第70話 B班の攻防戦・其之肆
聖女が、【ミドルヒール・オール】にて、傷を負った者たちを回復させていく。
これは、ドラ○エでいうところの“ベホ○ラー”みたいなものだ。
聖女によって治癒が行われていたところ、東方領主が直径4Mの赤い魔法陣を新たに展開した。
そこから、直径30㎝の【ファイアボール】を50発くらい、
ボンッ!ボンッ!ボンッ!ボンッ!
と、縦横無尽に飛ばす。
それがモロに当たって、
ズボォウッ!!
と炎上したメンバーが、後方に弾かれた。
ドスッ!
と、地に背中を叩きつけられた勇者が、急ぎ【ミドルヒール・ソロ】を使用する。
こちらは、“ベホ○ミ”といったところだ。
そこに、東方領主の【シールドルーム】に違和感を覚え、それを〝じ―ッ〟と見つめて原因を探っていた一年生書記が、
タタタタタッ
と駆け寄ってきた。
上体を起こした勇者の右後方に〝ちょこん〟と正座した書記が、
「あの“ルーム”を分析してみたところ、気になったことが一つありまして…、成功するかどうかは分かりませんが、試してもらっても良いですか?」
と提案したのである。
「防御と攻撃を同時に出来るだなんて…、無敵じゃないですかッ!」
「いくらなんでも、卑怯ですわッ!」
と、憤る聖女に、
「後悔しても遅いわよッ。」
と東方領主がニヤつく。
そんな敵の足元に、直径3Mの白色とオレンジ色が入り混じった魔法陣が現れる。
そこから、直径5㎝程で暖色系の“光の玉”が〝スーッ〟と浮き上がってきて、領主の膝あたりで〝ピタッ〟と止まった。
勇者が、手の平を〝パチン!〟と叩き合わせて、全ての指を組む。
すると、その玉が〝ブゥゥン〟と音を鳴らして、バスケットボールぐらいの大きさに膨らんだのである。
「こ、これはッ!!」
「やばいッ! こんな密閉された空間で発動されてしまっては…!」
と、焦った東方領主が、[防御室]を解除しようとするも、それより早く、
ズッドオオォォンッ!!
と爆発した。
「後悔するのが遅かったのは、そっちみたいねッ。」
と、勇者が笑みを浮かべる。
一年生書記によれば…、
「あのキューブは、一見、完璧そうではありますが、全方位を囲んでいるわけではないようです。」
「つまり、地面だけは、剝き出しになっています。」
「となれば…、外側からは無理でも、内側からであればダメージを与えられるかもしれません。」
との事だった。
シールドルームが〝スッ〟と消え、爆撃によって生じた煙が、風に吹かれゆく。
片膝を屈し、
「おのれッ!」
と忌々しそうにする領主が、立ち上がろうしたところ、聖女が放った幅4Mの白い【光線】が、左側面に、
ズバァアンッ!!
と、ヒットしたのだ。
「ガハッ!」
と血反吐を吐いて、仰向けで倒れた東方領主の喉元に、トーキーの大将軍のバトルアックスが振り下ろされるのであった―。