部下を作ろうとしたら娘ができた
まずは普通の魔物を作ろう。
何事も練習は大事だからね。
ダンジョンコアに触れてみるとぼんやりと頭の中に不思議な光景が浮かぶ。
何となくこれが魔物の生成を行う場所なのだろう。
ダンジョンコアに触れればこれが使えるらしい。
まぁ早速作ってみようか。
じゃあ魔物の代名詞とも言えるスライムから。
見た目は……青いゼリー状の球体にしてでもって身体のほとんどを水で構成して、中心に核を作る。
この核が心臓的な感じで、この核から出る魔力で肉体を保つ仕組みにしよう。
うんこれでいいや。
時間にしてわずか30秒。
お手軽な魔物である。
そして何かが抜けていく感覚と共に目の前に自分が想像した通りのスライムが現れた。
ぷよぷよとしていて辺りを跳ね回っている光景に思わず頬が緩む。
チラリとポイントを確認すると、ポイントが10減少していた。
まぁこれで実験は成功したと言ってもいいだろう。
ではそろそろ人型の魔物を作ってみるべきだろう。
人間社会に溶け込みやすく、なおかつ情報収集を行える魔物。
いやまぁそうなると当然人型になる訳で。
それを魔物と呼ぶのは抵抗があるのでまぁ適当に魔族とでも呼ぶことにしよう。
さてどうしようか。
流石に一人に任せる訳にもいかないから数人作らなきゃ。
人間に紛れ込んであと戦闘能力も欲しいな。
しかもちゃんとイメージしないと造形が崩れるかも知れない。
イメージも湧きやすくて戦闘能力もあり、人間社会に溶け込める。
……吸血鬼?
うん、いいんじゃないかな。
でも流石に日光に当たったくらいで死なれても困るし弱体化くらいにしておこうかな。
あとニンニクと十字架は効かないってことで。
流石にそれはねぇ。
あと能力は霧化と吸血、あとは怪力に蝙蝠化も欲しいな。
うんイメージできてきた。
あとは容姿だけだけど……どんなものが。
吸血鬼の見た目ってどうすればいいんだろう。
……そう言えばロリ吸血鬼ってよく聞くなぁ。
……あっ。
これ失敗したわ。
今ので完全にイメージがロリ吸血鬼に固定されてしまった。
そして目の前に現れたのは黄金の髪をたなびかせ赤い瞳を爛々と輝かせた見た目は10歳ほどの全裸の少女だった。
咄嗟に目を隠した俺はファインプレーだと思う。
「あら? あなたがお父様?」
鈴を転がすような綺麗な声で話しかけられる。
それは見た目に反して随分と大人びた印象を受ける声だった。
「まぁそうなるのかな? とりあえずまずは服を着よう?」
「お父様もそうじゃない?」
くすくすと笑う。
まぁ確かに俺は骨しかないので服を着ていない。
なぜか少女の裸を見ても特に感情が湧かない。
骨になったから性欲とかも無くなったのだろうか?
でも俺も服を着るべきなのだろうか?
……まぁ誰かに会う時に全裸はまずいかもしれない。
うん、服は着ておこう。
だが残念なことに服がない。
「まぁそうね。着ておきましょうか」
……服ないよ?
そう思っていたのだが少女が指を鳴らすと煙が彼女の身体を覆う。
その煙が晴れるとそこには黒を基調としたドレスに変わった。
それはまるで煙がドレスに変わったかのように見えた。
いや、実際そうなのだろう。
俺の目には不思議と煙に含まれていた何かが煙に形を与えていくのが見えた。
そしてその何かが俺の周りに大量にあることも分かる。
それどころかその何かは俺の中にもあった。
そしてそれらは俺が意識すれば操れることにも気がついた。
それらを操り形を与えていく。
形はローブ。
煙が集まりローブへと変わる。
現れたのは金の刺繍をあちこちに縫いつけた真っ黒なローブだった。
「あらかっこいいじゃない」
少女はニコニコ笑って褒めてくれる。
そこでふと思い出したように俺の目を見る。
「ねぇお父様? 私妹が欲しいわ?」
人間の頃出会ったなら確実に見とれていただろう笑顔を見せる。
しかし妹か……
まぁいいか。
彼女にも助手は必要だろう。
見た目は彼女にそっくりにするか?……いやでもちょっといじったりして大人しめに見えるようにして……髪も銀髪にしてみよう。
瞳が赤いのはもう吸血鬼のデフォルトってことで。
そうして目の前に見本がいるからか、数秒で作ることができた。
そしてやはり全裸なのね。
とりあえず服を着てもらう。
「……初めまして」
ペコリと礼儀正しく頭を下げる。
そこで名前を付けていないことを思い出す。
それを言うとぜひ付けてくれと言うので頑張って付けてみた。
最初に作った金髪の少女を『シア』、銀髪の少女を『フロン』と名ずけた。
あまり自信は無かったがとても喜んでいたのでまぁ良しとしよう。
二人の少女によってダンジョンは少しだけ賑やかになったのだった。
ちなみにシアとフロンを作った際に、消費されたポイントは4000ポイントだった。流石はそれなりの高性能の魔物だな。
ロリ吸血鬼は定番だよなぁ?
というかフロンはもう少し目立たせたいので次話で出番をあげます。
明日もこの時間に投稿します。