表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界を服従して征く俺の物語!!  作者: ネコのうた
― 第一期・異世界召喚 ―
25/350

第25話 詰み

いつ刺された?


俺が、通り過ぎる炎を見送っていた時に、間合いに入り込んだのか?


こちらより【素早さ】が上とは言え、ここまでとは…。


〝ズズズズ、ズ――ッ〟と俺の腹から剣が引き抜かれる。


俺は、


「ぶぁはッ!」


と血反吐を吐きながら崩れ落ち、地面に両膝を着いた。


そんな俺を見下ろす[ゴブリン女王]が剣を振り上げる。


広場の東西南北から、


「ご主君――ッ!!」


「主様ぁ――ッ!!」


という沢山の声と同時に、数々の魔法と矢がゴブリンロード目掛けて放たれた。


それに気づいたゴブリンの王が、野球のバットスイングのように、


「ふんッ!!」


と、180度半転しながら剣を振るう。


それに伴い、幅1M長さ10Mの“炎の筋”が出現し、全ての攻撃を燃やし尽くした。


俺は周りが作ってくれた(わず)かな時間を活用し、アイテムBOXから〝ハイポーション〟を取り出して、急ぎ飲み干す。


剣による一撃と、追加の炎で、俺のHPは半減していたが、〝ハイポーション〟によって500ポイントが回復した。


これで、HPが1600となる。


この世界の“通常ポーション”と“小ヒール”は100ポイントを、“ハイポーション”と“中ヒール”は500ポイントを回復させ、“DX(デラックス)ポーション”と“大ヒール”は全快させてくれる。


そういう意味では、“ハイポーション”で全回復することは出来ないのだが、俺が刺された部分は塞がり、焦げた箇所は元に戻っていた。


だが、衣服の一部には前後共に穴が開いたままになっている。


両の(てのひら)を前方に突き出した俺は、直径10Mの黄色い魔法陣を展開して、それと同じ大きさの雷を発射した。


ゴブリンロードは自身の右斜め上から左斜め下へと剣を振るい、炎を発動させる。


ぶつかった雷と炎が(まばゆ)い光を放ちつつ、


ズッボオオォォンッ!!!!


と炸裂した。


ゴブリン女王が、〝ググググッ〟と重心を下げて、獲物を狙う目で俺を見る。


(また、突く気だ!)


と、察した俺は、背中から翼を出現させ、宙に浮く。


「ほぉう、飛べるのか…。」


とロードが少し驚く。


そこへ、俺が服従させている連中が一斉に襲い掛かる。


魔法は粉砕される可能性が高いので、剣を抜いた俺もゴブリンの王に斬りかかった。



――どれぐらい経っただろうか?


3時間か、4時間か…。


いや、それは体感であって、実際は30分程だろう。


女王は、俺たちの様々な攻撃を、時に受け止め、時に(いな)す。


あまりダメージを与えることが出来ず、逆に向こうからの反撃によって死滅する者もいた。


俺たちは、HP・MPのポーションを使い果たし、マジックポイントも底をつき、ジリ貧になる。


多くの者が地面に横たわって(うめ)いているなか、俺は右から左へと剣を振るう。


逆方向から薙ぎ払ってきたゴブリンロードの剣と接触した刹那、


パキィィィィ――――ンッ!!


と俺の剣が真っ二つになった。


(マジか!?)


と、顔面蒼白になる俺の腹部右下から左肩に掛けて、二度目の激痛が走り、その部分が燃える。


ある程度ヒットポイントを削られていたので、これが致命傷となった。


顔面から倒れ、左頬を地面に打った俺のHPは残り2となっている。


近づいてきたゴブリン女王が、


「言い残すことがあれば聞いてやらぬでもないぞ。」


と声を掛けた。


(こんのッ、メスゴブめ~ッ。)


と、憤りながら、薄れゆく意識のなかで、俺は逆転の手立てを考える。


(このメスを黙らせる一手はないか?)

(この…、メス…、…、…、ん? メス??)

(そうだよな、こいつ俺にしてみれば異性だよなぁ…。)

(ひょっとしたら、まだ使ったことのないアレ(・・)が有効…、かも?)


と思考が完全にはまとまらないうちに、


「遺言が無ければ、命を絶たせてもらうぞ。」


と、両手で逆さに持った剣を頭上に振りかざす。


(仕方ない。イチかバチかだ!)


と俺は痛みに震えながら右の掌を挙げ、


「チャーム。」


と、唱えた―。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