調査の開始とヘルプさんまじすげぇっス! の話
この小説は書いてて苦痛にならないからいいよね。
やっぱり小説は作者も楽しまなくちゃ。
深夜。
誰もいない森の中。
ダンジョンの外にある人が全く踏み入らない魔境の森。
「じゃあ行ってくるわね」
「頑張って来る」
「では行ってきます我が主」
何というかシャドウキャットの忠誠心が凄い。
名前でも付けてあげようかと思ったがまだ何もしていないのに名前を授かるなんてできないと辞退された。
こう言ってはなんだが名前を付けるだけだよ?
まぁこの仕事が終わったら名前を付けてあげよう。
シャドウキャットは種族としての名前だからね。
そして問題の魔界草はシアに持たせている。
実は魔界草は種からのスタートなのである。
何かに反応することでようやく開花するという少し面倒なことになっている。
そして分かっているのはあの何かはダンジョンの外にはあまりないということ。
いやあるにはあるのだがダンジョンの中と比べるととんでもなく少ない。
だからちゃんと開花するか心配なのだがこのためは咲いた所にいつくのでそれは仕方がない。
「行ってらっしゃい。持ってくる情報によって今後の動きを決めるからしっかりよろしくね?」
「えぇ分かってるわ。大丈夫よ」
シアとフロンが霧になって飛んでいく。
魔界草とシャドウキャットも一緒に霧になっていく。
シアとフロンの霧化は周囲を巻き込んで霧化できるらしくそれで魔界草とシャドウキャットを一緒に運んで行くのだそうだ。
じゃあその間に俺はダンジョンの改造を頑張ろうかな。
17階層 底なしの湖
ダンジョン17階層は特殊階層の中では1番上の階層に位置する階層であり、地面が少ししかなくそれ以外の全てが底が全く見えないほど深い湖になっている。
まぁなのでこの階層にいる魔物の全ては水中活動を行う魔物しかいない。
この湖の水は全て俺が何かを変換して作っている。
ちなみに100階層までは10ポイントで拡張ができるが、特殊階層は100ポイント必要になる。
なので大量の何かを含んでいる。
そのためか普通の生物には害悪にしかならないらしい。
「こんにちは王様」
水音を鳴らしながら現れたのは下半身が魚になっているいわゆる人魚と呼ばれるものだった。
セイレーンと名付けたこの種族の歌は聞いた者の精神に干渉し水の中に引きずり込むという力を持っている。ちなみに300ポイントである。中々高価だが、性能はいい。……そろそろ本気で節約しないきゃな。
「やぁセイレーン。時間的にはこんばんはだけどここはダンジョンだからね時間が分からないもしょうがないかな?」
ダンジョンの壁や天井はぼんやりと発行していて少し明るくなっている。
そのため時間感覚がとても狂いやすくそれだけは苦労している。
なので定期的に外に出るようにはしているが彼女のように階層から魔物達にはまだ外に出る許可は出していない。
もしも人間にバレれば色々と動きにくいからな。
あと基本的に彼女のように人型で言葉を話せるもの達は魔族と呼ぶことにした。
そこら辺の定義をしっかりしようとした結果である。
「何か問題はある?」
「特にないわよ? 強いて言うなら生き物が少なすぎることくらいかしら」
「まぁそこら辺はおいおい増やしていくよ。楽しみにしててくれ」
「了解よ」
また水音と共に潜っていく。
今のところこの階層で最強なのは彼女達セイレーンだが魔物を増やしたらそれも変わるのだろうか?
これも実験が必要だろう。
まぁこの階層を湖にしたのはこの間だったから確認来たが特に問題はないらしい。
なら他の作業に入ろうか。
一瞬で景色が変わる。
ダンジョンコアのある最下層。
そしてそのままダンジョンコアに触れる。
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最果ての迷宮:ダンジョンマスター(ジン・カミサト)
ダンジョンポイント:1060
ヘルプ
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階層の増築や、魔物の作成にかなりポイントを使い過ぎて減ってるな……
今回使うのはヘルプの欄。
ここは使ったことがなくてどうなっているのかが全くの謎である。
なので押してみることに。
するとズラッと現れたのは数え切れないほどの項目。
軽く見てみるといくつか気になった項目があったので押してみる。
【ダンジョンポイント】
・ダンジョンポイントは便利なガチャや一度作った魔物を作り出すのに使う。
・ポイントの貯め方はダンジョンとは無関係の者がダンジョンに入ると溜まる。
ダンジョン内で強い感情を出すと獲得できるポイントが高い。
なるほど、ポイントの貯め方が分からなかったがそういうことだったのか。
というか他にも気になる項目は沢山あるのだ。
【霧の刃】
・魔力を流すと刀身が霧へと変わる剣。
魔力量によって霧の濃度や量が変化する。
・この霧の中では魔力が妨害されるため上手く魔法が使えなくなる。
……魔力ね。
やっぱりあの何かのことなのかなぁ。
現状心当たりがあるのはそれしかない。
そして霧の刃についての説明。
こんなものがあったのか。
でも銀の短剣なんかについては載ってないし魔法が関わる道具だけが書かれてるのか?
【小さな魔石】
・魔道具作成に必要になる素材。
このサイズだと低品質なものしかできない。
……魔道具作成ね。
また新しい単語が出てきたな。
でも【小さな魔石】よりも少し下に【魔道具作成】と書かれた欄がある。
ヘルプかなり有能だな。
【魔道具作成】
・道具と道具を魔石を使って繋ぎ合わせることで新しい魔道具を生み出す。
・道具同士の相性によっては確実に失敗する。
へぇ、結構便利そうなものを見つけたかも知れない。
いや、はっきり言おう。
かなり便利である。
しかし道具同士の相性ねぇ。
そんなこと言われてもよく分からないから手探りでやるしかないかな。
というか今からやろう、そうしよう。
物置から銀の短剣と綺麗な水、そして小さな魔石を取り出す。
さてここからどうするんだ?
肝心のやり方が分からない。
そう思って小さな魔石を手に取ると小さな魔石から何か、いや、魔力が銀の短剣と綺麗な水へと向かっているのが分かる。
もしかしたらいけるかも。
直感にかられ小さな魔石から溢れる魔力に干渉して銀の短剣と綺麗な水を結び合わせる。
するとピカッと眩い光が部屋に走り、そこにあったのはさらに綺麗になった銀の短剣がそこにあった。
手に取ってみると少しピリピリとするがなぜか自然と名前が分かる。
☆☆☆ 白銀の聖短剣
触れたものを浄化する短剣。
あぁそれで手がピリピリしたのか。
俺はもう死んでるからな。
確かに浄化の対象と言ってもいいのだろう。
というか☆☆☆が低品質なのか。
これは色々と期待できそうだな。
まぁ今は素材が少なすぎてこれ以上実験できないんだけどな。
とりあえず分かったことを纏めると……ヘルプさんすげぇってことか。
次回はシア目線に移ります。