第7話 王国、制圧。
森林の北西に在る王都へと向かう。
俺が全力で飛行すれば15~20分くらいで到着しただろうが、飛べない者たちもいるので、その歩みに合わせる。
ま、俺を筆頭に翼や羽を有している魔物たちは宙に浮きながら行進しているのだが…。
ちなみに、俺は森林で22ポイントのMPを消費したので、残り1028となっている。
それはさて置き…、森を出て2時間ほどで王都が見えてきた。
都は、高さ10M&幅3Mの石壁で囲われている。
東西南北には内側に開く朱色の鉄門があり、北東/南東/南西/北西には石造りの物見櫓が聳え立っていた。
高さ15Mほどの櫓の上部には鐘があって、敵が攻め込んできた際には、この鐘を鳴らして知らせるというシステムらしい。
南門付近の上部に駐屯していた8人の兵士どもが、接近する俺たちに気付く。
両端にいる2人が自身のアイテムBOXから赤い筒を取り出した。
この、リレーバトンくらいのサイズの筒に点火すると、狼煙が上がるのだ。
モンスター達の進軍を櫓に伝えたかったのだろうが、それよりも早く兵たちに【絶対服従】のスキルを発動させて、門を開かせた。
横幅15Mの南大通りを闊歩する。
パニックに陥って逃げ惑う民衆から、
「うわぁあッ! 魔物だぁッ!」
「守兵は何してんだ!?」
という声や、
「キャーッ!!」
という悲鳴が聞こえてくる。
群衆にいた4~5人の男たちが、
「とにかく、近場の兵士に知らせに行こう!」
と、駆け出した。
鳥型のモンスター(メス)が、
『主様、よろしいので?』
と聞いてきたので、
「寧ろ好都合だ。試したい事もあるしな。」
と、俺は口元を緩めた。
この都は〝エドゥ王都〟で、国は〝トーキー王国〟という名称だ。
王都には1000万人ほどが生活しており、国全体の人口は1億人ぐらいだと、以前、誰かしらが言っていた事がある。
人々が家や店舗などの建物に避難して静まり返った大通りに、チラホラと狼煙が上がっていくのを目視できた。
これは、都内を巡回していた兵士たちによるものだろう。
意に介さず進むこと1時間、都の中央に位置する大広場に出た。
北の大通りからこっちに向かって猛ダッシュしてくる者たちがいたので、【ズーム】して見てみたところ、大将軍率いる約1000人の兵士たちに、勇者とそのご学友40名ほどであらせられることが、確認できた。
おそらく、城内に居た者たちの中から、直ぐにでも動ける連中が駆け付けたのだろう。
魔物たちを止めた俺は、石畳の地面に着地し、奴らが来るのを待つ。
【ズーム】の消費MPは3なので、残り1025となった。
2~3分後に到着したそいつらは、全員が「ゼェハァ、ゼェハァ」と肩で息をしている。
「おいおい、大丈夫か? 落ち着くまで待ってやろうか?」
と薄ら笑いを浮かべながら挑発すると、【騎士】である大将軍が、
「ふんッ! 結構だ!」
と、大剣を抜き、
「どうやって侵入したかは知らんが、成敗してくれる!」
と俺の方に剣先を向けてきた。
勇者は、鞘から中剣を抜いて、
「私たちがいる限り、好きにはさせません!」
と、睨み付けてきた。
「それでは仕方ない。」
と一歩前に進み出た俺は、スキル【咆哮】を使用する。
この規模であれば1ポイントの消費MPで済むようだ。
俺の口というよりは、全身から、
ウオオオオォォォォーーーーッ!!!!
と、大音量の雄叫びが発せられた。
これをまともに浴びて驚愕した兵士どもと異世界召喚者たちが、その場に崩れ落ちていき、〝ガクガク、ブルブル〟と震えまくる。
「成程な。こういう状態になるのか。」
と納得した俺は、上空へと垂直に浮かんでいく。
年齢は50歳前後だろうか、身長は175㎝で、国王よりも立派な黒髭を蓄えており、顔の左側には額から頬にかけて刀傷のある大将軍が、身震いしながらも、かろうじて、
「な、何をする気だ…。」
と、声を振り絞った。
それを無視して上昇すること50M、
「トーキー王国にいる者たちは、皆、俺に服従せよ!」
と言い放つ。
範囲が広すぎて、1000ポイントものMPを消費してしまったので、残りは24になっている。
下降して、地面に到達すると、兵士や勇者たちは元より、建物から外に出てきた民衆も、平伏していた―。
生徒会長【勇者】の特徴
身長160㎝ぐらい。
黒髪セミロング。
スレンダー。
Cカップ。
凛とした感じの美女。
17歳。