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リトルウィッチの成り上がり  作者: ぱるぱる
第一章 子供時代
1/30

惨めな生活

昔も少しだけ投稿していたようですが、今になって久しぶりに小説を書いてみたくなりました。


どうぞよろしくお願いします。

「ふんっ!あんたにはこれがお似合いよ」


アントーニア家の娘、エヴァはパンを床に叩きつけ何度も踏みつけていた。

それをアントーニア家のもう一人の娘、セリーヌがじっと見ていた。


このパンはセリーヌが食べるはずであった。

そのパンは踏みつけられ、埃まみれになっていた。


エヴァの後ろで彼女の母親のジャクリーヌが

くすくす笑いながらその光景を眺めている。


「さぁ、それを食べなさい」


エヴァは意地が悪い。

普通の性格が悪い娘ならパンを踏みつけにしてボロボロな状態になったらそれで満足するだろう。


しかし、エヴァはそうではない。

埃まみれになったパンを不味そうに食べ、それをセリーヌが飲み込むところまでしっかりと見るのだ。

どうやら不味そうに顔を歪めて食べている様子を観察するのが楽しくて仕方がないらしい。


セリーヌは埃まみれになったパンを大人しく食べ始めた。

これでも今日はエヴァの機嫌は良い方なのだ。

エヴァの機嫌が悪いときは、固いパンを柔らかくするためのお湯まで床にぶちまけてしまう。

今日はそうならないだけましだ。


セリーヌはパンをお湯で柔らかくし、それを口に入れるとエヴァの口角が上がる。


「おえっ…」


今日もセリーヌの食事は最悪であった。


なぜセリーヌがこのように虐げられているかというと、

セリーヌがアントーニア家当主の前妻の娘だからである。


セリーヌの母は数年前に警護任務の中で亡くなってしまった。

彼女は優秀な王国魔術師であった。


当主にはセリーヌの母親の他に側室がいた。

それがエヴァの母親ジャクリーヌである。


気の強いジャクリーヌに領主でありながらも気が弱い父は強く意見を言えなかった。

彼女の実家の方が爵位が上だったことも影響していた。

そうして後ろ盾を失ったセリーヌが邪険に扱われるのを許してしまったのである。


「私、ずっとこのままなのかな…」


その夜、セリーヌはベッドの上で一人寂しく泣いていた。


「この家を出ていきたいけど、私には何も力がないし…出て行っても

野垂れ死ぬだけだ」


セリーヌは8歳

この国の子供は本来であれば5歳頃には女神様から力を与えれられる。


しかし、セリーヌは女神様から未だに何も与えられていない。

彼女は無力なのだ。


それがさらに彼女をネガティブにしてしまっている。

自分には何もできない、と。


今日も枕を濡らし、彼女は寝てしまった。


その日、彼女は夢を見た。

その夢をいつもと内容が違っていた。



「やっほ、遅れてごめんね。セリーヌちゃん」


「あ、あなたは…?」


周りが真っ暗だ。カーテンを閉めて寝たとはいえ部屋の中がここまで真っ暗になることはない。

ここはセリーヌの部屋ではないとすぐに分かった。


「私は女神アクアマリン。今日はあなたにギフトを授けに来ました」


「本当ですか?やっと…!」


セリーヌは嬉しさのあまり手をぐっと握り締めてしまった。

やっと女神様から力がもらえる。何もできない私にやっと機会が訪れたのだ。


「いやぁ…まさか自分の担当の子がシークレットギフト持ちだなんて……いい経験だったけど大変だったよ」


「えっ…シークレット……?」


「ううん、なんでもない。こっちの話」


そう言うとアクアマリンは手をかざし、そこからセリーヌへ光が流れていった。


それをセリーヌが受け取ると、体が温かくなり目の前が真っ白になった。

気を失ってしまったのだ。


「セリーヌ。あなたの力がこの国をどれだけ繁栄させることができるか楽しみにしていますよ」



挿絵(By みてみん)


セリーヌの設定画になります。

本当はもっと無表情な感じにしようかと思ったのですが、なんだかんだ

子供は感情豊かなのでちょっと表情豊かにしてみました。

大人になると不愛想になる予定です。


服装については近世の平民をモチーフにしました。

創作だと近代のものが多いらしいのですが、史実に囚われず描いてみました。

近世の平民は子供用に服を買う余裕などなかったらしいです。

そのため、大人になっても着られるように工夫して服を着ていたことが多いそうです。

設定画では割とサイズ感が合ってしましましたが。

アントーニア家は領主なので服を買う余裕がない訳ではないのですが、

セリーヌなんかのために新しく服を買うなんてもったいないと

平民のような恰好をさせているという感じにしようと思います。

実は靴下も履いてないのですが、そこはラフなので省略しました。

エヴァも靴下履いてなかったらエヴァに踏まれたパンとかご褒美じゃんと

思う人もいるかもしれませんが。

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