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4/4

恋愛おんちと呼ばれた王子

完全に蛇足です!!!。


わりと緩いギャグを書くために削った部分が一挙に出てくるので、読み心地がこれまでと全く違います、酷い!!って感想になる可能性高め。


王子→クレアへの思いです。


ちょっとでも嫌な予感がした方は、読まないほうが吉です!。


 僕の婚約者は、齢五歳にして才児と呼ばれる天才だった。


 癒しの魔法以外の全ての魔法を使いこなし、それを特別だとも思わない。


 「王家だけに発現する癒しの魔法を使える王子のほうが特別です、他の魔法使いはいくらでもいるのですから、私のは少し珍しいだけです」


 ちょっと得意そうな顔をしながらも、そう言うのがお決まりだった。


 


 彼女は僕が知らないことをたくさん知っていた。


 花の名前に花言葉、子供達の間に流行っている玩具に。



 親に愛されることだとか。


 「王子のお母様は、生まれら時に瀕死だった王子を助けるために癒しの魔法を使いすぎて死んだのでしょう?、王子のお母様は王子を愛してらっしゃいました」


 「でも僕はそれを話しで聞くだけで実感はないし、上の兄様も下の兄様も流行り病で僕が物心着く前には死んでしまった、父上も母上を殺した僕を恨んでいるし」


 彼女は僕の言葉に藍の宝石のような目を潤ませて、僕の手を握ってくれた。


 「では変わりに婚約者である私が、王子を愛して差し上げます」


 「僕にはそれの返し方がわからないから、出来たら親友みたいにただ隣りにいて欲しいな、絵本の王友物語みたいな?。僕にも傍にいるくらいのことなら出来るし」


 「……王子は、愛が理解できないようですね!」

 「うん」


 彼女からの凍るような視線は、それ以後も何度も浴びることになる。



 「婚約者ですから、手を引いていただけせんか?」

 「うん」

 「手を伸ばしたまま横に並ばれるのは、なんか違うんですわ!」


  

 彼女は僕のする行動をなんか違う!っといつも怒る、僕は首をかしげながら彼女の言うとおりの行動に直す。


 「さすが王子と婚約者様ですわ!」

 「美少年と美少女でお似合いね!」


 そうすると周りの大人に褒められる。


 「君は凄いな」

 「ふふんっ普通ですわ!」

 褒められると嬉しそうな顔を隠しもしない、僕はそんな彼女が好きだった。



 氷の王子だとか無表情仮面とか散々な言われ方をしていた僕だけど、普通に好きなものはあったし好ましいものもあった。


 婚約者である彼女が最たる物で、僕はいっぱい怒ったり笑ったりする彼女のことがどんどん好きになって言った。



 彼女と出会って一年後の、六歳になるまでは。





 「――――ああ、王子が無事でよかった」



 たくさんの護衛がいて、町の祭りを楽しんでいる時だった。

 至近距離から爆発が起きた。


 僕は祭りで彼女へのプレゼントを選んでいて、王子が婚約者に送るには粗末なものかもしれないけれど――自分なりに彼女に似合うと思うものだった。


 どうかなって彼女にそのキキョウの髪飾りを差し出そうとした時、思った以上の至近距離に彼女はいた。



 おっきな音と爆風。



 耳鳴りがして、心臓が爆発するぐらいドキドキしていて、息を吸うたびに心臓が痛かった。 


 目を開けると、傷だらけの彼女がいた。


 「――――ああ、王子が無事でよかった」


 嬉しそうに、傷だらけのままで彼女は笑った。

 彼女が僕を庇って傷ついたのだと、理解するまでに時間が掛かった。


 「クレア?クレア!!」



 犯人は、僕がアクセサリーを選んでいた屋台の店主だった。


 魔法の使えない男は魔法廃絶主義者のメンバーで、魔法王国の権力の象徴である癒し魔法を現在使える唯一の存在である僕を狙った、というのは後から聞いた話しだ。



 「後は、お前だけだったのに!!」


 男の事情はその時の僕は何も知らなかったが、護衛たちに取り押さえながら叫んだ男の言葉は、兄二人が流行り病で死んだという言葉を信じていた僕の心をかき乱した。


  

