イオンに流れる「赤旗の歌」
――酒井徹 自伝的短編小説――
もう何年も前の12月の事です。私はその頃、謎の不眠に陥って、その日は確か二徹後の三日目でした。
職場は、イオンモールに出店している専門店の一つでした。朝から何とか頑張ってはいたのですが、途中で力尽きてトイレ休憩を頂きました。
その時、イオンモールのトイレで、あの「赤旗の歌」が聞こえてきたのです! 私の気分は高まりました。そして、私は何か救いのようなものを感じて、歌に合わせて歌詞をそっと口ずさみました。
〽高く立て 赤旗を その影に 死を誓う
卑怯者 去らば去れ われらは 赤旗守る
私は歌おうとしました。けれども、歌えないのです。いや、正確に言うと、メロディーに合わせて歌詞を口ずさむことがどうしても出来ないのです。歌っても歌っても、メロディーがズレていくのです。
いや、「メロディーがズレていく」という発想がそもそもおかしいのでしょう。そういう時におかしいのはイオンモールで流れるメロディーではなく、自分の方に決まってます。酔っぱらいの言い訳の様で見苦しいです。
私は早退を申請しました。私が職場を退職したのはそのしばらく後でした。
これは、私が以前、イオンモールに入っている専門店に勤めていた時に(ある一点を除いて)本当に有ったお話です。
若し、このお話を読んで気になった方は、下の二つの歌を聴き比べていただけますと幸いです。
【赤旗の歌】
https://www.youtube.com/watch?v=jMf-qLljzNg
【もみの木】
https://www.youtube.com/watch?v=97_fi9W62qg
詳しくは↓をご覧ください。
【赤旗の歌(Wikipedia)】
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%B5%A4%E6%97%97%E3%81%AE%E6%AD%8C