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魂は大切に

明日が受験当日です( ^ω^ ) バカジャネエカコイツ

まぁちょこちょこ合間に書いてたらそれなりになったので投稿しますねぇ。

 「……できた」


 「おっ、早いな。もう感覚が掴めたのか」


 「でも割と時間がかかった」


 「いやいや、これでも早い方だぞ。3日ぐらいはかかるかと思ってたんだが……思いのほか早く済んでよかったよ」


 どうやら新緑のドラゴンは、約1時間程で周囲に漂っている魂の観測に成功したらしい。魂っていうのは基本的には自分の身体が死んだ場所にとどまり続けるようで、1時間経っても周囲を漂う魂の数は変わらなかった。まぁその半分ぐらいが最後の死が残虐だったせいか、悪霊化してるけどそこは別に問題なかったりする。

 どうせ死霊魔法の実験で使い潰すし、俺達に影響が出る要素が皆無である。


 「じゃあ今度は魂に命令してみろ。最初は簡単な命令で練習しろ」


 「分かった」


 そういうとドラゴンが魂に向かって言葉を発する。


 『整列しろ』


 その言葉を聞いた魂達のおよそ半分程が命令に従って横一列に並ぶ。しかし残りの半分は新緑の命令に逆らって動き回っている。

 命令に逆らっている魂は、どうやら悪霊化魂だけだな。なら基本的な死霊魔法ならもう使えると思った方がいいだろう。悪霊に命令が出せるのは高位の術者ぐらいだろうからな。流石にそこまで期待していた訳では無い。


 「悪霊は無視していいぞ。とりあえず今はお前が支配できた魂の方を使う」


 死霊魔法の基本は、まず魂を観測する事。そしてその魂に命令する事。この2つができていれば基本の死霊魔法程度なら使えるだろう。


 「俺の後に続いて詠唱しろ」


 「分かった」


 「汝の未練を我が糧に『ライフチャージ』」


 「汝の未練を我が糧に『ライフチャージ』」


 周囲の魂が新緑のドラゴンに吸い込まれていく。


 「これが死霊魔法の中だと一番簡単な魔法だな。効果としては魂を直接取り込んで自分の魔力を補うっていう魔法だ」


 「そう……」


 「不服そうだな?」


 「もっと強そうな魔法は?」


 「あるにはあるが……流石に無理だと思うぞ」


 「教えるだけ教えて」


 「……まぁいいだろう。とりあえず3つほど魂持ってくぞ」


 コクリと頷くのを見て、魔法の詠唱に入る。本来なら詠唱すら必要ないが、今は魔法の発動手順を教えてるだけだからな。無詠唱で発動させる必要もないだろう。


 「安寧に微睡む亡者の群れよ。その妄念を捧げ、未来永劫訪れる死に歓喜すべし、誘え『死に還す虚無の咆哮(デッドカノン)』!」


 3つの魂が収束し、ドス黒い輝きを放つ黒い魔力の玉が現れる。


 そしてそれは轟音と共にあらゆる生物を即死させる一条の光が放たれる。


 周囲を漂っていた残りの魂をほとんど消し飛ばし、未だ牢屋の中にいた人間達も次々と死んでいく。それはまさに死滅の黒き極光。誰も助かることがなく、防御もスキルも無視して、即死という結果だけを持ってくる魔法。

 今回は悪霊ではなく普通の魂を使って発動したが、もしも悪霊の魂を使い、()()()()()()()()地下牢の半壊程度では済まなかっただろう。間違いなくこの99階層全体に大きな被害が出ていたはずである。


 「まぁこんなところか」


 「……すごい」


 「お前も努力すればこれぐらいできるようになるさ。最初から使える俺が言うのもなんだけどな」


 「ん、頑張る」


 飽き性のドラゴンならとっくにめんどくさがってやめてるだろうに……まぁ戦力の増強になるならそれはいい事だからな。


 そう思っていると、地面を高速で影が這い近づいてくる。そしてその影は盛り上がっていき、黒い猫になる。


 「我が主(マイロード)、ご報告があり戻ってきました」


 「シャドウキャットか、久しぶりだな」


 「お久しぶりでございます」


 「で? 始まったか?」


 「はい、始まりました」


 「結果は聞くまでもないな?」


 「えぇ間違いなく」


 まぁそうだろうな。今回の作戦で俺達が失敗する可能性はほぼ皆無だった。そもそもの大前提として、人間は魔物の存在を知らない。いかに魔法が優れていても、魔族であるシアやフロン、そこに魔界草までが加わっているのだ。人間達にとってはその全てが未知で構成された最強の軍隊。街の殲滅にそれほど時間はかからないはずだ。

 まぁ初戦はこれでいい。問題なのはこの次だ。魔物の存在を知ったからには対策はしてくるはずだ。してこないならそれはただの無能だからな、その程度なら警戒なんてする必要もなく物量で叩き潰す。


