第185話 魔王軍・其之弐
俺は、魔法を軸に戦いながら、敵軍を洞察している。
待機している魔王軍の後方に視線を送ってみたところ、身長15Mぐらいのモンスターが居た。
肌は紫色で、額から二本の角が生えており、肩あたりまでの長さがある黒髪はオールバックだ。
金のような鎧を纏っているが、実は“銅”らしい。
肩当てに付属しているマントは黒かった。
ソイツの近くには、背丈が10Mほどの、似たような連中が、数千万、見受けられる。
肌は、青色や、赤色だ。
甲冑が鉄製であったり、マントを着けていない事から、家臣だろうと推測された。
『あれって……、“オーガ”か??』
誰ともなく、【念話】で訊ねてみたら、
『うむ。』
『間違いない。』
『そして…、ひときわ大きいのがロードであろう、“東の覇王”よ!』
[狼の王]が考察したのである。
『他にも、デッケぇのが、ゴロゴロいやがるが?』
俺の目には、身長が17Mはありそうな魔物も、映っていた。
肌は茶色で、やはり、金みたいな“銅の鎧兜”を装備している。
コイツの肩当てに付属しているマントは紺色だ。
その付近には、背丈が12Mくらいの、似たような奴らがいる。
こちらの甲冑も鉄製であり、マントを着けていない。
肌は、水色や、桃色だ。
『あれらは“ギガンテス”に、“ギガースロード”じゃな。』
アンデッドソーサラーの説明に、
『ん??』
俺は首を傾げた。
これを察してか、幅4㎝×長さ20㎝の【光線】を、何百本も放っている一年生書記が、
『“ギガンテス”というのは複数形の呼び方で、単独であれば“ギガース”となります。 覇王様!!』
と、伝えてきたのである。
『へぇー。』
初めて知った俺だった。
敵が、新たに、およそ三千万を動かしたようだ。
今度は、猿/狐/ウェンディゴ/熊/マンモスだけでなく、オーガとギガンテスも数万ずつ含まれている。
ちなみに、ギガンテスは、ドラ○エシリーズみたいな、一つ目ではない。
“二つ目”だ。
更に、角は生えていなかった。
それら以外にも、人間っぽいモンスター達が飛来している。
身長は160~180㎝とバラつきがあるが、どいつもこいつも、頭の左右に“悪魔のような角”を生やしており、背中には蝙蝠の翼を有していた。
ピンク色の肌は女性陣で、薄紫色の肌は男性陣みたいだ。
数は、合わせて1000万といったところだろう。
この寒空の下、どちらも露出度が高い。
『オォ~、“サキュバス”トォ、“インキュバス”デスカァ~。』
幅4.5Mの“火炎魔法”を発射していた三年生の【ウィッチ】が述べる。
『魅了されてしまう前に、倒しましょう!』
[馬の王]が全員に告げるも、少し遅かったようで、一斉に【チャーム】を発動されてしまったのだ―。