 兄二人もああいう奴らに殺されたんだろうか?。

 僕が生きている限り、ああいう奴らに狙われ続ける?、その度に彼女は傷つくのだろうか?。


 幸い彼女には傷も残らず、命の心配もないとのことだった。

 無我夢中で使った僕の癒しの力のおかげだと、周りの大人は言ってくれて彼女も僕に感謝してくれたけど。


 彼女が傷ついたのは、僕の責任だ。



 「もう僕を庇ったりしないでくれ!」

 彼女に君を愛していると、これからは恋人みたいな距離で前に言ってくれたように愛してくれると嬉しいと、そう伝えようと思った矢先のことだった。


 だけど自分のせいで彼女を傷つけてしまった、だからその言葉を言えずにいた。



 そしてその日、僕は――。



 「いえ、これからも私はあなたを守り続けます」


 彼女は僕から目をそらさずに言った。


 「あなたはこの国で一番尊い人、私は侯爵であるお父様から王子を命に代えてもお守りするようにと命じられてここにいます」


 婚約者である前に、あなたを守る家臣なのだと彼女は言う。


 「王子あなたの癒しの力は、この魔法王国を支える大きな柱なのです。一番血が濃かった母上様と兄上様が亡き今、十全な癒しの力を奮えるのはあなたお一人――この国の未来はあなたの命にかかっている」


 彼女は僕の手を自分の心臓に当てた。

 その心臓は、手が震えるくらい激しく脈打っていた。


 「常にあなたの傍にいる私があなたを守る最後の肉の盾。この命は婚約者になった時からあなたに捧げいるのです、王子」


 怖いはずがない、彼女はまだたったの六歳だった。

 死にかけた、治ったとはいえ痛かったはずだ苦しかったはずだ。


 「あなたは必ず、この身に変えても私がお守りします」


 それでも僕から目をそらさずに、決意の篭った瞳で言う彼女に、僕からかけられる言葉などなかった。



 その時、僕が彼女に好きだと告白して、君に傷ついて欲しくない僕が君を守りたいんだとはっきり伝えられていれば、二人の運命は変わっていのかもしれない。


 けれどその時僕は、一番間違った選択をした。




 彼女への気持ちを見なかったことにした。

 彼女を守りたい気持ちを見なかったことにした。


 彼女が傷ついて辛い気持ちを恋心とともに押さえ込んだ。


 そうするしかなかった、そうするしかないと思い込んでいた。


 癒しの力しか扱えない、彼女のような他の魔法の才能がない役ただすの僕では、彼女を守れないと分かっていたからだ。 

  

 出来ることは、なるべく護衛が少なくならない状況を作ること。


 今回の祭りは、通行人も多く警備に負担が掛かる状況だった。

 その中を彼女とのデートに夢中になり、好きなように歩いた。


 最悪の状況を考えもせずに!。



 だから僕はあまり城の外に出歩かなくなった。

 警備に負担を、いや彼女にもしものことがないようにと考えて、城に篭って勉強ばかりをした。


 図らずとも学力は上がり、これほどの天才ならば王子が魔法王国の国王となった暁には国は安泰だと、世辞もあるだろうが教師陣に持ち上げられた。


 けれど勉強をすればするほど人心には疎くなっていった。


 「王子!効率効率ばかりじゃ人はついてきませんよ!」

 「うん、そうかもしれない」


 そんな時にも、彼女は変らずに僕を怒ってくれた。


 僕を諌めるのも呆れるのもフォローするのもキレるのも彼女の役割だった。


 勉強を熱心に続けながらも、僕はたびたび彼女を振り返る。


 恋心を封印した後も、彼女は僕の唯一の羅針盤だった。




 十になるまじかのことだろう。

 神に見捨てられた国、魔法使いがほとんど生まれない国の存在を、僕は知った。


 僕と同じ年の少年王子が、魔道具というのを開発したという記事を見た。



 魔法の代用品となりえるという存在に、魔法が絶対ではないのかもしれないという希望を僕は抱いた。



 魔法が絶対的なものでないのなら、癒し魔法の唯一の使い手である僕の価値も薄れるかもしれない。

 彼女が僕を守らなくても良くなって、そしたら僕が――彼女を守るのも許されるのだろうか?。



 他の魔法の才能がないのは分かっていたので、僕は剣術を習うことにした。


 「運動をするのは良いことですわね、最近部屋に篭りきりでしたもの」


 そのことを彼女も喜んでくれた。



 彼女が十五になるまでに、剣術を教えてくれている師を倒すほど強くなったら――。

 閉じ込めているこの気持ちを開放して、彼女に告白しようと決めた。



 けれども僕に剣術を教えてくれているのは、この国の騎士団長。

 魔法以外での強さの頂点にいる存在だった。

 