 俺達の利点はその自由度の高さ、俺ならその状況に応じて必要な魔物を作成できる。


 「ですが最初の魔界草は討ち取られました」


 「……は?」


 「ッ申し訳ございません!」


 おいおいまじか……確かに魔界草は偵察要員だったとはいえ、魔物の存在すら知らない人間が初見で対応できる相手じゃないと思うんだが。


 「……で?」


 「は、はい?」


 「そのあとどうなった?」


 だが討ち取られたなら仕方がない。俺の予想を人間が上回っただけの事……でもムカつくなぁ。


 「はい、その後はフロンが魔界草を開花させたところ……花を通り越して樹になりました」


 「………………はぁ?」


 「恐らくは過剰に魔力を注ぎ込むことで、魔界草を進化させたのだと思われます」


 そんな事が可能なのか……案外進化のルールが緩いな。そこら辺は今度女神様にでも聞いておくか。

 というか、魔界草に進化系統はなかったはずなんだが、一体どういう事だよ。


 ……まぁいいか。


 「で、その進化した魔界草はどうなった?」


 「人間のほとんどを殲滅したので私が報告に来ました。恐らくはそろそろシアとフロンの2人が帰還すると思われます」


 「じゃあ2人が帰ってきたら作戦会議始めるぞ。幹部は全員100階層に集めろ」


 「はっ!!!」


 「そういう訳だドラゴン、また今度な」


 「分かった。次に会う時までに強くなってるから」


 「そりゃあ楽しみだな。貴重な戦力としてこき使うだろうから覚悟しとけよ?」


 新緑のドラゴンはコクリと頷く。


 ローブをはためかせ、100階層に転移する。







───────────決戦の時は近い。





















 ────ここはどこだろうか。


 ────私は何をしているのだ。


 ────いや、そもそも私は誰だ。


 ────なぜ誰も答えてくれない。


 ────1人は嫌だ。


 ────私はこんなところで終わる男では……


 ────私は男なのか? そもそも男とはなんだ?


 ────それに私が終わる?


 ────どういう事だ。


 ────分からない。何も分からない。


 ────頼む、誰か答えてくれ。


 「おやおやぁ、これは珍しいなぁ?」


 ────誰だ?


 「私か? ふむ、答えてやってもいいが、それよりもまず貴様は自分の事を心配するべきだと思うのだが。そこのところはどう思う?」


 ────心配? 何を心配すればいい?


 「あぁなるほど、どうやら貴様は自分がどうなったかも覚えてない……いや、正確には()()()()()()()()()()()()()()()()未だに思念が現世に残留しているのか。哀れなものだな」


 ────哀れ? 私が?


 「そうだともさ、貴様は死を受け容れなかった。だから末期の強い思いが貴様の記憶を持っても現世に残留思念として残っているのさ。全く、自分の死ぐらい受け容れるべきだと思うんだがなぁ」


 ────死……


 「うん? まさか死が分からんのか?」


 ────分からない……死とはなんだ?


 「それについては自分で思い出した方が早いな。何なら手伝ってやろうか?」


 ────……頼む。


 「いいだろう、であれば貴様の名を教えてやろう。それが一番手っ取り早いからな」


 ────名前……私の名前か。


 「あぁそうだ。そして貴様の名は、」







 「()()()()()()()()()()。世界一の賢者(愚者)の名よ!」



 ────オ、


 ────オオオオオオオォォォォォォォ!


 ────思い出した! 私は! いや()()


 「ほほう、どうやら現世は随分と面白い事になっているな。興味深いではないか」


 ────儂は死んだ! 否! 殺された!


 「そうだな。貴様は貴様を殺した男よりも弱かった。それが真理よ」


 ────認めん! 認めんぞ儂は! このような終わりは断じて儂の終わりではないのだ!


 「だが実際に貴様は終わった。それが事実だ。ならばキッパリと諦める事だ」


 ────抜かせ。


 「何?」


 ────もう一度だ。もう一度儂は。


 「ッ貴様ァ! その魔力を抑えろ!」


 ────栄光を掴むのだ。






 「……やれやれ、これは大変な事になった」


 「迷える死者に終わりなき安息を与えるはずの()()()()()()()()()()()()


 「この大穴を通って他の死者共も出て行くだろうよ」


 「あの不思議な子供に迷惑をかける訳にもいかん」


 「であれば妾が行くしかあるまいて」


 「久方ぶりの現世、楽しませてもらおうか」







 死を統べる女王は歩く。草木が枯れる。


 死を統べる女王は笑う。死が集う。


 死を統べる女王は杖を振るう。門が開く。


 「いざ参らん!」







エンちゃんの影が薄い……エンちゃんは作者が無口系黒髪着物幼女が好きなため出したのです。


うん、出番あげようか。

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