第26話 第2R
・・ ・ ・ ・ 。
ゴブリン女王の動きが止まったようだ。
(効いたのか?)
もはや見上げることすら出来ない俺には、イマイチよく分からなかった。
(これがダメなら、もう打つ手はない。確実に〝終わり〟だ。)
と、半ば諦めていたところ、
ガシャンッ!
という、剣が地面に落ちた音が聞こえてきて、
「大丈夫かえ!? お前様!」
と女王が正座して、ゆっくりと俺の体を反転させて仰向けにし、膝枕してきた。
(ん?〝お前様〟?)
と、思っていたら、ゴブリンロードが自分のアイテムBOXから取り出した〝ハイポーション〟を、俺の口に注いだ。
この世界では、[アイテムBOX]を所持している魔物たちも存在している。
ま、ドラ○エシリーズや、F○シリーズで、アイテムを落としたり、ドロップできるモンスターもいるから、不思議ではない。
ゴク、ゴク、ゴク、ゴク…。
「ぷッはぁーッ。」
と息を吐いた俺は、上体のみを起こして、安堵した。
そんな俺を背後から抱擁しつつ頬擦りしてきたロードが、
「死なずに済んで良かったわいのぉ~。愛しき御方よ。」
と、言ってきた。
確実に【チャーム】の効果があったようだ。
少なからず脱力感に襲われた俺は周囲を見渡して、
「こいつらを回復させてやんねぇとな。」
と呟き、ロードに、
「なぁ、他にもポーション持ってないか?」
と、聞いてみた。
「幾らかなら有るが、流石にこれだけの数は無理じゃ。全くもって足りん。」
「お前様が王都の兵たちに命じて治癒させた方が早かろう。」
との事だったので、そのようにした。
兵士たちが、“ポーション”や“ヒール”で皆を回復させてくれている光景を、俺は立ち上がって見ている。
ゴブリン女王が、自分の両腕を、俺の右腕に、組んできて、
「それではお前様、妾の城に行くとするかの。」
「何かと語り合わんといかんようじゃからのぉ~。」
と、不敵な笑みを浮かべたので、
「お、おう…?」
と返答した。
俺に付き従ってここまで来た魔物たちは、王城の庭園で休ませてもらえる事になったので、それぞれ[アイテムBOX]からテントを引っ張り出している。
そして――、俺たちは、ベッドの上でドッキングした。
そういう意味での第2R目は、俺が勝利を収めたのである―。