのだ。
どんだけ吸うねんって事だ。