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来訪者
馬に乗ってこうも長距離を移動したのはいつぶりだろう。警護を含めたった五人を共に連れてやってきた。
うっそうとした森の合間にある道を行けば、検問所が見える。そこに自国の紋章を掲げた馬車が止まっていた。
「……ダイア様」
検問の柵越しに男が呟く。よくよく見てそれがバジー家に尻尾を振る犬だ。
そういえば、ジェゼロにバジー家がいたか。もう直にすべての権限がアカバ家に移ると言うのにご苦労な事だ。
「先にそちらに入っているのでしたら都合がいい。ジェゼロ国王にダイア・アカバが会いに来たと伝えていただきましょうか」




