第348話 クライマックス・転
空中にて。
[ガルーダ]と[ナーガラージャ]が、武器を打ち合っている。
押されているのは、[迦楼羅]であった。
“ファルカタ”を振るいながら、
「さっきまでの余裕はどうした!?」
[蛇神]が勢いづく。
“中剣”を弾かれがちな[鳥の王]は、
「今もまだ、別に追い詰められてはおらんが??」
そう冷静に返す。
「生意気なッ!!」
怒りが増したらしい[ナーガラージャ]が、
「やれ!」
このように命令したところ、“7匹のコブラ”が一斉に【紫色の毒霧】を口から噴射したのである。
それらを諸に浴びてしまい、
「がはッ!!」
[バードロード]が血を吐いた…。
[天地晦冥の主]が、
「それにしても……。」
「己らのアーティファクト、懐かしいのう。」
「どれもこれも強力であったことが思い出される。」
〝フッ〟と苦笑いする。
次の瞬間、
「だが。」
「余の“空絶の長剣”こそが至高であると、知らしめてやろうぞ。」
[ラスボス]が真顔になるなり、“ロングソード”を下向きのままで、
「ふんッ!」
横に払った。
これによって、最前線にいた約20名が胴を両断されたのである。
剣先から離れていたにも拘わらず。
唯一、危険を察したらしく“捷急の外套”を発動した[二年生書記]のみが、ジャンプして、躱せていた。
とは言え。
そうした惨状と、怒りで、俺は〝ゾワッ!!〟とする。
この流れで、
「にゃろうッ!」
【闇光線のドラゴンブレス】を放った。
それに対して、[天地晦冥の主]は、左の人差し指から【紫色のビーム】を飛ばしてきたのである。
「なッ?!!」
俺が驚くのと同時に双方が当たり、爆発が生じた。
こうした最中に、[ラスボス]が“長剣”を突きだす。
“ソード”は届かない距離ではあったものの、そんな事は関係なく、俺は、胸の中央やや左を、貫かれてしまったのである。
どうやら、心臓の半分ほどが欠けてしまったみたいだ。
仰向けで墜ちる俺を、
「マスター!??」
心配する[魔女]の額に、[天地晦冥の主]による【光線】が直撃した。
これによって、[ウィッチ]は、うつ伏せで下降する。
なお、俺も[三年の白人留学生]も、力が抜けてしまい、手から武器を落としてしまう。
地面に背中を叩き付けられた俺が、どうにか上体を起こしてゆく。
[勇者]などは“アーティファクト”を扱い、他のメンバーが【スキル】や【魔法】に“ライフル”を用いていた。
[ラスボス]を割と負傷させてはいるようだが、致命的なダメージには至っていない。
それどころか、[地球召喚組]は“空絶の長剣”や【ビーム】の犠牲になっていったのだ。
仲間が次々と殺されていくなか、
「やめ…、がはッ!!」
血を吐いた俺は、再び倒れてしまったのである。
ここへ、空を完全に覆っていた暗雲から、雨が降り注ぎ始めた。
更に、遠くより雷鳴が轟いてくる。
そうした宙では、浮遊できる者たちが戦闘を繰り広げていた。
俺は、ヒットポイントを回復させるために“ポーション”を取ろうと[アイテムBOX]へ左手を動かすも、激痛でままならない。
しかも、意識が朦朧としてしまい、もはや目を開けておくことすら叶わなくなったのである……。
一方、【猛毒】の影響で咳き込む[ガルーダ]に、
「所詮は嘴の黄色い雛鳥だったか…。」
「ま、悠久を生きてきた我とでは、年季が違うというものだ。」
[ナーガラージャ]が〝ニヤリ〟としながら、左の掌で敢えて“直径2Mぐらいの魔法陣”を展開しだす。
ちなみに、この世界の【マジックサークル】は、規模が大きくなるほどに、構築しきるまで時間が掛かる。
つまり、[蛇神]は、[迦楼羅]に解毒や逃げる暇などを与えないようにしたいのだろう。
とかく。
「焼かれろ。」
[ナーガラージャ]による直径2Mの【火炎】に見舞われる[バードロード]だった―。




