第135話 ドワーフも
久しぶりに、 [魔道機関車]の様子を見に行ったところ、携わっている人間とドワーフが作業しながら、フォークシンガーのイ○カで有名な“なご○雪”を熱唱していた。
俺に気付いた[科学開発班]の男性教師が、
「おお、ご主君!」
「お出でになられていましたか。」
と、話し掛けてきたので、
「お前か?」
と質問してみたら、
「は?」
と、返されたのである。
「だから…、お前だろ、この歌を流行らせたのは。」
「世代的に考えて!」
「あ、ああ。」
「そうですが……、何か問題でも??」
「あれは“汽車”であって、機関車じゃねぇだろ。」
「確かに、そうではありますが、機関車にまつわる歌となると、“トー○ス”あたりになってしまいますので、これが最適かと思いまして。」
「お気に召さないのであれば、すぐにでも変更しましょうか?」
という、やり取りに、どーでもよくなった俺は、
「いや、構わん。」
と、許可した後に、
「ま、頑張ってくれ。」
「俺は、“飛行艇”の方も視察するから。」
と背中から翼を出現させて、飛び立ったのである。
案の定と言うべきだろうか?
こっちでは、“KING ○NU”の飛○艇が流行っていた。
どうやら、男子生徒の誰かしらが教えたらしい。
いや、まぁ、正解ではあるんだけどさ…。
「お、魔人殿!」
と、声をかけてきたドワーフの棟梁が、
「我々も、合宿とやらに同行させてもらっても宜しいでしょうか?」
と尋ねてきたのである。
なんでも、こちらの世界の人族が“先祖礼拝”で休みになっている期間は、人手不足になってしまうので、仕事を中断するしかなく、暇になってしまうのだそうだ。
「エルフの世話になるが、いいのか?」
「種族的に仲が悪いんじゃ??」
との疑問を呈する俺に、
「千年前の帝国の時代に苦難を共にしてからは、そうでもなくなっております。」
「あれ以来、それぞれ離れた位置に国を造ったので、交流は殆どなくなりましたが、互いに敵視するほどではありません。」
と、説明してくれた。
「じゃあ、気兼ねなく参加してくれ!」
と快諾した俺は、
「それにしても、意外と早く進んでるな。」
と、[魔道機関車]および[飛行艇]のプロジェクトが7~8割方、形になっていることに、少なからず驚いたのである。
棟梁によれば、このドワーフチームは、【錬金術師】との事だ。
人族の一部にも、このジョブの者たちが存在しているらしい。
錬金術師は、生活魔法の一つ【物体浮遊】を使えるそうで、大きな物を運搬したり、単純作業を行う際に、用いているのだそうだ。
お陰で、それなりに労働がスピーディーになるらしい。
俺は、
(この調子でいけば、浴場も年内には完成しそうだな。)
と心の中でガッツポーズするのであった―。