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異世界を服従して征く俺の物語!!  作者: ネコのうた
― 第三期・この世界の歴史と未来 ―
130/350

第130話 グルル・ヤクシャ

勇者が、


「主様、どうします?」

「すぐにでも出発しますか?」


と窺ってきたので、


俺は、


「いや、(みな)、疲れてるだろうから、()めておこう。」

「最悪、バードロードと戦うことになるかもしれんしな。」


と、答えたのである。


「ところで、そっちに“瞬間転移”を使える奴はいるのか?」


と訊ねる俺に、中将軍のサンダーバードが、


「軍勢のなかに、幾らかは。」

「なので、王城に直通するのも可能だ。」


と、返してきた。


俺は、全員に、


「そっか…、じゃあ、今日は、もう、ゆっくりしよう。」

「明日に備えて。」


と促した。


一旦、解散となったタイミングで、魔人の姉が、誰かに【念話】している。


妹が言うには、地元の父親に、大叔父が仕出かしたことを伝えているのだそうだ。


彼女たちの父から“魔人の王”へと報告してもらい、国からアサシンらを方々(ほうぼう)に放つなどして、本人が何処に居るのか探してもらうつもりらしい。


これ以上の犠牲者を増やさせないのと共に、大叔父に罪を償わせるべく捕縛するつもりのようだ。


親族としての責任を果たすために…。



一夜明けてのAM10:00頃――。


俺は、まず、鳥たちの軍勢を、それぞれの地元へと帰らせた。


その後、バード国の幹部たちと一緒に、城の1Fエントランスへと転移したのである…。



鳥の王は、最上階にある自室に(こも)っていた。


部屋の扉前(とまえ)で、大将軍であるグリフォンが、


「取り敢えず、我々だけで王と話してみるので、(すぐ)れし御方たちは、ここで待機していてくれ。」


と、慎重になったので、俺は、


「ああ。」


と頷いたのである。



閉ざされた大きな扉の向こうから、


「何ッ?!」

「魔人だと!!?」

「どういう了見で、勝手に連れてきたッ?!!」


と、男の怒鳴り声が聞こえてきた。


サンダーバードが、


「お、お待ちください!」

「どうか、我らに説明する機会を、お与えくださいませ!!」


と慌てている。


更に、進化系グリフォンが、


「納得いただけなかった場合は、私の首を差し出しますので、お願い致します!」


と、説得を試み、南方領主のトロールや、西方領主のレッドキャップなどが、


「自分の命も奪われて構いません。」


「私も。」


と続いたようだ。


それからは、暫くの間、室内が静かになった。


数分が経ち、扉が開かれ、顔を覗かせたレッドキャップが、


「代表者たちだけ入って。」


と、述べたのである。


そこで、俺を筆頭に、トーキーの賢者/魔人姉妹/森人族の長が、入室したのであった…。



ベッドに腰掛けていた男が〝スッ〟と立ち上がった。


背丈は1.8Mくらいだろうか?


腰あたりまで伸ばしている髪と、眉に、瞳や、鳥の翼は、黒紫色である。


痩せ型のイケメンだが、全身は青白く、あまり生気を感じられない。


服装は、チベット仏教の僧侶たちが来ている袈裟(けさ)が、黒と白になったようなイメージだ。


“グルル・ヤクシャ”に変わってしまっている鳥の王が、


「俺の所為で、部下が、エルフの国や、多くの者たちに迷惑をかけたようで、すまなかった。」


と頭を下げる。


俺は、


「いや、こちらとしても得るものがあったから、気にしなくていい。」


と、軽く首を横に振った。


俺らにとってのプラス面は、うちの面子がレベルアップしたのと、【弓士(きゅうし)】と【武術士】が誕生したり、新たなアーティファクトが眷属の手に入った事である。


いずれにせよ、俺は、バトルにならずに済んだことに、人知れず〝ホッ〟と胸をなでおろす。


「早速だが、うちの連中に、その足枷を見させてもらってもいいか?」


と確認した俺に、


「ぜひ、頼む。」


と、承諾するグルルであった―。




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