第344話 最後の戦い・其之玖
“グングニル”が、自動的に〝ぐぐぐッ〟と持ち上げた[女魔王]を、〝ブンッ!!〟と振り落とす。
これによって、 [ダークロード]は、うつ伏せで陸に叩き付けられてしまった。
[ウェンディゴ女王/猿の女王/狐の王]が“解毒ポーション”を摂取するなか、槍がオーディンへと戻っていく。
それぞれの様子を目視して、
(もう少し消耗させてからにしたかったのですが、仕方ありませんね。)
軽く〝ふぅ〟と息を吐き、意を決した[ペガサスロード]が、
「|スピードオブライト・ブロー《光速の一撃》!」
総大将へと突進する。
〝!!〟と反応し、急ぎ上昇して躱そうとするオーディンの左腹部に、[半天馬女王]が繰り出す“バンプレート状のランス”が刺さった。
「ぐはッ!」
総大将が仰向けで倒れゆくなかで、
(心臓を狙ったのに外されてしまいましたか。)
[ペガサスロード]が険しい表情となる。
地面に背を打ったオーディンが「オールヒー」と【治癒】を施そうとしたところへ、[狐の王]が“ロングソード”を払い【雷】を飛ばす。
この【伝導】が“両方の足裏”に当たった総大将は、ダメージを負うのと同時に感電した。
そこへ、 [ウェンディゴロード]が“吹雪みたいな息”を吐いて、オーディンの全身を凍らせる。
更には、
「疾風の一打!!」
すかさずダッシュした[猿の女王]が、おもいっきりジャンプして、両手で逆さに持った“剣”を振りかぶった。
[モンキーロード]は、この“武器”を、先ほど[半天馬女王]が怪我させた箇所に突き立てる。
それによって、【氷】が砕けるのと共に、
「がッあッ??!」
総大将の傷口が広がった。
オーディンの上に乗り、“ソード”を引き抜いた[モンキーロード]が、追加攻撃を行なうべく、構え直す。
総大将は、右手で“グングニル”を〝パシッ〟と掴むなり、横に払う。
「残影!!」
咄嗟に【スキル】を使った[猿の女王]は、後方へと逃れる。
上体を起こしつつ、
(回復する前にヤツラの自由を奪っておくのが良策か。)
こう判断したオーディンが、“左の掌”より一つだけ構築した魔法陣から八百本もの【雷】を放った。
各ロードにヒットするなかで、またしても敵と味方が巻き添えになる。
意に介さず、
(さて、回復魔法を…。)
【ヒール】を用いようとした総大将が、
(ん?)
(アイツは何処だ??)
訝しがりながら目を凝らした。
そうしたオーディンの背中に、左手で〝ピタッ〟と触れ、
「アルティメット・ドレインタッチ。」
〝ニィ〟と笑みを浮かべたのは、勿論、[女魔王]である。
……、本人は、総大将が凍らされたときに、“デラックスポーション”を飲んで、移動していたのだ。
ロードたちも、それを知っており、できるだけオーディンの注意を惹いておいたのであった…。
いずれにしろ。
違和感が生じた総大将が、
「何をしている?!」
[女魔王]に“左の肘鉄”を見舞う。
しかし、[ダークロード]は、素早く頭を下げて避ける。
この間にも、[女魔王]は決してオーディンから手を放さない。
「だいぶ鈍っておるのう。」
「まぁ、我の気配を感じ取れんかったぐらいだからして、なんら不思議ではないがな。」
そう述べた[ダークロード]が、
「ふぬりゃぁッ!!」
総大将の右脇腹あたりを“永夢の鎌”で刺した。
「く!」
「おのれッ!!」
石化に焦りだすオーディンを余所に、
「この辺りだったのぉう。」
「そなたが続けざまに負傷させられた部分の真裏は。」
[女魔王]が呟く。
総大将が、
「ディスオーダー・リカバリー!」
慌てながら唱えたタイミングで、[ダークロード]が〝ドウッ!!〟と【光線】を発する。
これがオーディンを貫くなか、立ち上がっていく王&女王達だった―。




