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異世界を服従して征く俺の物語!!  作者: ネコのうた
― 第二期・各々の立場 ―
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第62話 前途

まずは、槍の先で、自分の右側の地面を、おもいっきり(すく)ってみる。


ふんだんな“土の粒”が、俺のほぼ真上に浮かび、幅2.5M×長さ5Mのクリスタルみたいな形状になった次の瞬間、その一塊(ひとかたまり)が落ちてきたのだ。


「えッ?!」


と驚いた俺が、すぐさまバックステップでかわしたところ、


ズッドオオォォンッ!!!!


という音を響かせて風を起こし、〝ボロッ ボロ〟〝ドシャァァ―ッ〟と崩れてしまった。


(前ミノタウロスロードみたいなのをイメージしたのに、何故だ??)


と、首を(かし)げる俺に、魔人の姉が、


「恐れながら…、力加減がよろしくなかったかと。」


と述べ、更に、妹が、


「角度もイマイチのようでした。」


と、続いた。


「ふ…む。」


(うなずき)きつつも、理解しきれずにいたら、賢者が、


「私は、ミノタウロスたちとの戦いを見ておりませんので、断言はできませんが、魔法のように〝自身の想像〟が反映される訳ではないのでは?」

「つまり、コツを掴んで(・・・・・・)慣れるしかない(・・・・・・・)、という事でしょう。」


との見解を示したのである。


「成程。」


と、納得した俺が、再び同じ行動をとろうとしたところ、魔人の妹が、


「お待ちください。」

「それは未だ危険なので、“壁”は如何でしょうか?」


と提案してきた。


一理あったので、俺は、足元に、長さ1Mぐらいの横ラインを、かなり優しく引いてみたのだ。


すると…、幅1M×厚み10㎝×高さ2Mの[土の壁]が〝スーッ〟と出現し、前方に〝ヘニャァ~〟と倒れ、消えてしまった。


「ぬうぅッ。」

「今度はソフトすぎたか。」


と、しかめっ面した俺は、その後も何度か試してみたのである。


しかし、なかなか難しかったのと、[大地の槍]は1日10回がリミットだったので、この時は、失敗ばかりで終了してしまったのだ…。



あれから半月が過ぎた。


2日目以降は、賢者と魔人姉妹が、[魔道機関車]と[飛行艇]に用いる“魔石”を本格的に選別していかないと完成に間に合わなくなるとの理由で、王城にこもっている。


なので、俺一人で模索していたのだ。


その甲斐もあって、割と使いこなせるようになった。


これは、運動神経や戦闘センスが大きく関わっているらしい。


奴が扱えていたのも当然である。


()どもは基本的に“脳筋”だが、バトルにおいては一流の(たぐい)だろうからな。


そもそも、全てが“凡人”クラスな俺にとっては、なにかと「限界がある」というものだ。


幾ら強くなったとしても。


「でも、ま、合格点を挙げても良いだろう。」


と己に甘い今日この頃であった…。



その夜。


俺は、会議室で各分野の中間報告を受けている。


匠たちのリーダーたるドワーフが、


「必要な材木は切り終えたので、明日より、駅と線路に、空港を、造っていきます。」


と、口を開いた。


三年生の理系担当だった50代の女性教師が、


「薬草の多葉化に成功しました。」

「これで、ポーションの大量生産が可能になるでしょう。」


と笑みを浮かべる。


このチームに加わっていた理事長が、


「ハイポーション等の研究も済みましたので、そちらも、たくさん作っていけそうですが…、収穫までは気が抜けません。」


と、補足した。


「風呂は?」


と訊ねる俺に、王が、


「城の庭園の、〝北側に男性用を、南側に女性用の浴場を〟と、まとまっております。」

「ですが、それは、余裕が生じてから取り掛かるという考えでも、宜しいでしょうか?」


と、窺ってきてので、


「分かった。」

「“機関車”と“船”を最優先してくれ。」


と承諾したのである。


「他に無ければ、“槍”の性能を、もっと確かめるために、俺だけで“ゴーレムのダンジョン”に赴くつもりだが…。」


と、吐露(とろ)してみたら、案の定、勇者/聖女/各将軍/ミノタウロス元帥が、


「我らも、ご一緒します!!」


と意見してきたのだ。


「いや、今回の目的は“攻略”でない故に、すぐ帰ってくるから、お前たちは待機してろ。」


と、説得する俺に、一年生書記の【クレリック】が、


「主様が単身で乗り込まれるのは、あれですか?〝ダンジョンに出会いを求めている〟ため、私たちに邪魔されたくないから、ですか?!」


と絡んできたので、


「いや、誰が、“ベル・クラ○ル”だ!」

「つーか、この世界には、“ヴァレンなにがし”も存在してねぇだろッ!」


と、ツッコんだのである。


そんな最中(さなか)だった。


何者かによる【念話】が入ったのは―。


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