ロミアの社会見学
「ロミアさん、ですか?」
歳はもう60過ぎか。綺麗な身なりのご婦人はほんわかした雰囲気で首を傾げた。
「コモ様の御友人のようで、ローヴィニエ国に戻るのならば案内をと、コモ様より依頼をされてしまいまして」
貴族の男がエリザ・バジーに言う。
「まあ、コモさんのお友達。それはそれは、おもてなしをしなくては。それで、コモさんはいつお戻りになられると仰っていたのですか? 御友人をお待たせしても悪いわ」
ぽやんとしたご婦人を見た後貴族のを見上げる。
「帰郷後にお子さんたちと戻られると思いますが、準備なども必要でしょうから」
「そうね。ああ、早く孫に会いたいわ」
どこか少女のように老婦人は笑う。
「ああ、だからコモくんこっちに居て欲しいんだね」
小さくつぶやく。
知り合いって言うだけでほいほい連れてきた理由も納得だ。これは人質にされたな。
まあ。いいか、楽しそうだし
「コモくんからお世話をしてもらうように言われてるんだ。よろしくね」
ジェゼロしか見てこなかった。ジェーム帝国はお仕事だったし、まあ社会見学にはちょうどいいかな。ローヴィニエ公国は近い内に来たかった国でもあったし。