第124話 VS.バード国の幹部たち・拾
〝氷からの雷〟という、なかなかに素晴らしい連続攻撃ではあったが、半グリフォンに左(俺たちからは右)に躱されてしまう。
そこに滑り込んできたトーキーの大将軍が【シールドスウィング】で大盾を左から右へと振るうも、咄嗟に【横断】を用いて反対方向から大剣を払った敵の大将軍により、
ガツンッ!!
と、阻まれてしまったのである。
見ると、さっき倒された眷属らが、トーキー大将軍に合流してきていた。
どうやら、一年生書記を中心に【クレリック】たちが治癒してくれたようだ。
そこからは肉弾戦になっていった。
武器や防具に、スキルと魔法が、ぶつかり合う。
遠距離型のメンバーによる援護射撃がありながらも、至近距離の面子が膝を屈していく。
だが、相手も、それなりにHPとMPを消費して、肩で息をしている状態だ。
チャンスである。
とはいえ、俺らもぼちぼち限界だった。
「そろそろ決めてやる。」
と宣言した俺を、
「フンッ!」
「させないよッ!」
と、半獣のグリフォンが睨み付けてくる。
1Mぐらい宙に浮いている俺が、
「うおりゃぁあああッ!!」
と槍を上段から振り下ろす。
かなり大雑把な一撃を、右へ〝ヒラリ〟と避けた進化系グリフォンが、左の蹴りを、俺の顔面に、
ズバンッ!!
と、くらわせて、
「残念だったわね。」
と笑みを浮かべる。
「あなたの方こそ。」
と、述べた森人族の長が、熱でオレンジ色になったレイピアを、半グリフォンの、右太腿の外側に、突き刺した。
その部分が、
ボォンッ!!
と爆発して、敵の大将軍が、
「ぐぅうッ!!」
と、ヨロめく。
俺の大振りは注意を引くために、わざとやった行為である。
我ながら滑稽ではあったが、まんまと騙された相手の背中を、トーキーの大将軍が【縦断】で斬り付けた。
「がはッ!!」
と口からも流血した半獣のグリフォンが、前倒れになっていく。
俺が、地面に着けた[大地の槍]の先端を〝ぐるんッ!〟と右回転させて、ボールペンみたいなフォルムをした最大幅3M×高さ10Mの歪な“土の柱”を、
ズドオォ――ンッ!!!!
と、出現させた。
(これで終わる。)
と思ったのだが…、進化系グリフォンが体を90度ひねって、ギリで逃れたのである。
俺は、
「マジかよ。」
と、目を丸くせずにはいられなかった。
左側面を、地に、
ドンッ!
とブツケて、仰向けになった半グリフォンが、上体を起こそうとする。
「まだ…、まだ敗れるにはいかない。」
「ロードに、“泉”を献上するまでは。」
と、歯を食いしばる敵の大将軍に、
「お前は充分よくやった。」
「暫く寝とけ。」
と告げた俺が、槍の腹で、胸の上部を、おもいっきり、
バンッ!!
と、叩く。
それによって、鎧に亀裂が入った進化系グリフォンが再び倒れる。
脱力した様子の彼女を、4人のアサシン達がロープで縛っていくのであった―。