最強の刀 ②
最近忙しくて中々執筆時間が取れない……まぁ新作書いたり、ゲームしてたりするんですけどねw
さぁて今回使うのは、前回のガチャで引き当てた虹色の魔石、そしてさっき64階層で貰ってきた重力石、メインとなる神刀 神楽の3つ。どれもとんでもなくレアな素材であり、人間が存在を知ったのならば必ず確保しようと、躍起になる代物だ。これらの素材から生まれ直す刀は一体どのような進化を遂げるのか、今から楽しみで仕方がない。
全く、ゴードスとかいう鍛冶の神様もこいつを途中でほっぽり出さなければとんでもない性能の刀が手に入ったというのに、非常に勿体ない。
まぁそのおかげで俺がこの刀を手に入れられたのだからそれについてはもう言うまい。しっかり使ってやるさ。
問題は作りたい物を作ることができるかどうか。多分大丈夫だとは思うけどガチャで出た物以外を合成に使うのは初めてだからな。
じゃあやるか。
メインの神刀 神楽と、素材である重力石を虹色の魔石を起点に結び合わせる。すると虹色の魔石から膨大な魔力が渦巻き、神刀 神楽と重力石が合わさっていく。
しかしとんでもなく遅い。まるで巨大な氷が溶けていくようにゆっくりと。
とんでもない遅さだが確実に組み合わさっていく。
……それにしてもおせぇな!? どんだけ時間かかんだよ、日が暮れるわ! くそ、神刀 神楽と虹色の魔石は両方とも☆☆☆☆☆の超レア素材。そんな簡単にいくとは思ってなかったけどまさか合成にこれだけ時間がかかるとは全く思わなかったぞ。
まぁしばらく頑張るしかないか、魔道具作成中は俺はこの場から離れられないし。
────────そのまま丸1日が経過した
どんだけ時間かかんだよ! 長ぇよ! もう刀からも心配の感情が伝わってくるんだけど? 流石に時間かけすぎなんだよ!
まぁそのかいあってか、神刀 神楽と重力石は既にそのほとんどが混ざり合い、完成まで後数時間であろうと予想ができる。
あぁ、腹が減ることはないけど何かが食べたい。無性に寝っ転がりたい。流石にこれは疲れる気がする。こんな時は何もせずにダラダラと過ごしていたいが、当然ここまで来て投げ出す訳にはいかない。
そしてそのまま数時間後、刀はようやく完成した。神刀 神楽と重力石が混ざり合い、純白だった刀身はうっすらと紅の混ざった黒へと変わる。何の装飾もなかったはずが、鍔には髑髏を模した装飾が入り、柄には三日月の装飾が施されていた。
何より、刀から伝わってくる異常なまでの歓喜と感謝が成功の証だった。
ここまで来るのが長かった……疲れない身体になったっていうのに不思議ととんでもなく疲れた。
しかし次の瞬間、俺はこの世界に来てから1番驚くことが起きた。
刀が、新しく染まった紅黒と同じ色の輝きを放ち始めたのだ。突然のことに思わず警戒するがその警戒は杞憂に終わる。
なぜなら、その極光が収まった場所にあったのは全く見覚えのない黒髪黒眼の美少女だったのだから。
「はぁ!?」
その美少女はあまりにも美しかった。神の手によって造られた至高の芸術と言われても信じるのかもしれない。しかしこれ程の美を作り上げるのは人間には無理だろう。なにせ美少女は完璧なまでに左右対称の肉体を持っていたのだから。
まるで宝石かのようにも見える、輝きを放つ瞳は深い叡智を示し、腰まで届いているストレートの黒髪は星一つない漆黒の夜空のようにも見える。
そしてその美少女は生きていた。真っ直ぐに俺を見つめるとその直後に、飛びかかってくる。
「ぐはっ!」
避けるまもなくタックルを食らった俺は、背中から地面に倒れ伏す。いきなりのことに心底驚いて、思わず文句を言おうとするが、それは言葉にならなかった。
なぜなら美少女は、その宝石の瞳から大粒の涙を惜しみなく流していたのだ。
「……ありがとう……ありがとうっ!」
震える声で俺に感謝を伝えるこの美少女は一体誰なのか、なんとなく察してはいるがやはりどうしてそうなるのか分からない。
だが1つだけ言わせて欲しい。
服を着ろ!
