表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界を服従して征く俺の物語!!  作者: ネコのうた
― 第二期・各々の立場 ―
50/350

第50話 因縁

グーマ王国が提示した期限を明日に控え、野営地には約800万人の兵士と、およそ2万体の魔物たちが集結していた。


雨上がりの空の下で、夕食を取りながら、ミノタウロスに、


「祖国と()り合う訳だが…、大丈夫なのか?」

「向こうには、お前と旧知の仲の奴らもいるだろうから、王城で待機しててもいいんだぞ。」


と、声を掛けたら、


「いえ、家族も、親友たちも、全て失いましたので…。」


と目を細めた。


「……、言いたくないら別に構わねぇんだけど…、お前は何でこの国で生活していたんだ?」


と、聞いてみたところ、


「もともと、かの国では、王を頂点とした“ロード派”と、大将軍を筆頭とした“アンチロード派”が、長い間、争っておりました。」

「兄弟である中将軍と小将軍は、どちらもロードに付き従っていたのですが…、今から半年ほど前に、(われ)の叔父でもある小将軍が〝漁夫の利〟を得んとして、離反(りはん)しおったのです。」


と回想して、〝ギリッ〟と奥歯を噛み締めた。


更に、


「母は数年前に病で世を去っており…、中将軍であった父と、二体の兄が、末っ子である我だけを逃がしたのです。」

「父は、〝よもや、アーティファクトを手に入れた、あ奴には勝てぬであろう。お前は生き残って、強くなり、いつか必ず、仇を討て〟と、我に希望を託したのでございます。」


と、言葉を続けたのだ。


俺は、


「何?!」

「アーティファクト!?」


と驚き、魔人姉妹も目を丸くする。


勇者が、


「なんですか?」

「その“アーティファクト”というのは??」


と、質問してきたので、


「非常に厄介な代物だ。」

「その裏切り者が、どんなアーティファクトを手中に収めたかまでは分からんが、もし、武器であれば、攻撃力を大幅に上昇させる。」


と答えたのだった。


不味(まず)いことになりそうだな。)


と、少なからず不安に駆られる俺の肌を、夕暮れ時の冷たい風が撫でていた…。



翌日の昼過ぎ、小雨が降るなか、両陣営が400~500Mの距離で睨み合っている。


グーマ軍も、ミノタウロス軍も、それぞれ500万ずつの、計1000万といったところだろう。


当然、牛ども以外のモンスター達も数多く見受けられる。


地上15M程の位置で【可視化】を使ってみたら、魔物の軍勢の中に、LV.115/武器装備での攻撃力は905、LV.118/武器装備での攻撃力は926、LV.137/武器装備での攻撃力は2466、という三体が居た。


(確か、ゴブリン女王が“火炎の(つるぎ)”を扱っていた際の攻撃力が“2072”だったから…、あのレベル137が“牛の王”って事か?)

(多分、きっと、そうだろうな…。)


と思った俺が、速攻で【絶対服従】を発動させる。


当初の予定では、全軍で突撃して、敵の半数ぐらいを倒し、こちらに喧嘩を売ったことを後悔させてから、屈服させたるつもりだったのだが、そんな余裕はなさそうだったので、変更したのだ。


【伝言】で、グーマ軍とミノタウロス軍の双方に、


その三体(・・・・)を討て!」


と、命じる。


ちなみに、ここ迄で俺が消費したMPはトータルで106だ。


最後尾に控えているソイツらを、囲むように襲い掛かった連中が、次の瞬間には宙に舞っていた。


新たなロードであろう[黒牛]を中心として、地面がドーナツ状に隆起したのである。


表現が難しいのだが…、そいつを軸とした直径4Mの範囲内は空洞となっており、その周りにて、幅10Mに及んで地面が突き上がったのだ。


高さは1Mくらいのモノから、20M程までと、様々ではあるが、岩ぐらいの硬さに転じたのだろう、


ズドドドドドドドドオオォォンッ!!!!


と多くのモンスター達に人間が、弾き飛ばされた。


全身の骨を砕かれたり、四肢が千切れた者もいるようだ。


その光景に、こちらのミノタウロスが、


「ブオオオオォォォォ――――ッ!!」


と吠える。


間違いなく“(にっく)き仇”なのであろう。


次第に勢いを増していく雨が、緊張と悲愴(ひそう)とが交錯する戦場を、容赦なく打ち付けていく―。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