第151話 反連合軍・其之零
『新たな未来を見ました。』
『バーチ、カナーガ、ヤーナ、ズーカ、ギーフー、チーアが手を組み、それらの軍勢が北上しています。』
『2~3日中には、バラーキ、トーキー、グーマ、ミノタウロスの国境付近に到着する模様です。』
『なぜ、そのような状況になった?』
『どうやら、“限りなき御方”のことを知ったようでして…、〝トーキー王国を中心に各国が徒党を組む前に潰してしまおう〟との意見で一致した模様です。』
『成程。』
『わざわざ、すまねぇな、連絡してくれて。』
『いえいえ、私どもとしましても、こんなところで“限りなき御方”にコケられては困りますので。』
『魔王による〝暗黒の時代〟を阻止して戴くためにも。』
『まぁ、こっちとしても未だ死ぬ予定はねぇよ。』
『頼もしいですわ、うふふふふッ。』
『それでは、これにて、失礼いたします。』
『ああ、じゃあな。』
“森人族の長”との【念話】を終えた俺は、いつものメンバーを会議室に集めたのであった。
トーキーの王が、
「このような事態になるとは…。」
と、眉間にシワを寄せる。
俺の、
「期間が3日ぐらいしかないとなると、全てを“服従”しきれねぇから、やり合おうと思う。」
との意見に、ミノタウロス元帥が、
「全面戦争、望むところです!」
と息込んだ。
他の者たちも異論なく賛同したので、俺は、標的にされている国々に【伝言】で説明した後に、チーム分けを行い、勇者/聖女/賢者/魔人姉妹によって、皆を“転移”させた。
バラーキには勇者一行、トーキーには聖女・各将軍・魔人姉妹、グーマには俺、ミノタウロスの国にはモンスター達といった布陣だ。
それぞれの王国も急ぎ戦準備を整え、【瞬間転移】を使える面子によって国境へと向かう運びとなった。
図式としては、勇者一行&バラーキVSバーチ、トーキーVSカナーガ、俺&グーマVSヤーナ&ズーカ、牛の王国&トーキーの魔物たちVSギーフー&チーア、である。
翌日、俺が一人で野営していた最前線に〝シュン!〟と約50万の兵が出現した。
俺の方へと歩み出て、
「お久しぶりでございます。」
と、頭を下げたのは、グーマの女王である。
「お前も来たのか?」
「危険だぞ。」
少なからず心配する俺に、
「敵は、おそらく、合計で1500万以上の数になっているでしょう。」
「もしも国境を超えられてしまったならば、どこにも安全な場所はございません。」
「それに…、主様が来てくださったのであれば勝利は確約されたようなものですので、一国の責任者として今回の結末を見届けに参りました。」
と述べた女王が、微笑んだ。
流石の胆力である。
更に一日が経過して、各地でバトルが勃発したのであった―。