第67話 B班の攻防戦・其之壱
南方陣営に設置されている軍議用のテント(ゲル)内のテーブル席には、王妃/勇者/聖女/ミノタウロス元帥に、領主が、座っている。
それぞれの後ろには、王妃の護衛である4体のワーラビットに、生徒会書記の2人組や、大将軍と小将軍であったり、参謀役のジャイアントアントが、直立していた。
南方領主は、半獣型のヴォルパーティンガーで、背丈は175㎝といったところであろう。
ダークブラウンである髪は、眉辺りまでの長さで、ゆるやかな巻き毛であった。
耳と瞳はオレンジ系の暖色であり、なかなか凛々しい顔立ちだ。
装備している【騎士】の鎧は白い。
これまでの経緯を聞かされた彼が、
「分かりました。」
「王妃様たちを信じましょう。」
と、首を縦に振った。
これに、王妃が、
「理解を得られて、良かったです。」
と微笑む。
「それで?」
「貴女方は、何かしらの策を、お持ちなのでしょうか?」
と、窺う領主に、勇者が、
「ええ、私どもの主様によれば…。」
と説明を始めたのであった。
13:00――。
南方軍と東方軍は、領境を挟んだ約500Mの距離で対峙している。
辺りは妙に静まり返っていた。
緊張で覆われているかのような沈黙を破り、B班+南方領主が、
ザッ、ザッ、ザッ、ザッ、ザッ、ザッ、…。
と、地面を踏みしめながら前に進み出る。
王妃と衛兵たちは、南方軍と共に待機しているようだ。
いずれにせよ、その光景を目視した敵のジャッカロープ(獣人型)が、
「何だ?」
「投降…、という訳ではなさそうだな。」
「まさか、たったあれだけの数で挑む気か?」
「呆れた連中だ。」
〝フンッ〟と鼻で笑う。
どうやらコイツは、既に到着していた [凍氷将軍]のようだ。
身長は165㎝ぐらいで、体毛が黒く、鹿のような角と瞳は茶色い。
銅製の鎧とバトルアックスから察するに【戦士】であろう。
その左隣に控えていたメスのアルミラージが、
「速やかに片付けしてしまいましょう。」
と口を開いた。
こちらは背丈が155㎝程で、全身は青く、瞳は赤い。
螺旋状で白い角は80㎝くらいの長さがある。
黒色を基調としつつ、銀糸や白糸の刺繍がある衣服は、【魔術師】用だ。
LV.115の東方領主である彼女が、
「全軍、突撃せよッ!!」
と、号令するも、誰も微動にしなかったので、
「なッ?!」
「何をしている、お前たち!」
と少なからず同様していた。
そこに、[トーキーの魔人]からの、
『北方と東方の軍勢は、A班とB班のために、道を開けよ。』
との下知があり、それらの兵たちが、
ザザ――ッ
と、大きく左右に広がっていく。
眷属や友好関係になっていない者たちは【伝言】と【念話】がキャッチできないので、凍氷将軍が、
「この状況は?」
と不思議がった。
その間にも歩みを止めないB班は、一年生書記の、
「“クレリック”の皆さん、今です!」
との合図で【加護】が発せられ、攻撃力と防御力が2倍になったのである―。