 超えることは生半可なことでは無理で、だから僕は自身の癒し魔法を効率的に訓練に取り入れた。


 筋肉は回復する時にその量を増すという。


 回復は得意だった、けれどそれが通常の回復と比べてどうなるかはわからなかったので、慎重に行うようにと師には言われた。


 慎重に、でも大丈夫だろうと思う時には大胆に、癒しの魔法を使いながら僕は訓練に明け暮れた。


 「王子もこれで体育会系の人間関係を学んでくれると嬉しいです、人間関係にもまれて内面的にも一角の人物になって欲しい」 


 彼女は度々母親みたいなことを言い出すようになった。


 けど僕の訓練は騎士団長と二人で完結していたため、彼女の臨む通りにはならなかった。


 「人間関係にもまれなかったから、騎士団長に筋肉をもんでもらった」

 

 「クールダウンは大事ですもんね、私もクールダウンしたいです。そういうもまれじゃねーよ!!」


 二人の時、彼女は時々ノリツッコミするようになって言った。

 面白かった。



 月日は流れ、彼女には「この人恋愛出来ないんだな、恋愛おんちなんだな……」という哀れみの目で眺められるようになった頃。


 僕は騎士団長に勝った。


 「お見事です王子」

 「……ありがとう」


 師を超えることで、剣術を極めるレベルに達したことで、僕には魔法に出来ない剣術だから出来ることと、魔法にしか出来ないことを見極められるようになっていた。


 子供の頃みたいに、彼女に守られるだけの自分ではないと胸を張って言えるようになった。



 だから、僕は彼女に大好きだと――ずっと大好きだったのだと伝えようと思った。


 君に守られた時よりもずっとずっと強くなったから、今度は僕に君を守らせて欲しいと、君を守りながらでも自分の命も守れるぐらいには強い男になったから、と。



 師に心からの一礼をして、訓練場を出て彼女の元へ向かおうとした時。



 目の前で白い光がはじけた。


 そこには魔法が現れる予兆が一切なかった、完全なる不意打ちだった。


 だから僕は目の前に黒髪の女の子が現れた時、反射的にその体を受け止めていた。



 少しでも考える時間があったなら、そんな不審な者を受け止めることなんてなかっただろう。

 手が出てしまったのは偶然だった、抱き込んでしまったのも。


 だけど僕は彼女を抱きとめ、黒い翡翠のような目に映りこんでしまった。


 「助けてくれて、ありがとうございます」


 雛鳥が親鳥を見定めるように、彼女の瞳に僕は映った。

 その瞬間僕は自分でもわからないが、彼女に懐かれた『実感』があった。


 「どういたしまして」


 答えて、彼女を地面に下ろした。

 黒髪黒目の少女、見たことがない紺色の服に赤いスカーフ。


 「聖女様が、王子の腕の中に光臨された?」


 騎士団長の呟きに、頭の中が真っ白になった。






 その後のことは良く覚えていない。


 大きな騒ぎになる前に騎士団長が各方面に通達を行い、僕は王に直接面会して聖女光臨を伝えた。


 「伝説の!、すぐに侯爵家へ婚約破棄の伝達を!、分かっているな、お前が必ず聖女と結婚するんだ!」 


 「待ってください!」


 叫んでから、周り中の冷たい視線に気がついた。


 否を唱えることは許されない、考えなくても分かっていた。

 癒しの魔法があるから王家は特別であり、この国は特別だった。


 信じられる柱がなければ国は折れる。

 それは――きっと彼女も望まない。



 「僕は人の心に疎い、結婚するならば聖女様に好きになってもらわなければいけないが僕一人だと難しい。だから僕は、クレアの力が借りたい――婚約破棄は待って欲しい」


 一瞬何を言っているんだこいつという空気になったが、皆がクレアの顔を思い浮かべているのが分かった。

 いつだって一番頼りになる彼女を。


 「私から言うことはない、だがお前が彼女に助けを請うならば止めはしない」

 「はい」

 「だがなにをしても聖女とお前が結婚するのは変らない。どんな手段を使ってもだ」

 「――――はい」


