第120話 VS.バード国の幹部たち・其之陸
襲い掛かろうとする接近戦メンバーに、小将軍のコカトリスが嘴を開く。
だが、毒を吐こうとするコカトリスに先んじて、“黄色く輝く矢”が、
ビュンッ!!
と放たれ、胸元に〝ズブッ!〟と刺さるなり、
バチバチバチバチィッ!!
と、感電させたのである。
これは、狙撃手のエルフ姉による【伝導】だ。
敵の近くにいた剣士のトーキー小将軍が全身を〝カッ!〟と光らせ、【乱れ打ち】を発動させた。
シュババババババババババンッ!!
とレイピアで一度に10発も突かれたコカトリスがヨロめく。
その後頭部に、虎の獣人が右のトンファーを
ズドンッ!!
と、叩きこんだことによって、敵の小将軍が横倒れになる。
どうやら、そのまま気を失ったようだ…。
敵たちの左端(俺からは右)では、東方領主のペリュトンが、最大幅15㎝×長さ30㎝でクリスタル形の“氷の塊”を、100発ほど一斉に飛ばしてきた。
間合いを詰めていた10数の人間と10体のモンスターが、くらってしまい、傷つき倒れる。
ペリュトンが特大の氷撃を放って確実に止めを刺すべく、より一層に翼を広げていく。
その足元に、直径4Mの魔法陣が現れた。
〝ハッ!〟とした東方領主が左へ横っ飛びしたタイミングで、地面が6Mぐらい〝ズドオォンッ!!〟と隆起したのである。
それは、魔法陣と同じ幅の“歪な円錐”といった感じで、【魔術師】であるエルフ弟が発動させたようだ。
これを間一髪で避けたペリュトンの頭上に、魔人姉が直径5Mの魔法陣を出現させた。
そして、50程の雷を一気に、
ズドドドドドドドド…ッ!!!!
と落とすも、前方へと躱されてしまう。
魔人妹が、すかさず正面に直接5Mの魔法陣を展開させて、同じ幅の“火炎”を、
ゴオオオオ…ッ!!
と、放つ。
しかし、これもまた、左へと逃れられてしまったのである。
だが。
この一連は、魔人姉妹による“陽動作戦”だった。
東方領主が避難する場所に待機していた魔法剣士が、
「いらっしゃぁい。」
〝ニッ〟と笑みを浮かべ、【一点集中】を用いる。
これも【剣士】のスキルであり、100ポイントのMPを消費する“片手突き”だ。
LV.100未満は1日2回で、100以上は1日4回が、限度である。
その効果は、ドラ○エでいうところの“会○の一撃”を、100%確実に出せるといったイメージだ。
いずれにせよ、魔法剣士の中剣によって、左脇腹を、
ドンッ!!
と突かれたペリュトンが、
「ガハッ!」
と、口から流血して倒れたところを、アサシン達が取り囲んでいったのである。
“ロープ”で縛るために―。