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異世界を服従して征く俺の物語!!  作者: ネコのうた
― 第三期・この世界の歴史と未来 ―
138/350

第138話 締結

「フッ、フフフフフッ。」

「フハーハッハッハッハァッ!!」

「思念体だけになってまで、完全には消滅せなんだとは、あ奴らしい!」


とリヴァイアサンが愉快そうにする。


「知り合いか?」


と、質問した俺に、


「うむ。」

「かつて、殺し合うた仲よ。」


と、“水の王”が目を細めた。



なんでも、旧魔王は、世界の半分ぐらいを制圧していた頃に、陸だけでは満足できなくなって、海をも支配しようと乗り出したらしい。


そこに待ったをかけたのが、この“海の王”である。


ほぼ互角の二体は、およそ三日に亘って、不眠不休で戦ったものの、勝負がつかなかったそうだ。


その結果、おもいっきり意気投合し、“強敵と書いてとも(・・)と呼ぶ”間柄になり、不戦協定を結んで、飲み明かしたらしい。


これによって、あの時代の魔王は、二度と海に手を出すことはなかったとの事である。


ちなみに、リヴァイアサンは水陸両用(・・・・)だそうだ。



「いや、実に懐かしい!」

「眷属に任せず、わざわざ我が自ら出張った甲斐があったわッ!」


と“水の王”が上機嫌になった。


「それじゃあ、今回のことは…?」


と、窺う俺に、


「うむ。」

「さっきので勘弁してやろう!」

「なにせ、久方ぶりに、あ奴のことを鮮明に思い出させてくれたからのうッ!」


と許してくれたのである。


俺が〝ホッ〟と安堵したところで、“海の王”が、


「我は拠点へと戻るが…、魔人よ、何か困ったことがあったら“念話”しくると良い。」

「あ奴との縁で、助けてやろうぞ!」


と、約束してくれた。


こうして俺は、ガルーダに続いて、強力な味方を得たのである。


住処(すみか)へと帰っていくリヴァイアサンを見送った俺は、


「ふぅ――ッ。」


と息を吐き、


「さて。」


と、後ろを振り向いて、三年生の魔女を睨み付けた。



砂浜に正座させたウィッチを、多くの面子が囲んでいる。


割と離れた場所にテント(ゲル)を張っている連中は、全くもって騒動に気付いておらず、まだ熟睡しているみたいだ。


武術士のボクっ娘が、


「で? どうするッスか? 主様。」

「取り敢えず、ボコっとくッスか?」


と聞いてきた。


「ま、それだけの事を仕出かしやがったが…、お陰でリヴァイアサンと友好関係になれたしな。」


〝ふぅ~む〟と対処に困ったところ、


「ワザワイィ、テンジテェ、フクトナスゥ、ト、イウヤツデスネェ~。」


と、自慢げになりやがったのである。


(こいつ、反省してねぇな。)


と俺が呆れていたら、二年生書記のアサシンが、


「結局は、主様が、かつての魔王と同化していたからこそ、危機を脱したのでは?」


と述べ、一年生書記のクレリックが、


「その通りです!」

「この場に主様が居なかったら、全滅していたところですよ!!」

「然るべき処罰を与えましょう!」


と、続いた。


「どんな?」


と訊ねる俺に、生徒会長の勇者が、


「今日一日、武術士さんの特訓に付き合わせるのは如何でしょう?」


と、提案したのである。


これには、ボクっ娘が、


「いいッスねぇ~!」


と笑みを浮かべ、魔女が、


「オー、ノー!!」


と、頭を抱えた。


何故なら、体育会系ではないウィッチにとって、ボクっ娘のハードトレーニングは、地獄としか言いようがないからである…。



水平線に日が沈んでゆく。


野外に置かれた椅子の一つに腰掛けている三年生の魔女が“燃え尽きた真っ白な灰”みたいになっていた。


それを目撃した60歳くらいの男性教師が、


「まるで、矢○丈だな。」


と呟いたらしい。



翌日、ウィッチが全身筋肉痛に苦しんでいる。


一年の生徒会書記によれば、


「いくら“ヒール”であっても、怪我以外は治せません。」


との事で、動くたびに、


「オォウッ!」


「ノォアッ!」


と、顔を歪める魔女だった―。


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