第12話 グダグダになりながらも
「取り敢えず、それぞれの意見を聞こう。」
と、2人を落ち着かせたところ、まずは、王が、
「ご主君お一人を戦わせたとあっては、国の恥にございます。」
と述べた。
続いて、大将軍が、
「その通りです!」
「それに此度の件は、そもそも、この国とサータ国との遺恨が関係していると思われますので、我らも出陣させて頂きとうございます!」
と、息巻いたので、
「でも、お前ら、空、飛べないだろ。」
とツッコんだら、
「うぐッ。」
と、言葉を詰まらせた。
代わりに中将軍が、
「徒歩で1ヶ月、馬を走らせたとしても、20日ほどは掛るでしょう。」
と答えた。
「で? 要塞は何日ぐらい持つ?」
と、更に質問してみると、大将軍が、
「もって1週間、早ければ3日以内に陥落するかと…。」
と分析したので、
「じゃあ、やっぱり、俺一人で行ってくる。」
と、承認させようとしたところ、賢者が、
「私の“瞬間転移”で、お連れいたしましょうか?」
と言ってきた。
これに、意気消沈しかけていた大将軍と国王が、
「うむ! その手がありましたな!」
「然り!」
と、息を吹き返す。
以前、俺の【可視化】で賢者のステータスを見てみた時に、【特殊魔法】の欄に“瞬間転移”と表記されていたのを思い出した。
「一度に何人まで移動させることが出来るんだ?」
と質問してみたら、
「数に制限はございません。」
「が、しかし、回数の方にはありまして…、1日2回が限界でございます。」
「それと、これは補足でございますが、私が過去に赴いたことのない場所には転移できません。」
との事だった。
おそらく、某RPGのルー○的な感じだろう。
「ま、充分だな。」
「大将軍よ、どれくらいの人数を動員するつもりだ?」
と、話しを振ってみたところ、
「そうでございますなぁ…。」
「今、王都には50万ほどの兵がおりますが…、今日中に戦準備を整えるとすれば、20~30万になるかと思われます。」
と返答したので、
「じゃあ25万人だと、どれくらいの時間で済みそうだ?」
と、尚も聞いてみたら、
「大急ぎで、5~6時間かと。」
との見解を示した。
「今、何時だ?」
と、全体的に訊ねてみたところ、懐中時計を取り出した宰相が、
「午前11時を回ったところです。」
と教えてくれた。
「そっか…。…、…、よし、午後5時に王都の北門に集合させろ!」
と、命じて、今度こそ会議を閉じようとしたら、勇者が、
「私共も、ご一緒させてください! 必ずや、お役に立ってみせます!」
と名乗りを上げたので、
「いや、お前ら弱ぇじゃん。」
と、冷たい視線を投げかけたら、
「な?!」
と受けたショックを隠し切れずに落ち込んだので、
「分かった! しょうがねぇ、連れてってやるよ!期待してねぇけどな。」
と、同行を許可したところ、
「有難き事この上なしにございますでござりましゅでふッ!!」
と訳の分からんテンションになりやがった。
俺は、
(うるせぇなぁ。)
と、思いつつ、
(ついでにアイツらも誘うか。)
と、【伝言】を使用したー。