 僕がしたかったのは時間稼ぎだ。

 考える時間が欲しかった、クレアと無理に引き離されたくなかった。


 もう少しだけクレアといる時間が欲しかった。



 だけど聖女との恋をサポートしてくれと言った時に、クレアがゴミ虫でも見るような顔でこちらを見て、自分の行動のやばさを理解した。


 婚約破棄した直後に、新しい恋のサポートしろとか冷静に考えるとわりとゴミだ。


 案の定クレアに屋敷から追い出され、僕は地面に放り出された。




 クレアの顔を見るまで自分の行動のやばさが分からなかったあたり、僕は本当に彼女がいないとダメなのだと思い知った。


 でも、もうすぐ手を引いてくれていた彼女はいなくなる。

 僕はそれに、耐えられるんだろうか?。




 彼女の父親自身の願いも受け、結局クレアは僕を助けてくれることになった。


 クレアの手助けの元で、僕と聖女は距離を縮めていく。



 聖女は完全に僕を助けてくれる人と認識していて、元の世界が恋しいのだろう、異世界の話をしては僕に慰めを求めてきた。


 僕は彼女が求めるまま、夜通し彼女の愚痴をうんうんと聞いてあげた。


 女性が愚痴を言う時の相槌のタイミングは心得ている、クレアも僕には僕に対しての愚痴をたくさんこぼしてくれたからだ。

 僕は彼女が教えてくれたことならば、だいたいは完璧にこなせるのだ。


 元の世界が恋くて泣く彼女を、出来たら元の世界に返してあげたいが、古文書を調べても調べても彼女を元の世界に返してあげる方法が出てこない。


 真剣に探しているのが伝わるのだろう、聖女は僕を信頼してくれた。

 二人で片寄せあって仮説を話し合っていると、仲睦まじいと評価された。


 「どうしてだと思う?」

 「ねえなんで聖女返そうとしてんの?私なんのために悪役令嬢してんの?」


 わりと真剣に言ってくるクレアに、帰りたい家に帰れないのはダメだろうと返したら、あなたの優しい所は素晴らしい美点だと評価された、嬉しい。



 聖女を惚れさせるためにという名目でクレアと共にいられるのが嬉しかった。

 二人の呼吸はぴったりで、僕達は相性が良いのではないかと心の中で誇った。


 けれど時間は、過ぎて行く。



 聖女が僕に思いを寄せているのが周囲にも目に見えるようになり、聖女にばれないように作っていたクレアと二人きりの時間も、周りの者に止められるようになる。


 その中でも公爵のクレアへ向ける視線が冷たくなっていた、彼は特に王家への忠誠心が強く――国のためになるならば娘の命も惜しくはない人だった。



 彼女を傷つけられるのを恐れ、僕はクレアとのやり取りは手紙だけに限定し、代わりに聖女と過ごす時間が増えた。



 増えた時間を聖女を元の世界に返す研究にあてていたのだが、隠れて進めていたそれが王にバレてしまった。


 集めていた古文書が取り上げられしまい研究は停止した、これはもうこの研究は僕が王になってから進めるしかなさそうだ。


 その話しを聖女に伝えると、僕との結婚に異論はないので焦らなくていいと言われた。



 「クレア様より私を選んでいただいて嬉しかったです」


 それは卒業パーティーの翌日のことだった。


 僕はみんなの前で彼女との婚約破棄を宣言した。

 彼女の書いた、シナリオの通りに。



 僕は彼女との婚約破棄への流れを、どうしても変えることが出来なかった。



 「ごめん、ごめんなさい僕は本当は君を――」


 「良いんですわかってます、クレア様の性格が悪くても王子が彼女のことを愛していることは、わかってます」

 彼女は僕達に騙されたままで、その上で僕が彼女を好きなことを見抜いていた。



 「でもそれでも、王子がもう後戻りできないこともわかってます」

 聖女は僕の唇にキスをした。


 ――――――唇に歯が触れ、初めてのキスは血の味がした。



