第192話 ロード達の攻防戦・其之肆
「オウダン!!」
ウェンディゴロードが[ツーハンドソード]を払う。
身を低くして躱した魔人の女王が、“オレンジ色”に輝かせた[ロングソード]で、相手の右脛を〝ズドンッ!〟と突いた事によって、
ボォオ――ンッ!!
と、爆発したのである。
彼女の【伝導】がヒットし、脛当てを破壊されると共に負傷した敵が、
ドスンッ!
尻餅を着いた。
「グゥウ~ッ!!」
呻くウェンディゴロードの腹部に、魔人の女王が10連発の【乱れ打ち】を、
シュババババババババババンッ!
命中させる。
「ガハッ!!」
相手は血を吐いて後ろに倒れそうになるも、どうにか堪えた。
「並の者であれば死滅しているところなのに、流石は“ロード”ね…。」
「……、いいわ、少しだけ本気を見せてあげましょう。」
そう告げた魔人の女王が巨大化する。
8Mの背丈になった彼女に合わせて武器と防具のサイズが変わった。
両手で掴んだ剣を掲げた魔人の女王が、
「なにか言い残すことは?」
確認する。
「…………。」
ウェンディゴロードは、ただ無言で睨んでいた。
「何もなければ、これ以上の無駄話は止めて、あの世に送ってあげます。」
魔人の女王が青く光らせたソードを、敵の頭めがけて振り下ろす。
ガシィンッ!
兜を真っ二つにされた相手が、
ビキビキビキビキィ――ッ!!
氷漬けになる。
「それでは、さようなら。」
【一点集中】を用いた魔人の女王が、片手でロングソードを突き出した。
ドッゴオォ―ンッ!!!!
胸元に直撃したウェンディゴロードが砕け逝く…。
[熊の女王]は、身長6Mの【武闘家】で、レベルは“147”である。
黒の道着に、赤の胸当て/籠手/脛当てを装備していた。
LV.152の[狼の王]もまた【武闘家】である。
こちらは、紫の道着に、黒の胸当て/籠手/脛当てを纏っていた。
どちらも“鋼”のようだ。
互いに先を取ろうとして、構えたまま微動だにしない。
“レベルのみ”であれば単純にウルフロードの方が上だが、巨躯であるベアークイーンの打撃は威力がありそうなので、まともにはくらいたくないのだろう。
逆に、熊の女王は、自分よりも素早そうな相手に警戒しているみたいだ。
暫しの沈黙の後に………、〝ピクッ!〟ほぼ同時に反応した二体がダッシュで間合いを詰めて、右のパンチを繰り出す。
ドォンッ!!
双方の拳が、ぶつかり合った結果、狼の王が弾かれた。
彼の懸念どおり、パワー負けしたようだ。
バランスを崩したウルフロードが、急ぎ、体勢を整え直そうとする。
〝そうはさせまい〟と、左の“ベアークロー”による一打を、敵が放つ―。