第51話 対面
降りしきる雨のなか、
(やっぱ、大勢で押し切るのは難しいみてぇだな…。)
(つーか、ロード自ら出張って来るとは、想定外だったぜ。)
(やっぱ、あれか?ミノタウロスどもは、サ○ヤ人ばりに戦闘が大好きってことか??)
(オラは、全然、ワクワクしねぇーぞ!)
と、無駄に脳が働いた俺は、
(いかんいかん、ウダウダやってねぇで、倒さねばなられば!)
と思い、トーキー側に対して、
「ビショップのなかで“加護”を取得した者たちは、LV.60以上の面子に付与せよ!」
と、命じた。
これによって、それぞれの攻撃力と防御力が倍になったのだが、残念ながら10分の制限時間があり、永久に効果を保てる訳ではない。
何はともあれ、
「補助魔法で上昇した連中は、俺に続け。」
「それ以外は、この場で待機せよ。」
「勇者と聖女は、もし俺たちが全滅したら、直ぐに“瞬間転移”で王城に退却し、立て籠もれ。」
と、下知したところ、
「主様! 私も戦います!!」
「勿論、私もですわ!!」
と食い下がってきた。
しかし、首を横に振った俺が、
「お前たちは命を繋ぎ、起死回生の一手を編み出せ。」
「頼んだぞ。」
と、静かに諭したら、二人とも涙をこらえて頷いたのである。
【伝言】で、グーマ軍とミノタウロス軍を引き下がらせた俺は、ステータスがUPした人間とモンスターの約100数を連れて、前進していく。
意味を理解したのだろう、相手の三体も、こっちに向かって歩いてきた。
真ん中にいるのは、6M級で、体毛も角も黒いミノタウロスだ。
金色の【騎士】の鎧を装着し、首から赤いマントを纏っており、右手に槍を握っている。
長さ4.5M×幅20㎝の青い柄に、長さ3M×最大幅40㎝で先端が尖っている“円錐型”の白い刃が付いた槍だ。
刃という表現の仕方も疑問ではあるが…、鮮やかな彫り物が入っていた。
ちなみに…、
【HP2055/MP0/攻撃力1233→武器により2466/防御力1096→防具により1196/素早さ411→装備品の重さにて361】となっている。
両脇のミノタウロスどもは、身長5.5Mといったところだろう。
LV.118の方は、[白牛]で、紫色の服装に、赤色の【戦士】の防具を装備している。
10本くらいの棘がある“鉄球”の柄を両手で握っていた。
所謂[モーニングスター]であり、柄は幅15㎝×長さ2Mで、1Mの長さがある鎖に、直径1.5Mの鉄球と、全てが黒い。
こいつは、
【HP1180/MP0/攻撃力1062→武器により1162/防御力944→防具により1024/素早さ354→装備品の重さにて304】である。
LV.115は[黒牛]だが、角だけは白い。
灰色である【武闘家】の道着に、青色の胸当て・籠手・脛当てといった井出立ちをしており、左右の手に[鉄の爪]を嵌めている。
こっちは、
【HP920/MP0/攻撃力805→武器により905/防御力690→防具により740/素早さ748→装備品の重さにて723】となっていた。
およそ5Mの距離で互いに立ち止まったところ、[ミノタウロスロード]が、
「うん? そこに居るのは、儂の甥ではないか?」
「以前より、大きくなったようだが…。」
との見解を示す。
それを受けた、うちのミノタウロスが、
「ふん! 我にはもう、叔父も、従姉弟も、おらなんだわ!」
「血縁など、とうに忘れたわいッ!!」
と、怒りと悲しみに満ちた目で睨み付けるのだった―。