第60話 各プロジェクト
空いている大広間の1つにて、[科学開発班]と、その[相談部]が、100人のドワーフに、解説していく。
彼らは、[魔道機関車]や[飛行艇]の詳細に、
「おお~ッ。」
「うぅ~む。」
「へぇ~。」
「ほ、ほぉうッ。」
と、感嘆していた。
ちなみに、この面子は、7割が男性で、3割は女性だ。
帆や、乗車席のシートといった、裁縫関係に、ちょっとしたレリーフを作るのであれば、「女性が役立つだろう」と、[国主補佐官]が気配りしてくれたのである。
そんな職人たちに宿泊する為の部屋を用意させようとしたのだが、リーダーらしきドワーフが、
「いや、それぞれが、“アイテムBOX”にテントを収納しているので、城の庭を貸してもらえれば、それで充分です。」
「ただ、トイレとシャワーだけは、利用させてください。」
と申し出た。
彼は、身長が150㎝程と他よりもやや大きく、髭と短髪は茶色い。
どことなくだが、その容姿は、こことは別の異世界に居る[ドワーフ三兄弟の長男ガ○ム]みたいな雰囲気だ。
そんな匠らのリーダー格が発したシャワーという単語に、〝はッ!〟とした俺は、
「風呂を造れないか?」
と、訊ねみた。
これに、日本の教職員や生徒たちが、
「おおッ!!」
「良いですねぇ~。」
わいのわいのと盛り上がる。
意味が分からない職人たちの長が、
「フロ?? なんですかな、それは?」
と聞いてきたので、一人の教師が身振り手振りを交えて伝えたところ、
「なるほどぉ~。」
「疲労回復に役立つ、と。」
「それは素晴らしいですね。」
「私たちも試してみたいです。」
と、全ての小人がノッテきたのだ。
「しかし、それだと契約外になるのか?」
「だったら、お前たちの国に追加発注しないといけないよな…。」
と述べた俺に、リーダーが、
「いえ、〝この世界に無い目新しい物があれば、どんどん吸収してきてくれ〟と、国主および補佐官に頼まれておりますし、給金はたんまりと先払いしてもらっていますので、大丈夫です!」
と、返してきたのだった。
なんとも貪欲である…。
ま、「雨の日は表での作業が出来ないだろう」との事だったので、そういう時は、この王都において鍛冶や装飾に携わっている者たちに技術を授けてくれるよう、お願いしたから、“win-win”だと言えるだろう。
ん、きっとそうだ。
さて!
俺は、前ミノタウロスロード達との戦いで貢献した連中に、褒美として、優れた装備品を与えてやろうと、考えていた。
更に、姉弟牛に止めを刺した、魔法剣士と、うちのミノタウロスには、それなりの地位に就かせてやろうとも思っていたのである―。