視線を逸らすの大変なんだよ! 見えてるから! 色々と見えてるからっ!
何でこう俺と合うやつは大抵初見が全裸なのやら……性欲とかないこの身体が悲しくなってくるな。まぁたとえ性欲があっても手を出すことはないだろうが。
「……とりあえず退いてくれ」
「……ん」
そう声をかけると美少女は俺の上から降りる……あれ? なんで降りないの? 身体は上げたけどまだ俺に跨ってるよね? 精神がゴリゴリ削れていくので早く退いていただきたいんだが。
「おい?」
「……ん?」
「ん? じゃなくてさ、そこから退いて欲しいんだが」
「……もう少しだけ」
えぇ、何でこんなに懐かれてるんですかね? 好感度が最初からMAXとかどんなギャルゲーだよ。いや、そんなギャルゲーがもしあったら、クソゲー確定だろうな。少なくとも俺はやりたくない。
まぁギャルゲーはやったことないが妹がすげぇ好きで徹夜でやってたのを覚えてる。
数日で全エンドを見るとか言ってたっけ。我が妹ながら凄まじいなぁ。
とはいえここは現実。ならば現状を受け入れるしかない。
「とりあえず名乗っておくよ。俺はジン、ジン・カミサトだ」
「……まだ私に名前はない」
それならば今もっとも気になっていることを聞こう。
「お前は刀で合ってるな?」
「ん、合ってる」
やっぱり俺の予想は当たっていた。なにせ俺の目の前で刀が光り、そして出てきたのはこの美少女。関連性が全くないというのは無理がある。
そして何より、美少女の髪には髑髏を模した髪飾りが着いていたのだから。
「じゃあどういうことか説明してくれるか?」
「ん、私はあなたの役に立ちたかった。だから頑張って自己進化しようとしたんだけどちょっと失敗しちゃって、あなたが本来付けようとしてた重量操作しか変わらなかった。でもそしたら神様が助けてくれた」
「おうちょっと待て。神様って言ったか?」
「うん、神様」
「……それってどんな見た目のやつ?」
「銀髪のちっちゃな女神様。その人が面白そうだからって言って私に人化のスキルをくれたの」
はい、間違いなくアテルナですね。あいつほんとに何してんの? 人化のスキルは良くないけどまぁいいとして、せめて見た目の年齢を上げるべきだろ。罪悪感と背徳感が凄まじいわ!
「あっ、後はちっちゃい方が嬉しいだろうからって言ってた」
あのクソ女神! 今度あったら殴ろうかな!? 嫌がらせですかこんちくしょう!
「はぁ……まぁいいや、とりあえず刀に戻れるか?」
「戻れる、でもその前にお願いがある」
「あん? 何だよ」
「私に名前を付けて欲しい。銘無しの刀なんて嫌」
何で最近名前を付ける機会が多いんだろうな? 前世じゃ子供どころか結婚もしてないから名前なんて付けたことなかったのに。
それはさておき、確かにいつまでも刀と読んでるのも不便だしな。
名前は付けるべきだろう。そうだな~……紅色の混じった黒い刀身、黒紅? いや安直すぎる。
「どんな名前がいいとかの希望は?」
今までは俺の独断で決めてたがたまには本人の希望を聞いて考えるのもいいだろう。
「……前の名前の文字が入ってなくて漢字ならいい」
やっぱり漢字か。まぁ刀の銘が横文字じゃあ違和感しかないよな。そして前の名前も嫌いか。殺しにかかってくるぐらいだしそりゃそうか。
「それから炎も出せるようになった」
「………………はい?」
え? まじでどういうこと? 炎が出せるって、それ確実に魔法だよね? ……またアテルナか!? またあいつなのか!
