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盗み聞きは悪い事 ④

おまたせしましたー色々修正してたりリアルが忙しかったりモチベが死んでたら遅くなりました

 「次! 身分証か何かはあるか?」


 「あ、あぁ、持ってるよ」


 「? そうか、……よし! 通っていいぞ!」


 兵によって荷馬車の中身が確かめられ、危険物がないと判断され許可が出る。

 ガラガラと何事も無く馬車が進み出し、街の中を進んで行く。しかしその馬車の御者の顔は、傍から見ても引きつっており、しきりに背後の荷台を振り返っては怯えていた。

 その鬼気迫る様子に、周囲の通行人達も怪訝に思うが、結局は見て見ぬふりをする。自分に何らかの影響が無い限り、人は何処までも無情になれる。


 どれぐらい進んだだろうか、馬車は大きな屋敷の前で止まった。


 「こ、ここが俺の働いてる商館だ」


 「そうか、ご苦労だったな」


 「案内はしたんだ、た、た、頼むから!」


 「喚くな人間風情が」


 男の首がボトリと落ちる。突然噴出した血を浴びたウ馬が、驚き少し暴れ出す。しかしそれも荷台から伸びた黒い触手のような物が馬を貫く事で終わった。触手のような何かは、まるで布の様に平べったく、荷台の物陰から伸びていた。

 その触手が死体に巻き付くと、ズルリと影の中に引き込まれる。


 「ふむ、これでいい」


 「ねこちゃんすご〜い!」


 「そんな事はいい、行くぞ」


 「うん!」


 馬車は特に取り込む必要は無い。我の中には既に数台の馬車があるのだから。それに特に馬車が必要な訳でもなく、我の目的はこの街に潜り込み、情報を手に入れる事のみ。

 この屋敷に用がある訳でもなし、さっさと拠点を見つけねばならんな。この屋敷でもよいが、外見が気に食わん。それに()()()()()()()()()()()

む? 何故我はこの小娘を気にしているのだ? 我にとってこの人間など、どうでもいい存在のはずだ。我の指1つで吹き飛ぶ命を、気にするなどどうかしているのではないか? 何か違和感が拭えない。


 「ほら! はやくいこう!」


 まぁいいか、それ程気にする事ではないのだろう。我にとってはこの人間など、情報収集のための都合のいい道具でしかないのだから。


 その光景を、遥か上空から厳しい目で見下ろす者が居る事には、ついぞ気付かなかった。

 しかしそれも仕方が無い事だろう。何故なら、その男は背から黒い翼を生やし、ほとんど雲と同じ高さから見下ろしていたのだ。我が気付けないのも無理はないのだ。






 しばらく歩いて、レトと共に拠点を探していると、ついに隠れ家としてはピッタリの廃墟を見つけた。レトには悪いが、ここで寝泊まりしてもらうとしよう。奴隷が宿に泊まることはできんからな。これが精一杯なのである。


 中に入ると、そこには壁面などがボロボロにはなっているものの、家として住むには最低限の形は保っていた。


 「流石に家具はないが……まぁ隠れ住むには十分な大きさだな。しばらくはここを隠れ家とする」


 「はい! わかりました!」


 ニコニコと機嫌が良さそうに笑うレトを見ていると、我も気分がいい。


 「とりあえず、我は情報を集めてくる。レトはここで待っていろ、何か食い物を持ってきてやる」


 「ありがとう!」


 廃墟を出て、商店街へと向かう。ここに来る途中に小耳に挟んだのだが、この街はそれなりに商業も発展しているらしい。農産業が盛んな街だとは聞いていたが、商業も盛んだとは思わなかった。これなら人間共も集まるだろうし、情報も手に入るだろう。

 まぁそれよりも、とりあえず食料と家具を集めなくてはならない。我は大丈夫だが、レトは困るだろう。レトは【ヤマト】に関する貴重な情報源なのだ。丁重に扱わなくては……本当にその必要が? 我には分からない。


