第115話 VS.バード国の幹部たち・其之壱
俺と、敵の大将軍である“半グリフォン”が、
「お前たちって、エルフの国に在る泉を手に入れたいんだろ?」
「ああ、そうだが…。」
「そもそも、何で、その泉が欲しいんだ?」
「答える義理はない。」
「ああ、そうかよ。」
「ま、別にいいけど…。」
「それ、〝不老長寿の効果〟無いらしいぞ。」
「?!」
「嘘を吐くな!」
「いや、本当みたいだ。」
「なので、俺らが戦う理由はないんだが…、撤退するつもりは?」
「……、泉に効力がないという話しを信じるとでも?」
「私たちは、二度と“魔人”には騙されないッ!!」
「ん? どういう意味だ??」
「なんだっていいだろ…。」
「とにかく!」
「力づくで奪わせてもらうよ!!」
と、言葉のラリーを行った。
「引き下がる気はねぇってか?」
と窺う俺に、
「フンッ! 愚問だね。」
と、返した“進化系グリフォン”が、
「小将軍!」
と合図する。
それを受けたコカトリスが、口から“紫色の煙”を放つ。
瞬く間に広がっていくソレは、1秒につき30ptのヒットポイントを減らしていく【猛毒】だ。
“魔法使い系”のなかでも比較的レベルが低く基本HPが少ない面子は7~8秒後に命を落としかねない。
毒による目眩&息苦しさで体を自由に動かせず、誰もが死を覚悟しかける。
しかし。
そんな俺たちの頭上5Mぐらいの位置に、直径100Mはあろうかという白い魔法陣が展開されて、光のシャワーが降り注ぎ、全身が〝フッ〟と軽くなった。
それが【ディスオーダー・リカバリー】であろうことは明らかだ。
これは、【ハイクレリック】であるハーフエルフの[国主補佐官]によるものだった。
皆が起立していくなか、勇者と聖女が【ミドルヒール・オール】を、クレリックが【加護】を用いる。
「なるほど…。」
「侮れないみたいだね。」
と、半獣のグリフォンが鞘から大剣を抜き、
「しょうがねぇ、やり合うとするか。」
と俺が“アイテムBOX”から[大地の槍]を取り出す。
メスの魔物たちには【チャーム】を使おうかと思ったものの、それだとレベルUPがやや厳しくなるかもしれないと考え直した俺は、
『決して殺さず、コイツラを生け捕りにしろ。』
『致命傷を与えるのは許可するから。』
と、眷属たちに【伝言】したのである。
そのタイミングで、半グリフォンが、低空飛行にて、俺めがけて突進してきた。
かなり速い。
「うおッ?!」
と驚く俺に、ラージソードを下から上へと振るう。
どうにか反応した俺は、槍を左へと払い、
ガキィンッ!!
と、受け流した。
〝防がれたのが意外〟みたいな表情になった進化系グリフォンが、
バァアサッ!!
と翼はためかせ、自身の後方斜めに上昇していく。
地面から7~8Mくらいの位置で〝ピタッ〟と静止した敵が、
「小手調べは終わりだよッ。」
「ここからは、本気を出させてもらう!」
と、告げるのだった―。