第188話 援軍
幾千もの【バーニング・ロック】が、斜め下の敵軍へと降り注ぐ。
ズドンッ!!
と、命中したモンスター達が倒れながら、
ボォウワッ!!
全身を炎に包まれていく。
新連合軍が一斉に後ろを振り返ったところ、空中から、
「久しいな! “トーキーの魔人”よ!!」
「軍勢を整えるのに、いささか時間が掛かってしまい、遅れてしまった!」
「すまんな!!」
そのように声をかけてきた者がいた。
俺は、ソイツを認識するなり、
「ガルーダ!」
笑みを浮かべたのである。
[バードロード]の周囲には、およそ200万の兵が見受けられた。
翼を有している将軍らや領主たちの姿もある。
「王陛下!」
「現在の主様は、“東の覇王”になっておられます!!」
[トーキーの姫殿下]が告げたところ、
「ふむ。」
「相分かった!」
「これからは、そのように呼ぶとしようぞ!!」
承諾したガルーダが、自身の“アイテムBOX”から取り出した[MP回復ハイポーション]を飲んで、俺に近づいてきた。
「状況は?」
伺ってきたバードロードに、俺がザックリと説明したら、
「なるほど……。」
「では、オレが、マンモスを捻り潰してくれよう!」
と、宣言したのだ。
『そういう事だから、各ロード以外は、他の敵を倒していくようにッ!!』
俺が【念話】で伝えたところ、
『了解いたしました。』
『ぬぐぅ~ッ、仕方なし!』
『お任せします。』
エルフ・ドワーフ・兎の各代表が、[鳥の王]に譲ったのである。
『じゃあ、気を取り直して…。』
『全軍、突撃ぃい――ッ!!』
俺の号令に従い、
「うおおおお――――ッ!!!!」
誰もが殺到していった。
ロード達による対決の図式は、
ホワイトモンキー VS スライム
ホワイトフォックス VS 半ペガサス
ウェンディゴ VS 魔人
ホワイトベアー VS ウルフ
ホワイトマンモス VS 半鳥
で、ある。
これに準ずる幹部らも、睨み合っていた。
周囲で乱闘が起きているが、敵軍の4割ほどは、[狼の国]の中将軍による【咆哮】が未だ効いており、無抵抗みたいだ。
そして、あちらこちらで、王や女王が動き出す……。
モンキーロードは、【アサシン】であり、黒い衣服の上から“黒鉄の甲冑”を着ているが、基本的には軽装のようだ。
一方のスライムクイーンは、体を【クレリックローブ】のように変形させている。
どうやら、これが、彼女の、お気に入りらしい。
そんな[スライム女王]の、現在のレベルは、105だ。
[猿の王]との差は、30である。
スライムロードの方が明らかに不利であろう。
俺が危惧するなかで、戦闘が開始された―。