第159話 狼の国にて
狼の国は、[北の大陸]の南側に在るそうだ。
俺たちは、その[狼の国]で“義眼の奴”を探っていた女性魔人の【瞬間転移】にてテレポーテーションした。
魔人側は、レベルが148で【魔法剣士】の[女王]と、女性の【ビショップ】でレベルが132の[左将軍]に、姉妹の兄でレベルが115の【戦士】である[後将軍]が、赴いたのである。
王都の南門に渡ったところ、魔人の大使である男性と、その付き添い4名が待っていた。
他にも、狼の獣人と半獣が4名ずつの、計8名が見受けられる。
どれも、男性と女性が半々のようだ。
「お待ちしていました。」
頭を下げる大使らに、
「お出迎え、ご苦労さまです。」
魔人の女王が返す。
狼たちの代表と思しき獣人の男性が、
「ようこそ、お越しくださいました。」
「これより、皆さんを王城に、お連れしますが…、よろしいでしょうか?」
と窺ってきた。
「ええ、問題ありません。」
「よろしくお願いします。」
女王が軽く会釈したら、狼の半獣である女性が、
「それでは…。」
と、“転移”を発動したのである。
[謁見の間]にて――。
黒を基調として白糸による模様が入った王族らしい服装に、赤マントの、“ワーウルフ”が、玉座に腰掛けていた。
王冠を被っているので、間違いなく、[狼のロード]だろう。
毛並みは銀色で、瞳は青い。
〝スッ〟と立ち上がった王が、こちらに歩いて来る。
身長は2.5Mぐらいありそうだ。
そのロードが、
「お初に、お目にかかる!」
「魔人の女王陛下と、トーキーの魔人殿。」
笑みを浮かべた。
「ん?」
「俺の事も知っているのか??」
素朴な疑問に、
「うむ!」
「事前に、大使から聞いていたからな!」
狼の王が答えて、
「私が“念話”で連絡しておきました。」
魔人の女王が補足したのである。
「あの…、私どもの大叔父が、盗みを働いたそうでして、誠に申し訳ございません!」
魔人姉に続き、
「本当に、すみませんでした。」
魔人妹も謝った。
これに対して、
「ふ…む。」
「ま、そなたらに罪はない故、あまり気に病むな。」
王が、優しく声を掛ける。
「ありがとうございます。」
揃って感謝する姉妹であった。
「ところで…、奪われた“アーティファクト”っていうのは?」
俺が訊ねたところ、
「うむ。」
「それに関しては、“馬族のロード”とも会って、話しをしていく事になっている。」
「もう間もなく約束の時間になるので、早速ではあるが、移動するとしよう。」
と促してきたのである。
俺たちは、[狼の国]の宮廷魔術師によって、西側に位置している[馬の国]との国境付近に【瞬間転移】した。
人狼たる王が伴わせたのは、三将軍のうちの[大将軍]と[小将軍]だ。
大将軍は、毛並みが白いメスのワーウルフで、LV.134の【騎士】である。
背丈は180㎝くらいだろう。
小将軍は、狼の半獣である女性で、LV.118の【剣士】だ。
身長は170㎝前後で、腰あたりまでの長さがあるグレーの髪の毛はストレートである。
城の留守を任されている[中将軍]は、黒い毛並みの“熊の獣人”だ。
背丈は4M近くあり、LV.127の【戦士】で、左頬に縦長の切り傷があった。
ちなみに、[狼の王]は、LV.152の【武闘家】である。
俺達が、国境に“転移”したのとほぼ同時に、馬側も〝シュンッ!〟と現れたのだった―。