謹慎処分 5
「エラ様が滞在できる環境に整えるよう指示をしてきます。直ぐに戻りますが、歩くことがないようにご配慮を」
言うとベンジャミンが部屋から出て行った。
「エラ、観念しろ。本気でお前があれを気持ち悪いとか嫌ってるってんなら考えてやるが、実際そうならお前はもっと冷淡になる。気づいてないかもしれないけどな」
王の席でオオガミが言う。これでは僅かな威厳すら発揮できない。
「……ジェームで新しい女が、あれにいるなら私に隠すな」
本を正せば、何でもできるはずのこの伯父がベンジャミンを必要としたのが悪い。それにオオガミがベンジャミンに不利になることを言わないのもわかっている。
「俺と、ロミアと、帝王の世話をして、その上で色までか? 力技で制度を捻じ曲げた後にか? まあ、実際にそうなら、あいつの腕の一本も折れてない状態でここには返さねーよ」
「だが、報告書に書かれていた」
「あー、引き出しの中のか? どうせロミア相手かなんかだろ。あのひとはどっちにも見えるからな。てか俺の行動の報告の方が酷いだろ。質の悪い間者はクビにしろ」
でもと言いかけて言葉を止める。オオガミも四六時中一緒にいたわけではない。
「何事かと思えば……ここまでくだらぬ事とは」
ハザキが呟くように言う。
「だからジェゼロ王は結婚ができなくなるのです。このような下らないことで国政に影響が出ないようにして頂かなければ困りますな。あれが口を利かぬ理由がわからぬ内は王に戻らぬ方がためでしょう」
「そうやって……ぅうー」
立ち上がろうとして直ぐに座りなおす。もう大分良くなったと思っていた。普通の怪我は異常なほどに治りが早いジェゼロの家系だ。だが火傷はそうでもないとベリルが言っていた。あれは本当だったらしい。めちゃくちゃ痛い。こうならないようにどれだけベンジャミンが気を使っていたかは理解した。
「こりゃあ、しばらくは俺が王様のままだな。苦労を掛けるぞシューセイ」
「エラ様、早くあれの機嫌を戻させて王にお戻りください。トウマ・ジェゼロの暗殺計画を私が実行する前に」