「神様はマスターに影響されたって言ってた」
もしかしなくてもマスターって俺のこと? 俺がダンジョンマスターだから? それとも俺が所有者だから?
……まぁいいや、それよりも今俺に影響されたって言ったか? それなら確かに炎魔法が使えるのも納得できる。いや理解はできないけど。どうしてそうなったのやら。
しかしそうなると他のスキルも気になるな。俺の炎魔法以外のステータスを受け継いでいる可能性がある。
「俺にステータスを見せてくれるか?」
「ん、“ステータスオープン“」
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【名前】 ???
【年齢】??? 【種族】神妖刀
【生命力】 16,882/16,882
【魔力】 4,259/4,259
【スキル】
異種間意思疎通
炎魔法Lv1
闇魔法Lv1
死霊魔法Lv1
人化Lv1
【種族スキル】
神斬りLv1
呪詛Lv1
剣圧Lv1
神罰Lv1
神域制作Lv1
魔刃の忠誠Lv1
【称号】
神罰の代行者 魔王の刃 罪人を裁く者
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……何このステータス。ツッコミどころが多すぎるんだが。
まず俺の魔法系スキルは全部受け継いでるし、神斬りとか、呪詛とか、神罰とか、神域制作とか。名前が物騒すぎる。
最後の魔刃の忠誠も、内容が不透明すぎてよく分からないし。
というかなんだよ神妖刀って、初めて聞いたわ。魔物って訳でも魔族って訳でもないよな? 不思議なやつだな。
そして何よりも意味が分からないのが称号に記載されている罪人を裁く者、これは一体どういう事なのか。称号はその本人を示すためのもの。ならばこの刀はそれを望まれてるのか? 今の状況で分かるのは確実に神が関わっているだろうということだけ。
罪人を裁く者ね……よし、名前を決めたぞ!
「お前の名前は黒閻月だ!」
今回は割と自信作。黒は普通に色から、閻は罪人を裁く者から閻魔大王が想像できたのでそこから、そして月は、柄にある三日月の装飾から付けた。気に入ってくれるとありがたいんだが……
「黒閻月……クロ? エン? ゲツ?」
「あ? あぁ呼び方か。そうだな……エンかな」
「エン……エン、エン! ありがとう!」
名前を確認するかのようにたった今付けられた名前を繰り返し呼び続ける。そして気に入ってもらえたのか、太陽ですら霞むような眩しい笑顔を浮かべる。
まぁそれはさておき……
「とりあえず服を着てくれ、魔力を編み込めば簡単に作れるから」
エンは前述の通り全裸であり、しかも俺のすぐそばにいるため慎ましい胸や大事な部分も全て見えているのですぐに隠していただきたい。主に俺の精神安定のために。
性欲ないはずなんだけどなぁ。
「……エッチ」
「俺の上に乗ってきた張本人が何を!?」
「ちょっと待ってて」
エンはそう言うとようやく俺の上から降りた。幼女に馬乗りにされるとか前世含めて初めての経験なんだけど。そしてトテトテと歩いていき、自分の鞘を拾い上げる。すると鞘が魔力へと変換されていき、エンの未成熟な身体を覆った。
それは月の模様が描かれた黒い浴衣だった。その姿は幻想的で思わず見入ってしまったが頭を振って正気に戻る。
「んっこれでいい」
「よしじゃあ悪いが刀に戻ってくれ、早速使ってみたい」
そう言うとエンは嬉しそうに微笑むと刀に戻った。既に鞘へと収納されている状態であり、いつでも使えるように俺の手に収まった。
じゃあもうひと頑張りするか。
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