第10話 展望
翌朝、主だったものが会議室に集まっていた。
上座には俺が居て、左側に、国王、宰相、賢者、大将軍、中将軍、小将軍の順で腰掛けている。
右側は、勇者を先頭に、各学年の物理化学や理系の教師が椅子に座っており、その後ろに[科学研究部]の10人が起立していた。
ちなみに、男子部員が7人で、女子部員が3人だ。
「ところで…、勇者よ。」
「はい♡、主様ッ♡!」
「なんで、お前が出席しているんだ?」
「そ、そんなぁー。」
と、ショックを受けた勇者のすぐ隣に座っていた50代の女性教師が、
「彼女は、かなり成績優秀で、科学系にも強いですし、生徒会長であり勇者でもあるので、こちらの代表として参加してもらいました。」
と助け船を出した。
この教師は、中肉中背で、背中辺りまでの長さがある黒髪は全体的にウエーブしている。
基本的には、いつもニコニコしている穏やかな性格であり、おっとりしている事もあって、〝皆のお母さん〟といった印象の為か、男女問わず癒される者たちが多い。
学年ごとに各教科の担当が2人ずついて、彼女は三年生の理系を教える職員の1人だ。
もう1人は40代の男性で、不健康そうに痩せていて、無精髭を生やしており、眼鏡に白衣を装着している。
いずれにせよ、この女性教員は、理事長を始めとした教師陣からの信頼も厚い。
「そういう事情なら、ま、いいか。」
と、参列を許したところ、勇者が、
「ありがとうございます♡♡」
と満面の笑みを浮かべた。
さて、そこからは、科学的な乗り物や兵器に詳しい連中が、紙に絵を描きつつ、身振り手振りも交えて説明していく。
車や飛行機に、ピストルやミサイルといった話題には、国王・賢者・大将軍・中将軍の男性陣が目を輝かせて「うん、うん」と頷いている。
しかし、宰相と小将軍の女性たちは漠然としていた。
一通り聞き終わると、大将軍が、
「いや~、素晴らしいですなぁ。」
「それらの物が実現すれば、この国の軍事力が飛躍的に伸びますなぁ。」
と、感心している。
その意見に、国王が、
「それだけではないぞ。」
「あれらの乗り物があれば人も物質も往来が盛んになり、かなりの経済発展が見込める。」
と後付けした。
だが…、宰相が、
「それらを具現化するための予算はどうなされるおつもりですか?」
「それに、この世界の技術者や職人では生産が無理なのでは?」
と、冷静に述べる。
あまりにも〝ごもっとも〟だったので、さっきまでの賑わいが嘘だったかのように、その場が静まり返ってしまった。
その重苦しい空気を賢者が変える。
「まずは私が、どの代物であれば現時点での生産が可能なのか、割り出してみましょう。」
と。
これに国王が水を得た魚の如く、
「うむ、賢者の言う通り! それが良い、それが良い。」
と何度も頷いた。
更に賢者が、
「ご主君、魔石を用いても構いませんかな?」
と、聞いてきたので、
「ああ、構わん。この世界ならではの物に仕上げよ。」
と同意した。
これで一回目の会議がお開きになろうとしたところで、三年生の女教師が、
「あの、すみません。主様…。」
と、窺ってきたので、
「どうした?」
と訊ねたところ、
「私は、乗り物や兵器に疎いので、お力添え出来かねます。」
「ですが、植物には自信がるので、ポーションの元となる薬草類の栽培や品種改良であれば、お役に立てるかと…。」
「それに、年齢や性格からしても戦闘には向いておりませんので、どうか、そちらで働かせていただけませんでしょうか?」
との事だった。
すると宰相が、
「ポーションの大量生産や、上位の“ハイポーション”に“DKポーション”を作り出せれば、貿易の目玉になるかもしれません。」
と、発言する。
これに、王が、
「この国における経済の基盤に成り得るか?」
と真顔になった。
それに対して賢者が、
「十分に。」
と、保証する。
これらのやり取りを見ていた別の女教師が、
「あの~…。」
と恐る恐る手を挙げた。
年齢は30代前半、華奢で、肩あたりまでの長さの髪は黒く、これまた眼鏡と白衣が特徴的だ。
一年生を受け持っている彼女が、
「私も、そちらの方が良いのですが…。」
と、言うと、
後ろに控えていた3人の女子生徒たちが、それぞれに、
「私もです。」
と願い出た。
「よし、分かった。」
「ならば、お前たちは薬草の栽培に貢献せよ。」
「それ以外の者たちは賢者をサポートしろ。」
「それで良いな、国王よ。」
「勿論でございます。」
とのやり取りを経て、
「待てよ…、他にも、そういう連中がいるかもしれんな。」
と思った俺は、
「勇者よ、宿舎に帰ったなら、理事長に、〝これからも戦闘に参加して良いという者と、もう二度と嫌だという者たち〟を振り分けたうえで、戦いを望まない奴らがどんな職業に就きたいかを調査すべく、アンケートを実施するように伝えよ。」
と、命令した。
これに王と大将軍が食い気味で、
「皆様の世界の知識が得られるのであれば、各分野が発展しますな!」
「流石は、ご主君。名案です!」
と少年のように無邪気にはしゃいだのである―。
トーキー姫の特徴
身長160㎝ぐらい。
腰あたりまでの長さがある金髪は全体的にウェーブしている。
体型はスレンダーなほう。
Dカップ。
上品かつ可愛らしいルックス。
17歳。