第187話 魔王軍・其之肆
勇者が、
『覇王様、いかがなさいます?』
『やはり、真っ向勝負でしょうか??』
【念話】で尋ねてきたので、
『ああ、そうだな。』
『結構な数だが、他に策があるわけでもねぇし……。』
『問題は…、ロードや幹部どもだな。』
と、俺は述べた。
幹部らは、モブよりも1Mほど大きく、レベルは125~130の集まりである。
ロードたちは、更に1Mデカく、体毛が白い。
[モンキーロード]は、3Mの身長で、LV.135だ。
[フォックスロード]の背丈は4Mであり、レベルは138だった。
[ウェンディゴロード]は、身長5Mで、LV.142である。
[ベアーロード]の背丈は6Mであり、レベルは147だ。
[マンモスロード]は、身長が7Mで、LV.153だった。
『あちらの親玉どもは、こちらのロード達で受け持とうぞ、覇王殿!』
[狼の王]が提案したら、
『では、そうしましょう。』
[魔人の女王]が賛同し、
『分かりました。』
[馬の女王]も了承したのである。
『でも、それだと、計算が合いません。』
[スライム女王]の意見に、
『私が出ましょう。』
[エルフの国主]が立候補したものの、
『いぃ~んやッ!』
『儂に任せろ!!』
[ドワーフの国主]が待ったを掛けた。
これに、兎の四将軍である[ヴォルパーティンガー]が、
『ロードに拘らず、国の代表ということで問題ないのであれば、自分が闘いましょう。』
と名乗りを上げたのである。
そこからは、『いえ、私が。』『否! 儂が!!』『いえいえ、自分が。』と、不毛なやり取りが繰り返されていった。
『あー! もう!!』
『埒が明かねぇから、俺が、一番レベルが高いマンモスの相手をする!』
半ばイラついて告げたところ、
『覇王さんは、魔王に備えて温存なさってください。』
[天馬のロード]に止められてしまったのである。
『あのぉー、なんでもいいので、すぐに決めてもらっても?』
『かなり近い距離まで、大軍が迫っていますので。』
【クレリックランサー】に言われて、誰もが〝ハ!〟としたようだ。
この流れで、ウルフ国の中将軍である“熊の獣人”が【咆哮】を使い、敵を足止めした。
『よぉーし。』
『こうなれば……、早いもん勝ちじゃあ――ッ!!』
我先に飛び出した[小人族の長]に、
『抜け駆けは、よくありませんわ!』
『卑怯ですぞ!!』
[森人族の長]と[ヴォルパーティンガー]が慌てる。
足並みが乱れゆくなかで、俺達の背後(斜め上)から、
「バーニング・ロック!!!!」
と、聞こえてきた次の瞬間、八千万の魔王軍めがけて、“マグマを纏った直径1Mの黒い噴石”のような物が、大量に発射されていく。
それは、まさに、【灼熱の岩】であった―。