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異世界を服従して征く俺の物語!!  作者: ネコのうた
― 第一期・異世界召喚 ―
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第19話 新王側位

夕食中に、西方領主にも、


「国王にならないか?」


と持ち掛けてみたが、


「恐れながら…。」


と、首を横に振られた。


きっと見兼ねたのだろう、東方領主が、


「先王の近衛兵長を務めていた者は如何でしょう?」


と提案してきた。


それに対し、西方領主が、


「それは良うございますな!」


と、同意する。


「それほどまでの人材か?」


と訊ねてみたら、


東方領主が、


「義に厚き者ゆえ。」


と、答え、


西方領主が、


「現王に比べて、遥かに賢明ですし。」


と補足した。


しかし、その者は投獄されているので、まずは解放してあげねばならない。


「そう言えば、第一陣と第二陣で生き残った連中はどうしてるんだ?」

「てっきり他の陣営に合流しているものとばかり思っていたんだが…。」


と、聞いてみたところ、東方領主が、


「許可なく勝手に退却した場合は、処罰されてしまいますので…。」

「最悪は死刑、運が良くても一族ごと国外追放になってしまいます。」

「なので、今は、野山に身を隠しているものかと推測されます。」


と説明してくれた。



翌日、今後の方針を思案しつつ朝食を済ませた俺は、


「よし、決めた!」


と、立ち上がり、背中に翼を出現させて、地面から50Mぐらいの宙に浮き、1000ポイントのMPを消費して、


「サータ王国にいる者は、王族と各将軍および各大臣一族を除いて、服従せよ!」


と【絶対服従】を発動させ、続けざまに【伝言】で、


『王都の兵士たちは、王族は元より各将軍と各大臣の一族を捕縛しろ!』

『監獄の守衛どもは先王の近衛兵を一人残らず牢から出して自由を与えよ!』

『最後に、野山に潜伏しているであろう逃亡兵が地元へ帰還することを許す!』


と、下知して、東方領主と西方領主の頭上2Mほどの高さまで降りた後に、


「俺は、これから、サータの王都に行くが、お前たちは帰郷して良いぞ。」


と、別れを告げ、都を目指して飛び立った。



およそ4時間が経過し、疲れてきたのと、空腹になってきたのとで、中央領土に近い、南方領土の砦に立ち寄り、早めの昼食を摂って再び飛行する。


更に2時間が経過する頃に、サータの王都に入った。


上空から眺めてみると、都の中心に王城があり、その周辺は円形の水堀に囲われている事や、城の東西南北に跳ね橋が存在しているのが見て取れた。


南の城門に幾つかの人影が認識できたので、そこへ降り立ってみると、シトロングリーン(鶯色)の軍服を着た3名の男女が跪いた。


「我々を開き放っていただき、ありがとうございました。」

「自分は先王の近衛兵長を務めさせて戴いていた者にございます。」


と挨拶したのは、30代後半の男だ。


その者は、眉に掛かるか掛からないかくらいのブラウンの髪の毛に、割と長めのもみあげと、無精ひげが特徴的な【剣士】で、レベルは27だ。


彼の後方の左右には、30代前半の男性でLV.25の【戦士】と、20代後半の女性でレベルは21の【|シーフ(盗賊)】が控えている。


「何故、俺が来ることが分かった?」


と、素朴な疑問を投げかけてみたら、【シーフ】が、


「第三陣に私の旧友がおりまして…、その者の“伝言”で、主様がこちらに向かっている事を知らされておりました。」


と経緯を語った。


「そっか…、出迎え大義である!」


「勿体なきお言葉、恐悦至極にございます!」


とのやり取りを経て、城内の中庭に案内された。



小学校のグラウンドくらいの面積がある円形の庭には、上半身を麻縄で縛られた男女300人程が正座させられていた。


おそらく舌を噛み切らないようにだろう、咥えさせられた布が後頭部で結ばれている。


先頭にいる、最も豪華な服装の母子が、王太后と現王に違いない。


二人とも金髪の瘦せ型で、マッシュルームヘアーの王は確かに頭が悪そうな顔つきをしている。


捕らえられている者たちのなかに幼子(おさなご)はいなかった。


もし、いたのならば、服従させた後に保護させようと考えていたのだが、どうやら取り越し苦労だったようだ。


元近衛兵長が、


「いかように処分しましょうか?」


と、訊ねてきたので、


「あー、そのことなんだが…、まずは、お前を王に即位させて、こ奴らの処罰と新たな人事を一任しようと思っている。」


と伝えたところ、


「自分が“王”にですか?」


と、ビックリして、


「自分には荷が重すぎて、国を治めるのは難しいかと…。」


と断られそうになったので、


「サータの東方領主と西方領主の推薦でもある。」


と、説得したら、


「あのお二人の…、となれば、期待に応えなければ面目を潰してしまいますな。」


と頷き、〝フ――ッ〟と息を吐いた後に、


「謹んでお受け致します。」


と、右手を左胸に添えて、深々と頭を下げた。


これに対して、現王が、


「んーッ! んんーッ!!」


と何やら抗議したようだが、近くにいた兵士が、


「うるさいッ!!」


と、持っていた槍の柄で、顔を殴って黙らせた。



かくして、玉座の間で戴冠式を済ませた新王は、外に集まっていた民衆に向け、城のテラスから、


「余は、人心を無視しない政策を執り行うことを、ここに誓う!!」


と高らかに宣言した。


そこからは、都中が、飲めや歌えの大騒ぎとなり、やがて夜が更けていったのだった―。


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