 「急げ! また死人が出たぞ!」


 「またか! 今度は何処だ?」


 「イルバル通りの靴磨きが殺された!」


 「手口はいつものやつか!?」


 「それも間違いないらしい!」


 「クソっ!」


 何やら街が騒がしくなってきた。ふむ、少し見に行ってみるか。

 適当にそばを通った人間の影に潜り、着いていくと、裏路地を封鎖する兵士達が見えた。ここからでは見えないので、影から影へと移動し、裏路地を封鎖していた兵士の影に潜り込んだ。

 するとそこには、凄惨の一言に尽きる状態になった人間の死体が転がっていた。

 両眼は(えぐ)り出され、両腕と両足はまるで怪力でねじ切られたかのような切り口をしており、胴体には複数のナイフが刺さり、大きく開けられた口には、何か赤いものを咥えていた。腹が開かれており、その中身には、詰まっているはずの臓器が1つも入っていなかった。

 誰がどう見ても凄惨な状態である死体に、昼飯を胃から吐き出す兵士もそれなりに居る。口に入っていた赤い何かは、匂いから、恐らくは人間の物である事が分かる。

 しかし我はそんな所には注目していなかった。()()()()()()()()()()、そして近くの配管にベッタリとこびり付いていた血の手形。


 「クソッタレの魔女め! 見つけたら火炙りにしてやらァ!」


 「魔女狩り(ウィッチハンター)の到着はまだなのか!?」


 「到着するのは今日です! 専門家が居なくちゃこの事態は収集できませんよ」


 魔女、そして魔女狩り(ウィッチハンター)か……中々に面白い事を聞いた。この街ではそれについて調べてみるか。


 「兵士長! 魔女狩り(ウィッチハンター)殿が到着しました!」


 「やっとかァ! これでこの巫山戯た馬鹿騒ぎともおさらばできるってもんだ。これが終わったら、俺ァしばらく働かねぇ」


 「全くです」


 疲れているのか、フラフラと頼りない足取りで歩く兵士長の影に潜み移動する。こうしていれば、よっぽどの事がない限りバレないからな。統一帝国の帝都では、そのよっぽどの例外があったらしいが、ここではそんな事がない事を願おう。


 そしてたどり着いたのは、兵士達の駐屯所。その中の一室に入ると、中に居たのは黒いボロボロのローブを着て、傍らにクロスボウが置かれていた。

 男は痩せていて、肌は病的なまでに白かった。煙草を口に咥え、足を机の上に乗せて寛いでいた。しかしこの男よりも目立つ存在が居た。それは魔女狩り(ウィッチ・ハント)の椅子のそばに寝ていた。それは黒い毛皮を持つ、大きな犬だった。その犬は、チラリと血の様に真っ赤な瞳で人間を見たが、すぐに興味を無くして、また眠り始めた。


 「よォわざわざ悪ぃな魔女狩り(ウィッチハンター)、こんな辺境に呼び出しちまってよ。疲れたろ?」


 「ふぅ……まぁそうだな、しかし魔女が出たのならば私の仕事だ。何処だろうとも駆け付けるさ」


 男はニヒルな笑みを浮かべ、煙草を灰皿に押し付けると、そばに置いてあったクロスボウを手に取り立ち上がる。


 「では改めて、魔女狩り(ウィッチハンター)のレクター・ランドンだ。よろしく頼む」


 「【フローガム】の兵士長、ガント・セルバスタだ。こちらこそよろしく頼む」


 お互いががっしりと握手をし、笑い合う。


 「さぁ魔女何処だね? 私の仕事は奴らの殲滅、それ以外にやる事はない」


 「あァすぐ案内するさ、こっちに来てくれ、あんまり長い事現場を封鎖してられねぇからな」


 「了解した」


 (面白い話を聞いた、これは是非とも我が主(マイロード)にお伝えしなくては)














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