第116話 VS.バード国の幹部たち・其之弐
半獣のグリフォンが、翼を斜め下へ、
ブォンッ!
と動かしたら、最大幅40㎝で三日月状の“風の刃”が、
ビュオッ!
と、飛んできた。
急ぎ、魔法陣を出現させた俺が、同じ形の“水の刃”を放つ。
ズバァンッ!!
と相殺し合うなか、かなりの勢いで垂直に急降下した進化系グリフォンが、屈伸態勢で、
ドォオンッ!!
と、着地したのと同時に、地面が隆起しながら、
ズドドドドドドドドッ!!
と向かってくる。
[大地の槍]の刃を地に叩き付けた俺によって、それに等しい状況が展開した。
最長で2Mになった互いが、
ドッゴォンッ!!!!
と、衝突し、視界を遮るほどの土埃が生じる。
「ふぅーッ。」
と呼吸したのも束の間、その大きな埃から、半グリフォンが〝ヌッ〟と姿を現した。
敵は、休むことなく距離を詰めてきたのだ。
「やべッ!」
と、焦る俺の心臓部に、大剣が〝ヒュンッ!〟と伸びてくるも、魔石を用いた鎧+加護によって、
ガギィンッ!!
と防げたのである。
「なッ?!」
と、いささか驚く半獣のグリフォンの顔に、左の掌を出した俺が赤い魔方陣を発動した。
直径1.5Mの“火の玉”を、
ボンッ!!
と放つも、
「くッ!」
と、素早く右方向(俺からは左)に躱されてしまう。
30㎝ぐらい宙に浮いた進化系グリフォンが、〝スーッ〟と後ろに下がっていく。
その遠くで、火の玉が当たったちょっとした岩が、
ズボォウッ!!
と燃えたようだ。
半グリフォンと、俺とが、
「皆殺しにしてやりなッ!!」
「返り討ちにしてやれッ!!」
との号令を下す。
そこからは、乱闘になっていった。
半獣のグリフォンがおもいっきり動かした翼によって、最小部分20㎝×最大部分15M×全長10Mの“竜巻”が、
ビュオオオオオオオオッ!!
と、迫ってくる。
地面に魔法陣を展開させて、こちらも“風の渦”を出そうとしたが、
ズバンッ!!
と雷撃が直撃してしまった。
槍を〝杖代わり〟にして倒れそうになるのを耐えた俺の全身が、電流で痺れる。
どうやら、中将軍の“サンダーバード”によるものらしい。
動けない俺の前にトーキーの大将軍が立ち、体を〝カッ!〟と白く輝かせ、【防ぎきる者】を使った。
だが、竜巻に押し負けそうになり、
「ぐぬぬぬぬぅッ!!」
と、歯を食いしばる。
その時だった。
俺たちを圧倒しようとする風の渦の上部に、直径5Mの魔法陣が現れ、オレンジ色とホワイト色が入り混じった“光の玉”が3Mくらい降下したのだ。
もともとは直径50㎝程だったそれが、
ブゥウウウンッ!!
と膨張していき、直径5Mになったところで、
ドオ――――ンッ!!!!
と、爆発して、竜巻を消失させたのである。
これは、森人族の長によるものだった。
一安心する俺に、持ち前のスピードを活かした【武闘家】のレッドキャップがダッシュで接近してくる。
未だ身体の自由が利かない俺は、
(マジかよッ!)
と背筋が寒くなるのであった―。