第20話 侵入、ゴブリンの国
今回は、ちゃんと寝た!
何故なら、[ゴブリンの国]をどうにかしないと、サータ王国にとっての脅威がなくならないからだ。
更には、ゴブリンどもがサータを滅ぼした場合、勢いに乗じてトーキー王国にも攻め込んでくるだろう。
早めに手を打っておかなければ、最悪の事態になりかねない。
なので、きちんと充電を済ませた、と、いう訳だ。
HP回復ポーション/MP回復ポーション/HPハイポーション/MPハイポーションを1個ずつ譲渡してもらい、宮廷料理人に作らせた軽食を受け取った俺は、サータ王国とゴブリン国との境に在るという城塞を目指して飛び立った。
途中で食事しながらの、約6時間後――。
見事に街と一体化している城塞で小休止した俺は、いよいよ、国境を超える。
そこから30分ほど北上していくと、大きな砦が現れた。
こちらの気配を察してか、砦から、全身が灰色の“ガーゴイル”が10体ほど飛んできて、5M程の距離を保ちつつ、
「見たことのない魔人だな…。」
「サータから来たのか?」
「何用だ?」
「お前は一体何者だ??」
と、口々に意見する。
言葉を喋れるという事は、それなりに知能が良いのだろう、3ポイントのMPを消費して【可視化】でチェックしてみたところ、レベル35前後の集まりだった。
全くもって黙ろうとせず、なんだかんだと喧しかったから、1ポイントのMPで【絶対服従】させる。
空中で跪いた彼らの中から、リーダー格のガーゴイルが、
「大変、失礼いたしました。」
と謝罪した。
「よい。それよりも…、あの砦にLV.108以上の者はいるか?」
と、問いただしてみたら、
「いえ、最も高き者で、50ぐらいだと聞き及んでおります。」
との答えが返ってきた。
「砦には、どれくらいの数がいる?」
とも訊ねてみたら、
「5万近くでございます。」
との事だったので、それぐらいであれば、これまた1ポイントの消費MPで済むと、砦に向けて【絶対服従】を発動させた。
[大将の間]にて、椅子に座った俺に、3体のモンスターがひれ伏している。
そのなかにいる砦の責任者は、身長175㎝ぐらいで、ガタイの良い、緑色と茶色が混じったような肌の“ホブゴブリン”だ。
青黒い髪を角刈りにしているソイツは、身に纏っている銅の鎧から察するに【戦士】であろう。
他は、身長160㎝ほどで二足歩行のメス羊と、身長130㎝くらいで紫の体毛をしているオスの蝙蝠だ。
羊の方は装備品からして【ビショップ】に違いない。
蝙蝠の方のジョブは不明だったが、自己紹介の際に【アサシン】だと述べた。
羊のレベルは43で、蝙蝠は40だ。
人間の国に比べて全体的に強いことが察せられる。
この者たちから得た情報によると、東西南北の領主と補佐役はLV.90~100との事だった。
これだけでも驚かされたのに、ホブゴブリンの、
「王城に住まう〝四将軍〟はレベル120前後で、ゴブリンロードに至っては148にございます。」
との発言に、頭が真っ白になる。
下調べせずに侵入したのは迂闊だった。
だが、今更あとには引けない。
熟考した俺は、一つ一つ手を打っていくことにした―。