第38話 同盟国にて
「バラーキの王都には、幼少の折に2~3回ほど遊びに行ったことがありますの、今回は、私が…。」
と聖女が申し出たら、勇者が黙って頷いた。
かくして、およそ30万の兵も伴い、バラーキへと〝瞬間転移〟するのだった…。
王都の南門に出でると、そこの門兵に、大将軍が、
「トーキー王国からの援軍であるッ!!」
と、述べた。
しかし、俺たちが一瞬で現れたことや、モンスターが同行していたことに驚き、
「嘘つけ!!」
「貴様ら、どの様な手を使って出現した!?」
「おいッ、狼煙を上げよッ!!」
「ここから先は通さんぞぉッ!!」
と騒ぎになってしまった。
(ま、こうなるのも仕方ねぇか。)
と、思った俺は、この王都を【絶対服従】させて、堂々と城へと向かったのである。
聖女/勇者/各将軍/魔法剣士/ミノタウロス/ジャイアントアントを伴い、玉座の間へ入ると、バラーキの女王を始めとした要人たちが跪いた。
着席した俺が、全員を起立させところ、聖女が、
「ご無沙汰しております、女王陛下。」
「トーキーの王女でございます。」
と挨拶した。
これを受けて、
「……、まぁ、まぁあ、これは、お懐かしゅうございます!」
「本当に、御立派になられて…。」
と、バラーキの女王が微笑んだ。
身長160㎝前後で、54歳の彼女は、少しふっくらしている。
表現が難しいのだが…、〝細身と小太りの中間〟といった印象だ。
腰あたりまでの長さの髪を三つ編みしており、白色と灰色が入り混じった色をしている。
これは年齢によるものではなく、〝先祖が北の大陸出身のため〟との事だった。
俺の“白銀の髪”とは別物だ。
瞳は淡い緑色をしているのだが、これもまた“北の血筋”によるものらしい。
北国の人間の多くに見受けられる特徴ではあるが、同郷であっても髪や瞳の色は異なるのだそうだ。
バラーキの女王は、“くりっ”とした目に、二重瞼で、鼻筋が通っており、唇はポッテリしていて、肌は透き通るように白い。
やや童顔の美形であり、品の良さが全身から漂っている。
そんな彼女が笑うと、目尻や口元のシワが目立ったが、何故かしら妙に可愛かった。
俺は、
(熟女が好きな男たちは、こういうところも堪らないんだろうなぁ~。)
と思ったら、なんだかムラムラしてきたである…。
取り急ぎ、
「戦況は?」
と、訊ねたところ、この国における“総理”だという、恰幅が良い40代の男性が、
「国境付近の砦が陥落させられてしまいましたが、奪還すべく約100万の兵が奮闘しております。」
「また、先日、中央領から50万人を送り込みました。」
「しかしながら、敵にも増援があったようでして…、その数およそ400万に上っております。」
と説明した。
「ふむ…。バラーキに侵入しているモンスター達のなかで、最も強い奴のレベルは分かるか?」
と、質問したら、再び総理が、
「この国のアサシンで“隠密行動”を得ている者に調べさせた情報によりますと、一番高いレベルは102との報告でした。」
と述べた。
やり取りを終えると、女王が、その緑の瞳を潤ませながら、
「あの、主様。どうか、我が国をお助けくださいませ。当然、トーキー王国には、定められた報酬をお支払いします。」
「それで足りなければ…、私に出来ることがあれば何でも致しますので、何卒、宜しくお願い致します!」
と、懇願してきたので、
「何でも、だな?約束だぞ。」
と促したところ、
「はい。お心のままに。」
と、承諾した。
王都の上空50Mにて、
「現在、バラーキの国内にいる者たちは皆、俺に服従しろ!」
とスキルを使用した後に、魔物らが奪った砦を変換させて、バラーキとスライム国の両軍を待機させ、トーキーからの援軍を、一足先にそちらへと向かわせた。
そして、俺は…、女王を抱くことにしたのであった―。