第85話 エルフの国へ行く前に
“兎の国”の、東には[オークの国]が、北には[鳥の国]が、存在している。
そして、“オークの国”の北側かつ“鳥の国”の東側に位置しているのが、[森人族の国]との事だ。
8人組パーティーのリーダーである女性エルフによれば、この“豚と鳥の軍勢”が故郷に同時進行する予定らしい。
彼女が、
「我々が各地を旅している際に、祖国の補佐官より“念話”が入り、急行するつもりだったのですが…、勝ち目が無さそうなので、恥を忍んで助けを求めに寄らせて戴いた次第です。」
と、経緯を説明したのである。
ま、無償で承諾してあげなくもないのだが、美形のエルフとハーフエルフに、俺のムスコがヤル気満々になっていたので、
「幾つか条件がある。」
と述べたら、リーダーが、
「私どもに出来ることであれば、何なりとお申し付けください。」
と、応じた。
そこで俺は、まず、【絶対服従】を発動したのだ。
この者らによると、リーダーのエルフは姉で、男性の方は弟であり、ハーフエルフらは兄妹の間柄らしい。
一同のレベルは…、エルフ姉104/エルフ弟102/ハーフエルフ兄90/ハーフエルフ妹88/オスで虎の獣人73/メスで豹の獣人71/人間の男性41/人間の女性39である。
玉座から〝スッ〟と立ち上がった俺は、
「エルフとハーフエルフの女性たちには、いろいろと話があるので、俺の部屋に移動するぞ。」
と促したのだった…。
昨今のエルフで有名なのは、おそらく、こことは違う世界の魔王“ディア○ロ”の所に居る[シェ○・L・グリー○ウッ○]だろう。
ハーフエルフの方は、何かとタイムリープする“○に戻り”の冒険譚に登場する[エミ○アたん・マ○・天○]が思い浮かべられるのではなかろうか?
いずれにせよ、こっちの2人も、負けず劣らず美形であり、 “ド○ウの日”にだけ日本の食堂と繋がる異世界のエルフ系みたいな雰囲気だ。
何はともあれ、こちらの、【狙撃手】であるエルフは、身長が165㎝程で、背中あたりまでの金髪を三つ編みにしており、ライトグリーンの瞳は大きく、顔立ちは可愛らしい。
【剣士】のハーフエルフは、背丈が160㎝くらいであり、銀髪は顎あたりまでのショートボブで、スカイブルーの目は細く、凛としたルックスをしている。
ちなみに、エルフは“風”と“雷”の魔法を、ハーフエルフは“水”と“氷”を、それぞれに収得しているそうだ。
それはそれとして、3人で愉しんだのである。
昼食を済ませ、[玉座の間]に、魔物を含めた要人たちが集まっていた。
「じゃあ、行くか。」
と促す俺を、リーダーであるエルフが、
「お待ちください。」
と、止めた。
「なんだ?」
と窺ったら、
「ご存知かと思いますが…、国内で生活しているエルフ達は、外に出た私どもと違って、余所者に厳しい面子が多くいます。」
「今回、主様方を、お連れするのは、私たちの勝手な判断ですので、難色を示す者らが少なくないでしょう。」
「更に、エルフの国主様は珍しいスキルを得ていらっしゃるので、こちらの動きは既にバレており、門前払いされてしまうかもしれません。」
と、答えたのである。
俺が、
「んん?」
と首を傾げたところ、彼女の弟であり、腰あたりまで金髪を伸ばしている、身長170㎝程の【魔導士】が、
「国主様は、未来を見ることが出来るのです。」
と、補足した―。