第49話 再びのダンジョン
「開戦まで、あと一ヶ月!」
「こうしちゃおれん!!」
との意見が多かったので、俺たちは再び[ゴーレムのダンジョン]に赴いていた。
その間に【伝言】にて、出動できる兵士や魔物たちは、グーマとの国境付近に集結するようにと、命じて…。
[スライムロード]とのバトルで、“氷漬け”が有効なのは判明していたので、これをもって[金のゴーレム]どもを倒していった。
地下4F層には、レベル60相当である[銀のゴーレム]が、B5にはLV.70前後の[銅のゴーレム]が、それぞれ5体一組で現れたのだ。
こいつらも、〝氷からの破壊〟に弱かった。
攻略さえ分かっていれば余裕だが、俺には或る疑問が生じていたのだ。
なので、食堂での昼飯時に、
「下の階に行くほど、ゴーレムは強くなっているのに、なんで、〝金→銀→銅〟の順番なんだ?」
「普通、逆なんじゃないか?」
と、述べてみたところ、
少し離れた席に座っている勇者が、
「いえ、それで合っていると思いますが…?」
「実際に、〝金→銀→銅〟の順で、強度が増していきますから。」
と答えた。
俺が、
「んん~?」
と、首を傾げていたら、割と近くにいた一年の生徒会書記が、
「つまり…、RPGとかのファンタジー系においては〝銅→銀→金〟が定番であるものの、〝現実は違う〟という事ではないでしょうか?」
「この三つに限ってであれば、本来は〝金が最も弱く、銅が一番強い〟と…。」
との見解を示した。
成程。
ファンタジーを知らない勇者こと[生徒会長]にしてみれば当然のことであり、そういう系統をインプットしまくっている一年生書記は簡単に理解できたのであろう。
2人とも学年は異なれども、流石は[特進コース]だ。
(どっちも、頭が良い。)
と、感心する俺だった…。
兎にも角にも、ここまではスムーズだった。
ロードを含めたメタル系スライム2体のお陰で、全員が大幅にレベルアップしていたし、魔人姉妹も同行しているから。
ただ、地下6階は、そうはいかなかった。
LV.100にあたる[鋼のゴーレム]が4体一組で襲ってきたからだ。
しかも、例の作戦が効かない。
手こずっていると次から次に増援が来やがるのも頭痛の種だった。
現在の俺たちでは歯が立たないので、ここは諦めて、B1~B5迄でのレベル上げに励んだ。
その甲斐もあって、この一ヶ月で、平均的に5コはUPしたのである。
ちなみに、LV.90を超えている者たちは2つずつであった。
状況確認…、しとく?
しとこうか??
いらない???
いや、しかし、俺自身も途中でパニクくる可能性あるし、ここは、やっとこう!
【クレリック】の一年生書記がLV.37で、【アサシン】である二年生書記はLV.43。
聖女はLV.47の、勇者はLV.53。
小将軍がLV.55で、中将軍はLV.61の、大将軍がLV.68。
トロールはLV.72となり、ミノタウロスがLV.80。
魔法剣士はLV.96で、魔人妹がLV.110の、魔人姉はLV.112である。
他には、勇者一行の人間たちがLV.35~40ほどで、モンスター達LV.55~60ぐらいだ。
そして、俺は…、[LV.114/HP2280/MP1140/基本攻撃力912/基本防御力684/基本素早さ456]となった。
それ以外の変化は、未だない。
何はともあれ、俺たちは遺跡を発つことにした。
勇者や聖女は、トーキーとグーマの国境に行ったことがない。
だが、魔人姉妹は過去に旅していただけあって、「転移できる」そうだ。
この二人の話しによれば、
「北と東の大陸における国々は、殆ど周りましたので、どちらも8割~9割方は、お連れすることが出来ます。」
「逆に、南と西の大陸に在る諸国は存じ上げておりません。」
との事だった。
いずれにせよ、俺たちは、姉の【瞬間転移】で、その場を後にしたのである―。