少年の心理歪曲
日付変わるギリギリに投稿。
今回の話書いててここまで頭飛んだキャラ書くのは初めてかもしれないと思った。断然寺役君よりも頭飛んでるし……
あっ感想ください(唐突)
ビュオン!
心地いい風切り音が専門に建てられた道場で響く。
俺の名前は射手愛斗。父さんが大の弓道好きだからこそ付けられた名前だ。苗字もそれっぽいのは偶然だろうか? でも別にこの名前が嫌いな訳じゃない。そこまで酷い名前な訳じゃないからな。
そんな俺も、父さんの影響を受けて弓道が好きになり、高校はたまたま弓道部がある近くの学校を選んで進学した。俺はそこで弓道にのめり込み、ついにそれなりの大会で優勝する程に実力をつける事ができた。
ビュオン!
でも今日はそんなに調子が良くないな⋯⋯的を外れる矢が多すぎる。いつもだったら、もう少し当たるんだけどなぁ。
原因は分かってる。雛月陽美子、アイツが原因だ。自慢じゃないが、俺はモテる。顔も母さん譲りで、それなりに整ってるし、運動ができない訳じゃない。勉強だって一応上位に食い込めている。
成績優秀、容姿端麗、モテる要素はそれなりにあるのだ。その証拠に、俺が大会に出る時は、うちの学校の女子が集団で応援に来る。たまに彼氏持ちのヤツだって来る事があるくらいだ。これでモテてないなんて言うのは間違えてるし、モテないヤツに失礼だろ?
そんな俺だが、あの雛月陽美子だけは俺に靡かなかった。常に真摯な対応をしなさいと母さんから教わっているから、大抵の女性の扱い方は教わっている。
でも雛月陽美子は俺を避ける。これ以上なく露骨に避けてくる。その行動は、俺のプライドを深く傷つけた。声をかけようとすればそそくさと逃げ出し、友達の女子から俺の大会に行って応援しないかと誘われても、その日は別の用事があるからと断り続ける。
アイツは顔もいいし、俺を引き立てるためのアクセサリーとしては十分合格ラインに達している。だから手元に置いておきたいのに⋯⋯あぁむしゃくしゃする。普段は自分の意見もろくに言えない程控えめな性格してるくせに、俺が少し関わろうとするだけで敏感に察知されて逃げられる。
何とかならないものか⋯⋯
ビュオン!
「⋯⋯今日はここまでかな」
またしても外れた矢を見て、今日の不調のまま続けても練習にならないだろうと悟り、いつもより早めに練習を切り上げる。
そこには帰宅途中の雛月陽美子が歩いていた。周囲には誰もいず、たった1人での帰宅、いつもなら誰かと一緒に帰ってるし、帰る時間だってもっと早い。今日は何かの用事でもあったのか? まぁ俺には好都合だしどうでもいいな。
声をかけようと、走り出しかけて、思いとどまる。いつも声をかけようとしたら逃げ出されたんだ、だったらここは少し様子を見よう。
そう思い、俺は近寄るどころか、少し距離をあけてついて行く。
そうしてつけ回してからしばらくして、ようやく気づく、確か雛月陽美子の家はこことは反対の方向にあるはずだ。しかもこの辺りは、人通りも少なくて、昔俺が小学生の頃に行方不明者の同級生が出たはずだ。それから母さんはここら辺は近づくな、なんて口うるさく言ってたっけ⋯⋯
そんな所に女子が1人で何しに来たのやら、少し興味が湧いてきたな。
着いたのは、近所でも有名な幽霊屋敷と噂の大きな廃墟。昔取り壊しが決まっていたらしいが、作業員が 次々と事故にあい、気味悪がった作業員達が仕事を放棄して以来、ここの廃墟は、少し取り壊しの被害を受けた形跡以外は、そのままの形を残して建っている。
だからこの近所で起こった行方不明者の事件もこの幽霊屋敷に引き込まれたんじゃないかなんて噂になってる。
