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異世界を服従して征く俺の物語!!  作者: ネコのうた
― 第三期・この世界の歴史と未来 ―
109/350

第109話 及第

サテュロスが縦横無尽にレイピアを振るう。


それを、[大地の槍]で〝ガキィンッ!〟〝ガシャンッ!〟と防ぐだけで精一杯の俺が、


「くッ!」


と眉間にシワを寄せる。


元四将軍が、


「なかなか、やりますねぇ。」

「では、これ(・・)はどうです?」


〝ビュオッ!〟と、俺の顔面めがけて剣を突いてきた。


「うおッ!」


と急ぎ避けるも、(かわ)しきれなかった俺の右頬に、


スパッ!


と、5㎝ほどの切り傷が生じる。


ほぼ同時に、俺が右から左へと払った槍が、


ドンッ!


とサテュロスの左脇腹に当たった。


「ぐぅッ!」


と、表情を歪めた元四将軍が2歩ぐらいのバックステップで距離を取り、


「ふぅ――ッ。」


と息を吐く。


サテュロスと睨み合う俺に、一年生書記が、


「主様! すぐに“加護”を発動しますので、お待ちください!」


と、声を掛けてきたので、


「いや、いい。」

「多分、これは、そういうの(・・・・・)じゃなさそうだから。」


と断ったら、勇者/聖女/ミノタウロス元帥/二年生書記(アサシン)あたりが、


「なに意地を張っているのですか?素直にお受けください、主様!」


「そうですわ! せっかくオークロードを倒したというのに、ここで命を落とすようなことがあっては、全てが台無しでございます!」


「然り! 〝負けたら終わり〟ですぞ、ご主君!」


駄駄(だだ)()ねていないで、さぁ、主様!」


と、言い出し、他の連中も釣られるように〝あーだ こーだ〟と騒ぎ始めたのである。


(やかま)しいわッ!」


と俺がツッコんだところ、


「ぷッ!」

「はははははッ!」


と、笑った元四将軍が、


「うん!」

「君たちであれば、問題なさそうだ。」


と頷き、レイピアを鞘に収めて、


「僕たちも、新たな王を祝うとしよう!」


と、告げたのであった…。



白のワイシャツに、黒の革靴/パンツ/ベスト/ネクタイと、赤の上着といった、タキシード姿になっているサテュロスが、客間のソファに腰掛けて、紅茶を(たしな)む。


テーブルを挟んで対座している俺が、


「で?」

「どんな目的だったんだ?」


と訊ねたら、


「ふむ。どこから説明するべきか…。」

「……、僕や東方領主は、先王、あー、つまり…、北方領主と西方領主の父君には忠誠を誓っていたんだけど…、君たちが勝利したロードには反感を抱いていたんだ。」

「なにせ、前オークロードは、混血の社会的地位を向上させようとしたり、僕たちみたいな余所者(よそもの)であっても重く用いてくれたからね。」

「けれど、跡を継いだ息子は、純血のオーク以外を冷遇するつもりだった…。」

「エルフの国を制圧した際には、そこを開拓する為の奴隷にしょうと企んでいたみたいだしね。」


と、述べた。


ちなみに、未だ正装になっていない東方領主は、大広間の床で、うちのミノタウロスやトロールと、腕相撲による力比べを楽しんでいる。


それを見物している外野も盛り上がっているようだ。


「なので…。」


と再び口を開いた元四将軍が、


「北方領主がロードになって、この国を改善していってくれるのであれば大賛成だし、惜しみなく協力したいと思っているんだ、僕も()も。」

「ただ…、“トーキーの魔人”とやらが、女王陛下を裏で操るような“不逞(ふてい)(やから)”だったならば成敗しようと、確かめさせてもらった次第さ。」


と、語ったのである。


「それで…、合格したという訳か?俺は。」


と窺ったところ、


「そうだね。」

「剣を交えた印象に、眷属との関係性も含めて、文句なしだよ。」


と、締め括るサテュロスだった。



戴冠式からの昼食を経て、オークロードとなった前北方領主が、城のバルコニーから民衆に手を振っている。


それを背後から見守る俺に、エルフの国主から【念話】が入ったのであった―。


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