第55話 グーマの王族
翌朝――。
[双頭の鴉]の背に乗ったゴブリン女王が、
「城で待っておるからの、愛しき御方よ。」
「次も放置したら、今度こそ容赦せぬからのッ!」
と少し睨み付けてきたので、
「お、おう。」
「いろいろと処理し終えたら、直行する。」
と、述べたところ、
「うむ! 良かろう。」
と笑みを浮かべ、
「では、の。」
と、飛び去っていった。
トーキー側でレベルが60に達していない者たちと、各将軍は帰還させることにしたが、【勇者】は俺のカモフラージュとして、グーマへ同行させる。
聖女も一緒に行くかと尋ねたら、
「いいえ、しょーもない元フイアンセなど、見たくもありません。」
と断ってきたので、【瞬間転移】で皆を都へと連れていってもらった。
ちなみに、スライム女王は、5日間ほど滞在し、うちの中将軍に様々な場所を案内してもらって、大満足していたそうだ。
そして、俺たちは、魔人の姉によって、グーマ王都の東門へと、移動したのである。
俺は、【絶対服従】を使ってグーマ国を制圧した後に、勇者・魔法剣士・魔人姉妹と、城に向かった。
グーマの兵士は解散させ、それ以外は都の外で待機させて…。
王城に到着するなり、首謀者たる王と王子に王妃を、守兵たちに拘束させた。
既に装備を解き、例のスーツっぽい恰好になっている俺が、玉座に腰掛ける。
見れば、三人とも太っており、冴えない感じだ。
トーキーの姫は結婚しなくて正解だったであろう。
こいつらには、勿体なさすぎる。
俺が、
(さて、どうしたものか?)
(公開処刑しておくか??)
と、思案していたところに、気品漂う一人の女性が[謁見の間]に入ってきたのである。
「誰だ?」
と訊ねてみたら、
「グーマ王の妹でございます。」
と、返ってきたので、いささか驚いた。
何故なら、似ていなかったからだ。
なんでも、王の母親は第一夫人で、妹の方は第二夫人の娘との事だった。
38歳である彼女は、かつては他所に嫁いでいたものの、旦那と反りが合わず、子宝にも恵まれなかったので、10年ぐらい前に出戻りしたらしい。
身長は165㎝程であろう、スラっとしていて、なかなか聡明そうな、美形である。
ホワイトゴールドの髪を後頭部で“お団子”にしており、瞳は青く、肌は白い。
その者が毅然とした態度で、
「兄上たちは、確かに、主様にご迷惑をお掛けしました。」
「しかし、命ばかりは、お助けいただきとうございます。」
「代わりに、私が、どんな責め苦でも、お受けいたしますので。」
と意見する流れで、深々と頭を下げた。
「…いいだろう、その度胸に免じて、殺さないでおいてやる。」
「だが、お前には代償を支払ってもらうぞ。」
と、告げたところ、
「何なりと…。」
と受け入れたので、王と王子には鉱山での発掘作業に勤しませ、王妃は人里離れた場所に幽閉したのであった。
それぞれの寿命が尽きるまで。
そして、俺は…、王の妹の部屋で、本人と連結したのだった―。