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刀を俺好みにしてやろう/調査隊の到着

割と難産でしたw

まさか急にキレるとは思わなかった。しかも相手は正真正銘の神器。扱いにはき気をつけないといけないな。

しかしどうしようか。未だに殺気がばっちり伝わってくるんだけど……とにかく宥めよう。


「落ち着いてくれって、そんなに怒るなよ」


怒ってる原因も分からずにこの言葉を吐くのは正直に言って嫌だが、こいつに本気で暴れさせたらこのダンジョンとか余裕で崩れそうだからな。落ち着いてもらわないと困る。


それから数分間、何とか殺気を収めることに成功したが、今度はなぜあんなに怒ったのかの原因を探らなければならない。

この刀は意思疎通能力があるみたいだし、コミユニケーションぐらいはなんとかなるかもしれない。

というかそうでなくては困るのだ。


「なぁどうしてさっきはあんなに怒ったんだ?」


そう聞いてみると想像よりも簡単に意思が伝えられてくる。

曰く、この刀は自らの神楽という名前が嫌いなのだそうだ。1度たりとも使われることのなかった己を嫌悪し、憎悪すらしているらしい。

その名前を呼ばれてついカッとして神器としての能力を解放してしまったということだった。


……確かに神楽は、作られてから1度も使われることなく、作られたその瞬間に失敗作とされた言わば廃棄神器とも言える代物である。そんな神楽にとって自らを象徴する名前など全く必要としていないそうだ。

刀の感情なんて俺にはよく理解できない。

どうせなら自分の意思も剥奪して欲しいと鍛冶の神、ゴードスに頼んだこともあるらしいが、「失敗作をさらに貶めるようなことを俺がする訳ないだろう!」とゴードスを怒らせて封印されたらしい。


その後は気がついたらアテルナの所有物になっていて、彼女のコレクションにされてしまった。2度目の主も自分を本来の意味で使ってはくれない。大事にしてはくれない。

刀とは人を斬ってこその刀なのだとアテルナに訴えたこともあるらしいが自分に異世界の武器である刀なんて使いこなせる訳が無いと相手にもしてくれなかったらしい。

それからしばらくして、アテルナはおもむろに自分を掴むとニヤリと笑って空間に空いた黒い穴に落とした。

そして彼女は、「これから君にチャンスをあげる。そのチャンスが君に回ってくるかは運次第だよ」


それからしばらくしてだった、自分と一緒に穴へと捨て落とされた様々な道具達がどこかへと消えていくのだ。一体どこへ行くのか、自分も消えるのかと恐怖を覚えたこともあったがこの不気味なゴミ捨て場何かよりはきっとマシだと信じて頑張ってきた。


そしてたどり着いた先が俺の下、彼女は歓喜していた。もしかしたら今度こそ自分を使ってくれるかもしれない。しかしその気持ちを伝えようにも、自分は斬ることしかできないつまらない刀。気持ちを伝えることなんてできなくて、それでも何とかしようと試行錯誤していたらようやく完成した唯一の希望。

それこそが異種間意思疎通というかなり希少なスキル。

刀はそれを自力で手に入れたのだ。それは素直に賞賛に値する。


そして俺はこの刀を使った。それは刀としては非常に嬉しいことだった。

しかし残念なことに俺は刀の扱いなんて全く知らないど素人。刀としての不満はそこと、自身の銘である神楽。


さてどうするべきか……


あぁいいこと思いついた。上手くいけば俺は刀を上手く扱えるようになり、この刀の望みを叶えてやることができる。


俺は早速刀に交渉を持ちかける。


「なぁ刀、お前俺と取り引きするつもりはないか?」


そう問いかけると刀も興味を示した様で、どういうことかと俺に聞いてくる。


「お前は鍛冶の神に失敗作扱いをされた。俺としてはこれ程いい刀はないとは思うけどな? だがお前は誰にも使ってもらえなかった自分自身が大っ嫌いだ。だから()()()()()()()()。そうすればお前は今の自分じゃなくなる上にさらに強くなれる!」


返答は即答だった。伝わってくる感情は歓喜1色。否定する気配なんて一切なかった。


「じゃあこれから始めるぞ?」


人類という未だ短い歴史において、初の試みである神器の強化改造が行われようとしていた。


♢♢♢♢♢


side ソロモン


儂達は“帰らずの森“の調査のために“帰らずの森“にもっとも近い街、クローディアを訪れていた。


「ようこそソロモン殿、歓迎致します」


「歓待感謝しますぞボールズ様、しばらく世話になります」


全くなぜ儂がこのような面倒なことをせねばならんのかのぉ。こういったことは若いのに任せて儂は外で待機してたいのだが。

……それにしてもボールズめの様子がおかしいのぉ。昔は貴族の領主らしく、影でバレないように暴政を敷いて私腹を肥やしていたのじゃがのぉ。それが随分と柔らかくなったもんじゃな。一体何があったのやら。


「ではしばらくの居住区へと案内しますのでそこのメイドに着いて行ってください」


「……感謝します」


これは流石におかしい。昔仕事でこの街を訪れた時には適当に場所を支持されて後は勝手に行けと言われたのじゃぞ!? それが一体どうしたと言うのじゃ!?

薄気味の悪い不安を抱えながらもまさかそれを堂々と口に出す訳にも行かず、メイドの後ろを着いて行く。

しかも今さら気がついたがこのメイドと領主のボールズの目に光がない。まるで人形のような印象を受ける。


全く……まだ調査すら始まってもいないのに嫌な予感がするわい。




……嫌な予感が的中してしもうた……全くボールズのヤツは何を考えておるのじゃ。


「なぁソロモンのおっさん。これはどういうことだよ? ここの領主は典型的なクズじゃ無かったのか?」


「そのはずだったんじゃがのぉ」


ライオスにはここの領主のことは既に説明している。

モーガンが屋敷の大きさを見て満足そうにしているのを横目にソロモンとライオスは顔を見合わせる。


そして、彼らは知る由もないがこの屋敷はシア達が仮宿として使っていたあの領主の息子の屋敷だった。

そしてその光景を眺める2人の美少女がいたことはまだ誰も知らない。







最近友達にアカウントを貸して新しい小説を書いてもらってます~面白いので読みに行ってみてください。

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