第75話 A班の攻防戦・其之肆
ビカアァッ!!
と放たれた閃光に、トーキーの中将にモンスター達が、
「くッ!」
と、再び目を閉じる。
新たに魔法陣を発動させた敵の領主が、【光線】を撃とうとしたところ、空中から、
ビュオォ―ッ!
と急降下してくる者がいた。
どうやら、トーキーチームのハーピーのようだ。
その鋭い爪で、北方領主の頭に襲い掛かるも、敵の方が一瞬早く【マジック・シールド】を出現させて、
ガギィインッ!!
と、受け止めた。
だが、他にも宙で待ち構えていた3体のハーピーが、入れ代わり立ち代わりで、特攻したのである。
ガシンッ!
ガシャンッ!
と“ヒット&アウェイ”が繰り返されている最中に、ミノタウロス元帥たちの視力を、クレリックらが回復したようだ。
それに気付いた北方領主が隙を見計らい、ハーピー達に向けて魔法陣を展開すると、幅10㎝×長さ50㎝で、紫色の縁取りがなされている白い【光線】を、50本ぐらい、飛ばした。
咄嗟の出来事に対応しきれなかったハーピーらが、太腿や肩であったり翼などを射貫かれて、バランスを崩す。
自身の正面に、直径2Mの魔法陣を出した敵の領主が、これと同じ幅の大きなビームを、一番厄介そうなミノタウロスめがけて、
ズバァオウッ!!
と、発砲した。
腹部に、
ズドォウンッ!!
と命中してしまった元帥が、
ドスンッ!
と、尻餅を着くも、鎧には罅一つ入っていない。
(やっぱり、特殊な装備品みたいね…。)
(だったら、あの牛以外を先に始末するのが賢明ねッ。)
と思った北方領主が、再び、[ヘル・フラッシュ]の準備に取り掛かる。
その時だった。
3Mほど後ろから、幅1㎝の、かなり長い“糸”が、
ビュッ!!
と、放たれ、敵の上半身に、
グルグルグルグルッ!
と巻き付いたのは。
「えッ?!」
と、驚いて、振り返った北方領主の目に映ったのは、1匹のアラクネだ。
その背からジャンプして、
シュタッ!
と地面に着地した西方領主が、
スタタタタッ…。
と、駆け寄ってくる。
これらは、ジャイアントアント参謀役による策略であった。
『まず、トーキーの中将軍に、ミノタウロス元帥と、ジャイアントアントたちで、北方領主を囲いましょう。』
『逃げられる可能性も考慮して、ハーピーは4体くらい、上空で待機していてください。』
『相手が脱した際には、直ちに攻撃するよう、お願いします。』
『我々が、敵の注意を引いている間に、アラクネのリーダーは、西方領主を背中に乗せて、回り込んでください。』
『好機を窺い、糸で動きを封じれば、勝てるでしょう。』
『この国の情勢からして、止めを刺すのは、西方領主が適任だと言えます。』
と接近戦のメンバーに【伝令】を送っていたのだ。
その結果、
「不義不忠を、あの世で詫びるがよい。」
と、述べた西方領主が、レイピアを左から右へと払い、敵の首を、
スパシュッ!!
と斬ったのであった―。