雛月陽美子は、その廃墟をぐるりと回り込み、穴が空いていた塀をくぐり抜けて、敷地の中に侵入する。ちょっと時間をあけてから穴をくぐると、雛月陽美子は、廃墟の中へと入っていく。アイツ勇気あるなぁ。でもこれはついて行くべきだ。俺の感がそう言ってる。
俺の感はこれでも、たまに当たると自負してる。外れた時は、それはそれだ。
廃墟の中に入り、中の柱にサッと身を隠し、中の様子を伺うと、そこには大量の猫に囲まれて陽だまりのような笑顔を見せる雛月陽美子がいた。
俺は思わず、思考を停止し、見惚れてしまった。その笑顔は、学校でいつも見せていたような、周囲と同調するために無理やり作っているかのような空虚なものではなく、それが、心の底から浮かんでいるものだと分かるものだった。
俺は、声をかける気にもならず、そのままこっそりと入り口から外に出た。
廃墟の外に出て、一息
──────走る。
「〜〜〜〜〜〜!!!」
クラスのヤツらがスマホ見ながらたまに、尊い尊いとか言ってたが、あれを見ても同じ事が言えるもんなら言ってもらおうか。あれは駄目だろ。あぁ間違いなくあれは駄目だ。あれは人を溶かすものだ。見ちゃいけなかった何かだ。
正直、どうやって帰ったかも覚えてない。あの太陽顔負けの特大の笑顔を見た後、全力で後悔して、全力で走ったのは覚えてる。自分が急に情けなくなって、何も分からなくなって、今までの全てに後悔したのも覚えてる。
でも、俺は絶対に変われない。そういう風に既に完成してるんだから、これ以上変わる事なんてないし、変わろうとも思えない。
俺にできるのは、周囲が自分の思う通りに動くように上手く動かす事。誰がなんと言おうと、俺にできる最大の手段はそれに限定される。雛月陽美子はそれが通用しない唯一の相手だった。興味を持った理由なんてそんな単純なものでしかなかった。
そもそも俺は、女を自分を飾り立てるアクセサリーだとしか思ってなかった。それは今でもそうだ。でも雛月陽美子だけは違う。あれだけはそういう風に見る事ができない。
認めようか、俺はアイツに惚れた。それは間違いない。女に惚れるのなんて初めてだが、ハッキリと分かる。
欲しい!
あれをアクセサリーにするなんて勿体ない! アイツは俺の物だ! アイツを誰かの目に晒すなんてとんでもない! アイツは俺が飼う。
でもあれは絶対に俺には従わないだろう。だから、どこか絶対に見つからない所で、首に首輪をつけて繋いでおこう。逃げられなくなったら、次は心を折ってやろう。あれを人間として扱う必要なんてない。俺専用の犬として使ってやる。
心を折るために、まずは服を剥いでやろう。人間みたいに服を当たり前に服を着て生活できるだなんて思わない事だ。食事だって手は使わせない。皿に顔を突っ込ませて食わせてやる。その頭を上から踏みつけるのも楽しいかもしれない。
子供は3人ぐらいは欲しいかな。泣き叫んで嫌がるあれを押さえつけながら犯すのも楽しいかもしれない。その前に心が折れてるかな? まぁどっちにしても楽しそうだからいいや。
あぁまずはどうしようか、監禁場所を作るか? それとも道具を揃えるのが先か? それとも⋯⋯
こうして少年は歪む、元々歪んでいた心はさらに複雑に歪曲し、ねじ切れてしまった。
直る事は、もはやない。
「悪いが絶対に酩牙にも、大地にも、あれは渡さねぇ! あれは俺の所有物だ!」
次回は作者が割と気に入ってる陽美子ちゃんを書いていこうと思います!
というか書いてて思ったけど、このクラスヤバいやつらしかいねぇw




