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異世界を服従して征く俺の物語!!  作者: ネコのうた
― 第二期・各々の立場 ―
80/350

第80話 小さき英雄

両目を〝カッ!〟と開いた兎の王が、立ち上がるや否や、俺に襲い掛かってくる。


敵を倒したと思い込んでいた俺は驚いてしまい、身動きが取れなかった。


そんな俺の、胸の真ん中あたりに、王が繰り出した右の“4本の爪”が、


ズブシュッ!!


と刺さったのである。


俺の鎧は、ドワーフと魔石による代物ではないので、簡単に貫かれてしまったようだ。


いや、それら(・・・)で作られた甲冑を(まと)っている面子も、割とダメージを負っていたので、俺が装備していたとしても防ぎきれなかったかもしれない。


それだけの攻撃力がロードにはあったのだ。


ちなみに、奴の【筋力増強】には、時間制限がないらしい…。



敵が〝スーッ〟と爪を引き抜く。


胸と口から、大量に血を流した俺が、[大地の槍]を、


ドスンッ!


と、落とした。


ボクサーや総合格闘家のようにクリンチした俺を、兎の王が哀れむかのように見下す。


(みな)が、それぞれに、「ご主君!!」「主様!!」と騒ぐなか、王の背中に、左の(てのひら)で直径1Mの黄色い魔方陣を展開した俺は、


「これでも、くらいやがれッ!」


と雷撃を発動したのだ。


ズババババァンッ!!


ビリビリビリビリィッ!!


といった二つの音が重なり、


「がはッ!」


と、呻きながら仰向けで倒れ、本来のサイズに戻ったロードが、感電によって、


ビクンッ!ビクンッ!


と痙攣している。


「くッ!」


と、地面に右膝を突いた俺は、


「王子よ、領主らと共に、(とど)めを。」


と促した。


「は、はい!」


と、返事した兎の王子が、小走りで、


タタタタタッ。


と駆けてくる。


南方と西方の領主も(そば)まで寄って来たところで、


「俺の槍を貸してやる。」


と、述べたのであった。


南方領主が左手で、西方領主が右手で、[大地の槍]を逆さにして持つ。


王子は両手で柄を掴んだ。


完全に気を失っている敵の左胸に、彼らが、槍の先を当てる。


「いきますよ、王子。」


と窺う西方領主に、緊張を隠せない兎の王子が無言で頷く。


「せーのッ!」


と、声を合わせた3体が、[大地の槍]で、


ズブシュッ!!


と心臓を突いたのであった…。



この世界では、格上の敵を死滅させれば、大量の経験値を得られて、ほぼ100%レベルアップ出来るらしい。


また、それに準ずる致命傷を与えた場合でも、かなりのExpが付与されるみたいだ。


俺は、2つ上がり、LV.112から114となった。


ステータスは、[HP:2280/MP:1140/基本攻撃力:912/基本防御力:684/基本素早さ:456]である。


当然、他のメンバーもUPしていた。


一年生書記がLV.34で、二年生書記はLV.40となっている。


聖女はLV.45の、勇者がLV.51だ。


小将軍がLV.53となり、中将軍はLV.57で、大将軍がLV.66である。


トロールはLV.68で、ミノタウロス元帥がLV.77となった。


ジャイアントアント参謀役がLV.54の、魔法剣士はLV.95になっている。


これは、以前の、“ミノタウロス軍”との戦いも含めての結果であった。


また、西方領主がLV.116で、南方領主はLV.118になったようだ。


更には、LV.1だった王子が13になっていたのである。


[異世界召喚者]の誰かしらが、「13って、不吉なんじゃ…。」と呟いた。


これに、LV.32の【魔女(ウィッチ)】である三年の留学生が、


「ノー。ナンバー“サーティーン(13)”ワァ、カードゲーム(トランプ)ノォ、“king”ナノデ、スバラシイデェス。」


と、述べたのである。


一年の生徒会書記が、


「確かに…。そもそも、13という数字は、権力や富を表す縁起が良いものだと、聞いたことがあります。」


と補足した。


勇者の【ミドルヒール・ソロ】で、既に回復していた俺は、


「ま、ともかく、めでたいという事で、良さそうだな。」


と、微笑んだのである。



戴冠式が済み、兎の王子が、新たな王に即位した。


そんな彼を、国内の全ての者が“小さき英雄”として認めたようだ。


その日は、夜遅くまで大宴会となり、王都はとても賑わったのであった―。


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