 「みんなが噂しているから知っています、あなたには私の血が必要なんでしょう?。王子にだったら、私が帰りたいってことを真剣に聞いてくれた王子になら何をされても良いんです、子供だって産んであげます。自分のことばっかりの身勝手な人たちばかりの中で、あなただけが唯一私を家に帰すための研究を続けてくれた。私が帰ったら一番困るのはあなたなのに!私の寂しいという気持ちを優先してくれた!、そんな優しいあなたが、私は大好きなんです!。クレア様が一番でも良いです。このままずーーーーっと遠い二番でかまわない。だから私をあなたのお嫁さんにしてください!」


 僕は抱きついてきた彼女を、抱きしめ返すことが出来なかった。

 

 「それでも私は、あなたが好きです」


 聖女は泣きながら言ってくれた、僕は受け入れられなかった。




 その日の夜、僕は彼女が別の国の王子に嫁ぐことを知った。



 相手は、あの日僕が希望を抱く要因になった、神に見捨てられた国の魔道具を開発した発明王子だった。


 なにが神に見捨てられた国だろう、本当に神に見放されていたのは――。




 僕は彼女に最後の手紙を書いた。


 愛している、本当はずっと君を愛していた。

 聖女さえ現れなければ、本当はあの日、君に。


 何度も書いては破り捨てて、最後に心にもない手紙を書いた。

 友なんてよく言ったものだ、綺麗になっていく君を、年々まっすぐ見れなくなっていたくせに。



 それでも感謝の言葉だけは、全部本当のことを書き連ねて――。



 遠くにいても君の幸せを願っている。

 最後に特大の嘘をついて、かすみ草の封筒に閉じ込めた。



 君が幸せにならなければ良い、僕以外の隣で君が笑わないと良い。

 僕以外の誰かを好きにならないで欲しい、いつまでも僕の傍にいて手を握っていて欲しかった。



 彼女が傍にいるだけで他のものは何も望まなかったのに、なんで僕はそれをもっと早く――。



 幼い頃、彼女に守られて彼女を傷つけて打ちひしがれた六歳の僕は。 



 彼女への気持ちを見なかったことにした。

 彼女を守りたい気持ちを見なかったことにした。



 それがすべての間違いだったのだと、愚かな僕はようやく気がついた。





 ははっそうだね君が言うように、僕は恋愛○んちだったんだ。



 昔から賢くて可愛くて綺麗な大好きな君が言うことは、いつだって――正しい。






 数年後、僕は発明王子と幸せになった君と再会する。


 聖女と仲良くなっていた君は僕に言った。 


 私とは違って、聖女様は幸せにしてあげてくださいねと。


 痛い傷を思いかべるその顔に僕は――。


 泣かないように、内面の思いを悟られない様にわかったと返事するだけで精一杯だった。


 その気のない返事はなんなんですか!?、と彼女は怒り僕は笑い。


 彼女の言葉を守ることを約束したのだ。 






 遠くにいても幸せを祈っているなんて大嘘だったのに、君が幸せそうな様子を見て僕はほっとした。


 君が笑っているのを見て、心から嬉しかった。



 幼い僕に君が与え続けてくれた愛は、確かにここにあった。









 かすみ草の花言葉


 感謝 幸福 無垢の愛








 ここまでお読みいただきありがとうございました!。



 聖女×王子は、二人の間に子供が生まれてからもずっと聖女→→→→→王子→→→クレアな感じで王子切ないな!って感じです。



王子とクレアifルートも書いた後で、本編でもなんとか王子も幸せになっていく様子の短編を書こうと思ったんですが、ifルート書いた後なのでどうしてもそちらにひきづられて書けないので、もし上げるとしたらだいぶ先になりそうです。

(聖女×王子を書こうとしても、なぜか王道の攻め様ごとく最後はクレアさんが全てをかっさらっていくーー)




王子とクレアがくっつくifルートはこちら


「王子なのに、聖女と結婚したくない~と、私とは婚約破棄しなければならないはずの王子が泣きついてきたので、仕方なく一緒に逃げてあげることにした」

https://ncode.syosetu.com/n2491ht/

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