第339話 最後の戦い・其之肆
西方にて――。
“一風変わった武器”を手にしているのは、[ロキ]だ。
それは、農耕具から発展した長柄武器のひとつである。
鉈を元にして造られた“ビル”という代物だ。
ただし、“フック状に曲がった刃/細長い刺先/突起”といった形状なので、地球で言うところの後期型だろう…。
全体的に模様が施されている武器を、
「破壊。」
総大将が払った。
対する[犬・蠍・鼠の各ロード]と[ドワーフの国主]が、バックステップで避ける。
ここへ、左の掌を突きだして直径8Mの魔法陣を横並びで二つ構築したロキが、巨大で歪な【氷】と【土】の塊を飛ばしてきた。
[蠍の女王]は【残影】で逃れ、[鼠の王]と[小人族の長]が咄嗟に伏せる。
その状況で、[ケルベロス]は三つの口から同時に【オレンジ色の光線】を放ち、“クリスタル形の氷”を砕いた。
“土”に関しては、敵味方問わず幾らかの犠牲者が生じている。
軽く〝ふむ〟と頷いた総大将が、
「なかなか、いい反応だ。」
無表情で述べた。
[ドッグロード]の“左顔”が、
「余裕ぶりおって。」
不快そうにするなか、“右顔”が開けた口から直径50㎝の【黄色い玉】を出現させる。
[犬の王]は、ここから15本の【雷】を発射した。
しかし、それよりも先に【残影】を使ったロキには、1つも当たらない。
[ケルベロス]の背後に移動していた総大将が、
「縦断。」
“ビル”を振り下ろす。
これを、
「むッ!?」
左側へと跳ねるようにして躱す[ドッグロード]だった。
空を斬った[三将軍の一柱]の武器が、地面を叩く。
その間に、[蠍の女王]がロキの右側へと回り込む。
ただでさえ“素早さ”の数値が高い[ギルタブリルロード]は、クレリックの【加護】によって、かなりのスピードになっていた。
“短剣”を用いる[蠍の女王]が、
「疾風の一打!!」
更に速度を上げて、総大将の“脛の右側面”を刺す。
“脛当て”に罅が入ったところで、
「ふんッ。」
ロキが前から後ろへと直線的に“ビル”を払う。
これによって、柄の“石突”を右頬にヒットされてしまった[ギルタブリルロード]が、
「ぶはッ!」
血を吐きつつ、〝ズザザザーッ〟と滑る。
そうしたなかで、間合いを詰めていた[鼠の王]が、
「乱れ打ち!!」
籠柄の“バスケットヒルトソード”を扱った。
左脛当ての正面に亀裂が発生した総大将は、
「突抜。」
戦士の【スキル】を[ラットロード]に使う。
[鼠の王]は、体を捻り、辛うじて避ける。
一方で、〝ドタドタドタドタ〟と走って来ていた騎士の[ドワーフ国主]が、
「シールドスウィング!」
左手に装備している“盾”を横向きで振るった。
アイロン型の“ヒーターシールド”によって、[蠍の女王]が入れていた罅が増大するのと共に、ロキが左脛から血飛沫をあげる。
「どいつこもこいつも、ちょこまかと。」
いささか眉間にシワを寄せた総大将は、[小人族の長]へと再びの【縦断】を扱う。
「ぬおッ!!」
急ぎ盾で受け止めた[ドワーフ国主]は、右膝を地に着き、
「ふぅー。」
「“オリハルコン製”でなければ真っ二つにされておったわい。」
このように安堵した。
余談になるが、四大陸で大連合が成立した頃、[ガーゴイルの国]に在る鉱山の一つで “オリハルコン”が発見されたらしい。
とはいえ、そこまで大量ではなかったので、各国のロード達や長らの武器を作るので精一杯だったみたいだ。
ただし、[ドワーフ国主]はヒーターシールドもオリハルコンで製造している。
ともあれ。
こうした隙に、ロキの背後を取って、高くジャンプするのと共に改めて【ビーム】を放つ[ケルベロス]であった―。




